ラポール、 コーチングで一番大切なもの
前回の記事でラポールのことに触れましたが、もう少し詳しく説明します。
ラポールが築かれている状態は、安心で快適な状態、親みがもてる状態です。
皆さんも誰かと話し込んでいて氣がついたら何時間も経っていた経験があると思います。
そこにはラポールが築かれています。その空間が快適なので、ついずっと続いて欲しいと思ってしまうのです。
例えばサルサや社交ダンスなどのように、リーダーが作り出す雰囲気、空間が非常に安心、安全、快適だからこそ、たとえリーダーが方向を変えて別の場所に進んでも、フォロワーはその状況をずっと保ちたいがために、喜んでついていくという状態もラポールの築かれた状態と言えます。
他の例えで言えば、クラブでDJが曲と曲の間に境目を感じさせないように今の曲と次の曲のリズム(BPM)を合わせることをしているように、コーチはDJのようにクライエントのリズムを正確に感じ取り、自分もまずそのリズムに合わせていき、そして新たなリズムにリードしていくことによって快適な状態を保持していきます。
お笑いの人がつかみを取りに行くのも、笑うことによって緊張がほぐれて会場に快適な空気ができるからです。
さてどんな感じかわかったけど、どうやってやるのという質問が出ると思います。
それはズバリ相手の立場に立つということです。
よくNLPでラポールというと必ずテクニック集にでてくる、
相手の動きを真似る。(ミラーリング)
相手の言葉のおうむ返し (パロッティング)
がありますが、これは何をしているのかというと、相手の立場に立ってみた結果が反映された行動です。
この行動をただすればいいわけではありません。
できるコーチ、もしくはコミュニケーターは会話をしながら同時に複数の目線を持っているはずです。
テレビで言うところの一カメ、二カメ、三カメです。
自分が相手を見てる目線、相手の立場に立って自分を見る目線、はたから二人を見る目線などです。
相手の立場になりきって、その人が抱えている問題を見ることによって、その人に寄り添った言葉が出てくるはずです。
そうすることによって、困っている当事者も、
あーこの人はわかってくれてる
と安心するわけです。 そして相手の立場に立った結果としてミラーリングや、おうむ返しのような行動が自然と出てくるようになります。
そして真の意味で相手の立場に立つには、
相手をしっかり見なくてはなりません、
これは簡単に聞こえますが、実は不断の集中力が必要な作業です。
これをキャリブレーションと言います。 較正という意味ですが、機械の目盛りを調整すると言った意味があります。
いうなれば正確に相手を測るということです。 剣の達人同士が相対するごとく相手の呼吸、姿勢、振る舞いを余すところなく観察するのです。
正確に相手の呼吸や姿勢、振る舞いを測り出し、そしてできれば思考パターンまで聞き出して、それを自分なりになんとなくやって見ます。
そうして相手の言うようなメンタル状態が再現できたら相手の立場に立ったと言えます。
そうすると相手は
私を、俺を、マジでわかってくれる。
と思うようになり安心することができます。
キャリブレーションをする時、土台がブレては正確な観察ができません、よってコーチ自身の状態管理が大切になってきます。
言い換えれば観察する自分の状態がブレブレだと観察にムラが生じ、相手の立場に立つことが難しくなってきます。
例えばイライラしていたり、なんとか売ってやろう、コーチングしてやろうと思うと自分の立場に固執することになり相手の立場と自分の立場の目線を自由に行き来できるゆとりを失ってしまいます。
明鏡止水という言葉通り、逆さ富士をくっきり映し出す澄み切って静まった湖のような心を持つことが理想です。
僕はコーチングの前には、瞑想や、呼吸法、体操などをして、心を平らにした状態で臨みます。もしどうしても気がかりなことがあって心が波立つ時がある場合、コーチをやっている友人に連絡して、コーチングをしてもらいます。 そうした状態管理をした上で、クライエントに対峙してキャリブレーションをします。 そしてラポールを築いていきます。
このラポールに関しては、ミルトンエリクソンのエピーソードの一つにわかりやすい例があるので、それを次回取り上げます。