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オノマトペの授業にGPT-4を参加させてみた。

やりとりをしていると,GPT-4はもはや感性を宿しているのではないかと思ってしまうのですが,BingChatの方がかわいいと思うのはなんでなんだろうとも。馴染みか。いやでもなんかあいつ受け応え可愛くないですか?
GPT-4を使ってみて,「これは多分やりたいことできるレベルに達した」と踏み,授業に参加させてみました。

やる前から引っかかっていた一番の問題点は,規約面・環境面・発達面での制約によって,現状教師だけが扱える道具であるということ。
金と機材環境の力で教師だけが優位な立場にいるような感じがして,なんとも居心地が悪い。
あと効率が悪い。情報の行き来がすべて常時オープンである必要はないと思っています。
こういったところが,私の教育観とはあまり合わず,普段あまりやらないような形の授業となりました。
これは本来もっと個別化できる部分を,ツールに対して最適解でない一斉問答型でやらざるを得ないことが嫌だったのだと思います。
他にも窓口型を考えもしたが、いやそれはイマイチでしょうと。

些末な問題点もいくつか。
どれだけ口を酸っぱくして命令しても、配当漢字内で回答を生成させることが私にはできませんでした。
提示して使う場合、書き込みを待つ時間をどうするか悩むところです。
表示も提示するには小さく、うんと拡大してもちと厳しい。液晶ならいいかもしれないがプロジェクタだと厳しい。

今回は小学2年生とやってみました。
公開授業でもない数多ある試行錯誤のひとつです。
どの学級でも同じようにやれば同じような結果になるとは限らないし,かなり学級の文化や文脈による部分も多いと思います。

単元の流れはこんな感じでした。
教科書通りに「ようすをあらわすことば」の学習をしました。
その後、派生する形で
1.まだ知らないオノマトペからイメージを広げよう(賢治のオノマトペを使いました)
2.オリジナルオノマトペを作ろう
 ①オリジナルオノマトペのイメージを広げよう
 ②他の人にもイメージを書き込んでもらおう
 ③オリジナルオノマトペを使った詩や文をつくろう
3.GPT-4とオノマトペを楽しもう
 ①GPT-4が作ったオノマトペからイメージを広げる
 ②自分が考えたオノマトペのイメージをGPT-4に考えてもらおう
 ③使ってほしい言葉を挙げて、GPT-4に詩を書いてもらおう
 ④他にもどんなことを一緒にやってもらいたいか考えてみよう

「明日AI使ってみようと思う」と言ったら、ほとんどの子が「AI・・・?」という反応でした。
当日画面を見て「ニュースで見た!」という子もいました。
なんだか子どもたちの大半は,GPT-4を「正しい情報をくれるもの」とは,はじめから扱っていなかったように見えました。

朝の学級の時間での質問タイムは,やはり人寄りの質問が多かったです。

授業開始のあいさつ

この段階で,文字を打ったら返事があったことへのどよめき。

THE 小2

まず年齢を聞き,次にバナナはおいしいかを尋ねる。まさに小2。

人であること,AIであることへの揺らぎ

文字が勝手に出てくることへの驚きが大きかったようで,その機能やしくみ,できることへと興味が移っていく子と,どういう相手なのか知りたい気持ちで行ったり来たり。

  • 友達はいますか。

  • 文字は1分間でどれくらい打てますか。

  • なんでそんなに答えられるのですか。

  • 好きなサッカー選手はいますか。

  • 吉田沙保里は知っていますか。

  • GoogleやSiriとは何が違うんですか。

  • 機械は楽しいですか。

といった質問が続きました。

おそらく最終的な多くの子の感覚は,「なんかすごいけど感情はないらしいし、バナナは食べないアイツ」という捉えだったのではないかと。
知識はあまり求めていなくて,何を思うかやどう考えるか,何ができるか,どうやっているのか,というところに子どもたちは興味があったようです。
質問が進むにつれ,
「多分これ,感情がありませんっていうやつじゃん!」という声や,質問後に「あぁっ!これ感情がないやつ!!」という声が出るようになっていきました。
これは,以前拝見した鈴木先生の授業でも見られた流れで,学年というより経験が関係するのかなぁと思いました。

①GPT-4が作ったオノマトペからイメージを広げる
これは,もっと丁寧に扱ってもよかったなぁと思いました。

ここまで出たとき,子どもたちは「やっぱり考えられないでしょー」と言っていて,そこからの・・・

ブリパブリパ爆誕

「ブリパブリパ」はずるい。練習で出なかったような想定外のナイスクロスが来て,焦りました。
まずはみんなでどんな風に声にするかを出し合った後,挙手発言でイメージを出してもらいました。(ここ書かせればよかったかも)

  • すごいおならの音

  • リズムにのった人のすがた

  • しゃがんでジャンプするようす

そんな中で,ある子が「これAIはどう答えるのかな」と狙い通りの一言。
そこから「いや,これ感情ないから無理でしょ」と朝の流れが生きた反論。

「ほらぁこれ出せないや」からの・・・

「出た!出た!」というところがこの授業で最も注目が集まった瞬間だったと思います。
でも,ここで「うーん,これなんかブリパブリパっぽくなくない?」とちゃんと水を差してくれた子がいて,少しみんなで考える。
1,2,4は読み方によっては納得。3はしっくりこないというのが,みんなで話していた感触。
その後「どれが一番ぴったりかなぁ」と聞いたら,学級では2>4>1>3でした。私は1がお気に入りです。「ぶりぱっ,ぶりぱっ」という感じですけど。

②自分が作ったオノマトペのイメージを聞いてみる
これは,本当に1人1GPT-4が欲しかった場面でした。
狩人の目つきで挙手をし,自分のイメージマップにがりがりとメモする子たちがいました。

「たりたり」
「ホギャーン」

非常にいい感じの反応だった一方で,待ち時間が気になりました。45分間一斉での授業,やってこなかったなぁとも。ここで興味が持続しなかった子もいました。
そして,前時に感じていたのが「オリジナルオノマトペを考えることは,2年生にちょうどよい課題であったのか」という,そもそもの問題。
自分では既存のものしか出せなかった子も,ほかの子のオノマトペのイメージを考えることで救われた部分もあるかなぁとも。

③使ってほしい言葉を挙げて、GPT-4に詩を書いてもらおう
ちょっと乱暴な展開で,何人かの子に入れたい言葉を挙げてもらって詩を作らせました。一人でやるよさ,グループでやるよさ,みんなでやるよさ,まぁそれぞれありそうです。

みくみく・しゃんしゃん・ずんずん

ちょっとふざけはじめるお子様たちと大人。

バスケットマン,堤,ビリビリ,村の神様,ちょぼちょぼ,最強のおとこ

そうやっていくつか詩を作っている中で,「これリズムがいい!」という子が出てきて,「早口言葉?」との発言。よしきた!
④他にもどんなことを一緒にやってもらいたいか考えてみよう
こうして子どもたちのなかで,クリエイティブサポートな道具として認識されました。

みんなで練習しました

スポーツ好きな子は,

この後,スポーツを考えてもらう流れに寄りすぎた。

「先生,ひょっとしてこれゲーム作れる?」と。「作れるんだよねぇ」とにやり。しかし準備と時間不足。

国語の教科書の目次をみて,何やってもらうか考えてみようかと促すと
「あったらいいなこんなもの!」と即答。

ひみつ道具も考えられる

「これ,またやりたいなぁ」との声もいただきました。

さて,国語科として,これにどれだけの価値があったのでしょうか。
私はこういう方向性で使っていきたい,使わせていきたいが,どうなのでしょうか。
そういうことをしっかりと俎上に載せてもらえる場で次年度検討していきたいところ。そのためにはやはり公式戦をな,求めていかんとな。
そして,こんな風にできる学級の風土を次年度以降もパワーアップしながらつくっていきたいなとも思いました。

やはりどうしてもこの形で展開できるのは物珍しいうちだよなぁと思います。
規約面・環境面・発達面での制約によって,現状教師だけが扱える道具であるということが嫌で、それはいつか子どもたちに見抜かれてしまうと思います。
そういう点で子どもたちが使うことのできる可能性が残っているBing Chatに期待しています。

※この記事は,実際にあったかもしれないし,なかったかもしれない授業です。また時数計上は念のため学校独自設定科目の時間で行いました。

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