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今、充実のテレビドラマ

 コロナ禍も2年目を迎えた今、テレビドラマが充実している。見ごたえのあるドラマが続々と放送され、追いかけて見るのが大変なほどだ。去年からでも、『半沢直樹』『知らなくていいコト』『心の傷を癒すということ』『JOKE~2020パニック配信』『リモートドラマ Living』『MIU404』『スイッチ』『岸辺露伴は動かない』『ライジング若冲』『麒麟がくる』『光秀のスマホ』『俺の家の話』『青天を衝け』『大豆田とわ子と三人の元夫』『おちょやん』『コントが始まる』『今そこにある危機とぼくの好感度について』・・・と傑作が並ぶ。

 ソーシャルディスタンスを保ちながらの撮影は難しいだろう。俳優やスタッフの方々は、感染しないよう細心の注意を払っていることだろう。仕事を失い大変な思いをしている俳優やスタッフの方々には、なんと言葉をかけていいか分からない。楽しく見ているこちらからは、計り知れない苦労をしながら、地道に製作されていることを思うと、ただただ頭が下がる。

 1年前にコロナが流行し始めた頃には、テレビドラマの撮影が完全にストップしてしまい、懐かしいドラマを再放送するなど、まったく時が止まってしまった時期があった。完全にリモート撮影されたドラマもあった。出演者やスタッフの方々が集まって、ドラマを作ることすらできない状況を見て、いったい世の中はこれからどうなってしまうのだろうと、不安な気持ちになったものだった。

 あれから1年。出演者もスタッフの方々も試行錯誤でドラマ製作を行い、この状況下でも撮影ができる、ある程度のノウハウを身に付けたのではないだろうか。そして脚本家の方々もこのコロナ禍で悩み、考え、表現内容がより深められたのではないだろうか。また、劇場での芝居が制限される中、表現の場をテレビに求めた俳優の方々も多かったのではないだろうか。それらすべての結晶が、現在のテレビドラマの充実であるように思われる。

 安穏とテレビドラマを楽しめる世の中が、いかに平和でありがたいものだったか、テレビドラマが製作されなくなる事態になって初めて痛感させられた。制限がありながらもテレビドラマが製作されている、というだけで、トンネルの先には明かりが見え、視聴者はパンデミックの緊迫感から少し解放されたのだ。現場の方々には感謝の思いしかない。

 今私たちはテレビドラマを見ることで、ポストコロナの楽しみを想像し、大切な何かに気付かされ、心救われている。このパンデミックにも、やがて終わりが来るだろう。その時テレビドラマは、より深みを増し大きく進歩していることと思う。ペスト禍の先にルネサンスが開花したように。

#テレビドラマ感想文

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