【血の粥】手製の猟銃をぶっ放す(4)
エコーはどこをどう撃ったのか覚えていないほど高ぶっていた。乾いた銃声が鼓膜を覆う、耳がヤラレる。恐竜コウモリのダメージを確認できない。それでも手応えの感覚はあって、コバートとの日々の経験の成果だとめまいのする脳みそで思った。すると自動でコバートとの思い出が脳内再生される。感傷的になるのをエコーは嫌がったが、拒むことは出来ない。幼い頃に行った海の風景の記憶、子どもたちが集まる場所での勉強、一緒に食べたシカやウマの肉のうまさ、何より狩りでコンビを組むようになってから随分と経ったことをしみじみと振り返っていた。それはコバートとは《さようなら》ということか。「そんなの嫌だ!」とエコーは気づいたら叫んでいた。興奮は収まらない。目の毛細血管が赤く浮き上がっている。両脚がガタガタ震えて、小便を垂れ漏らしていることにもエコーは気づいていない。それより《お別れ》というネガティブなことを考える自分を憎悪した。
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