【血の粥】「はじまりがすべてなら、脳が痺れを欲してる」(59)
《コンクリート・ジャングル》とか《冷凍都市》と呼ばれるここは未来。毎朝の満員電車、多彩なフードコート、ぬくもりのある浴場、スクランブル交差点から見上げる大型ビジョン。猫は暮らせている、犬は愛されている。匂いがする、誰かの香水の匂い、誰かを思い出す?人々の記憶のなかには呪術師も吸血鬼もいない。それは民話の中の伝説人。神ですら信じる人はいなくなった。スマートフォンに人間は人生を乗っ取られた。AIは容赦がなくずる賢くて、スマートフォン越しに、人間をも征服に来ている。映画のような出来事。もっと未来には人間いなくなるはず。コバートやエコーやジャと同じ過ちを犯す。もちろん3人を現代人は知らなくて、自分が正しいと信じて戦った先祖であることも知らない。ありがたがる必要もない。そう、人間のはじまりがすべてだった。あれは間違いだった。それを知りたくないから、人間は本能的に自分を守り、脳が痺れを欲している。
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