民法 制限行為能力者と意志無能力者
1.制限行為能力者
制限行為能力者とは、判断能力に問題があったり、経験が乏しかったりすることにより、契約や法律行為上の約束を守らせることが難しい人のことをいいます。
制限行為能力者には、①未成年者、②成年被後見人、③被保佐人、④被補助人、の4つが含まれます。
未成年者とは、18際未満の未婚者をいいます(民法4条、753条)。
成年被後見人とは、家庭裁判所によって後見開始の審判を受けた者をいいます(民法8条)。後見開始の審判は、事理弁識能力を常に欠く者について行われます。
被補助人とは、家庭裁判所による補助開始の審判を受けた者をいいます(民法16条)。補助開始の審判は、精神上の傷害により事理弁識能力が不十分である者についてなされます(民法15条)。
被保佐人とは、家庭裁判所による保佐開始の審判を受けた者をいいます(民法12条)。保佐開始の審判は、精神上の傷害により事理弁識能力が著しく不十分である者についてなされます(民法11条)。
これら4つの保護を厚くすべき順番は、②成年被後見人、①未成年者、④被補助人、③被保佐人、の順です(成年被後見人が最も保護の必要性が大きく、被補助人が最も保護の必要性が低い)。
成年被後見人:判断能力が常に全くない人
被保佐人 :判断能力が著しく不十分な人
被補助人 :判断能力が不十分な人
2.意思無能力者
意思能力とは、自己の行為の結果を判断することができる精神的能力のことです。この意思能力が無いとされるのが意志無能力者です。
概ね7~10歳程度の判断能力に相当するとされていますが、意志無能力であるか否かは、法律行為の内容に応じて、個別具体的に判断されます。例えば、安価な日用品(100円程度)を定価で購入する場合には、一定額の金銭と引き換えに目的物を得ると認識できる程度で、意思能力があると判断されます。
意思能力の有無は、意思表示をしたときを基準として判断されます。
例えば、未成年者にも意思能力はある場合も多いですから、その未成年者は意志無能力者ではありません。一方、泥酔している場合には、意思能力が無い場合が殆どでしょう。
つまり、意思無能力者と成年被後見人などの制限行為能力者の制度は別の制度です。
●参考文献
・佐久間毅・石田剛・山下純司・原田昌和(著)『民法I 総則 第2版補訂版』(有斐閣,2020)
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