見出し画像

スズメバチとアレルギー

フリーランスの庭師です。職業柄スズメバチには過去3回(6ヵ所)刺されています。

庭師が刺されるのは概ねキイロスズメバチです。キイロスズメバチの多くは木に巣を作りますから。ちなみに死亡事故も発生するオオスズメバチは、地中や木の根元のウロ(穴)に巣を作るので、まだ刺されたことはありません。

〖初回  左腕に3発〗

スズメバチに初めて刺されたのは大きなツバキの木の中でした。

あっと思った瞬間に左腕3ヵ所に刺されました。もちろん痛かったのですが、想像していた程ではありませんでした。鼓動が激しくなったりとか、息が苦しくなったりといった症状もなかったので、10分位休んで仕事に戻りました。

〖2回目  右腕に2発〗

2回目は高さ8m位のシラカシの木の上です。

ぼうぼうに繁った木の一番上に登って、大きな枝を切り払うと、チラッと巣が見えました。
「ヤバい!」と思った瞬間に蜂が一斉に襲ってきたのですが、木の上なので逃げ場がありません。本能的に右手に持っていた剪定ばさみを投げ捨て、木から落ちるように滑り降りていきました。地上に着くと、あちらこちらに傷と打撲。そして右手に2ヵ所刺されていました。

この日も10分位休んで仕事に戻ったのですが、数時間後に右手が腫れあがって鋏を持てなくなったので、やむなく近くの医者へ行きました。医師からは「何で刺されてすぐに来ないの?素人判断で甘くみちゃ駄目だよ。」と叱られましたが、痛みも想定内だし他に症状も出ていないので、「はぁ、仕事が忙しかったので…。すみません。」という感じでした。治療といってもステロイド系の薬を塗るだけですし。

〖3回目  首の後ろに一発〗

3回目は高さ5m位のコナラの木の上です。

木に上り繁った枝を切り払った瞬間に「ぶ~ん」という音が聞こえました。「しまった!注意してなかった!」と思った瞬間に首の後ろを刺されていました。季節が10月の中旬だったので油断していました。首だったのでさすがに不安になりましたが、やはり痛みもそこそこ、他の症状も無しだったので少し休んでから仕事に戻りました。
(作業開始直後だったため精神的ショックは大きかった。やる気の喪失。)

3回刺されても大事には至っていないので、「俺はスズメバチには強いんだな。」と思っていました。

〖アレルギー検査〗

そして数年後。元請け会社の職人仲間がスズメバチに刺され、アナフィラキシーショックで救急車で運ばれる事故がありました。

それが発端で元請け会社では社員全員がアレルギー検査を受けることになりました。下請けの私も元請けの好意で受けさせてもらいました。

食物アレルギーは経験したことはないし花粉症も発症していなかったので、きっと結果はオールA判定だろうなと思っていました。ところが、医師から結果を聞かされてビックリ!

「色んなアレルギーを持ってますね。全国で100位以内に入りますよ。」

「はあー!  ( ゚д゚)ポカーン」という感じでした。

スズメバチ、アシナガバチ、ダニ、ハウスダスト、ブタクサ、スギ、ヒノキ、カンジダ、エビ、カニ、ゴキブリ(?)。

どれも高い数値ではありませんが、様々なアレルギーを持っていました。

その中でもスズメバチは過去3回刺されていたので数値は高く、医師からは「次にスズメバチに刺されたらアナフィラキシーショックを起こす危険性が高いから、エピペン(*注1)を処方します。仕事に行くときは常に携帯して下さい。」と言われてしまいました。

アレルギーは無いと思い込んでいた時にはスズメバチに対して大きな恐怖は無かったのですが、「次はアナフィラキシーショック」と言われてしまうと急に怖くなりました。

仕方なくエピペンの他にポイズンリムーバー(*注2)も購入し、仕事に行くときには必ず携帯するようにしました。また、春から初冬にかけてはスズメバチ・ジェット(*注3)を常備するようになりました。

そしてスズメバチの巣がありそうな木を剪定する場合は、十分に目視し、熊手等で枝を揺らして蜂がいないか確認しています。

『備えあれば憂いなし』なのか、それ以来スズメバチには刺されていません。

知識を持っていると準備ができます。皆さんも一度アレルギー検査を受けてみてはどうでしょう。意外な結果に驚くかもしれませんよ。

*注1  アナフィラキシーに対する緊急補助治療に使用される医薬品。
*注2  毒液や毒針を吸引作用で抽出する器具。
*注3  スズメバチ専用の殺虫剤。ホームセンターで購入可能。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?