#41 言葉のおきかえトレーニング③「ダメ」
障がいのある子どもと関わる育てる
発達支援初任者に向けたシリーズ、第6回です。
子どもとすごすと、つい口からこぼれ出てくる
「やめて」「ダメ」「待って」
この3タイプの声かけをできるだけ減らすことが、
子ども(特に自閉症特性のある子ども)
と関わる大人にとって最重要
だと私は思っています。
今回は「ダメ」について
・「ダメ」の代わりにどうすればいいのか
・「ダメ」とはっきり言った方が良い時
についての話です。
「ダメ」を置きかえる
これまでの「やめて」「待って」と基本の発想は同じです。
禁止や制止の声かけだけを投げかけられても、
「じゃあどうしたらいいの」
がわからないと、子どもはまた同じことをしてしまいがちです。
「ダメ」と言いたくなったら、
別の行動を提案する、
が基本の姿勢。
1. まずは注意をひきつける
「ダメ」という言葉を発する代わりに、何か派手なアクションを自分が取る作戦です。
などなど。
ストップさせたい行動の対象物から、子どもの注意を引きはがすことが第一歩。
それから、
2. 別の行動を提案する
おもちゃでも遊びでもOK 。
その子の興味が移り変われば自然と減らしたい行動はなくなります。
「提案する」というのがポイントです。
大人にできるのは「これはどう?」と問いかける所まで。
渡したものや示したことに全然興味を示さない、みたいなことはよくあります。
実際手に取る、遊び出すまで、色々持ってきて何度も試みてみましょう。
この習慣を持っておくと、
「このタイプの子はこういうのが好き」
というデータが自分の中に貯まり、予測の精度が上がってきます。
「見立ての精度が上がること」は、大人支援者の成長パロメータの大切な1つ。
色々試して、経験値を高めていきましょう。
「ダメ」とはっきり言った方が良い場合
「ダメ」の置きかえが上級編なのは、
自閉症特性のある子の中に時折、
「はっきり言った方が本人にとってプラス」というタイプの子がいるからです。
○「ダメ」と言葉にしない方が良いタイプ
注意喚起や逃避を目的に行動している場合は、
これまで言ってきたように「禁止」「制止」のフレーズは口にしない方がベター。
言えば言うだけ、行動がエスカレートしてしまう場合があるから、でしたね。
○「ダメ」とはっきり言った方が良いタイプ
一方、
自分の要求がはっきりしていて、強い手段で主張するタイプの子たち
の場合には、「ダメ」とはっきり伝えた方が良い場合があります。
経験から誤学習してしまっていて、要求達成には
・大声
・かんしゃく
・力づく
といった強い手段を押し通すのが一番、と思ってしまっている子たちです。
最初は弱い手段でお願いすることから始めて、要求に応じてくれないと段々行動が激しくなってくるタイプ。
大人側の方針が定まっていないと、
・最初は「ダメ」と言っていたのに
・段々激しくなる声や行動に耐えかねて、途中でOKを出してしまう
ことが起こりがちです。
これを成功体験として学習してしまうと、
「1回目でダメなら、OKというまで手段を強くし続ければいい」
という勘違いが起きてしまいます。
このタイプに当てはまりそうな子が要求や交渉を仕掛けてきた時には、
最初からスッパリ「議論の余地はありません」というメッセージを込めて
「ダメです」と断言した方が良いです。
大人側がつられて大声や強い言葉を使ってしまうとエスカレートする一方なので、
淡々と、真顔で、はっきりと伝え続け、
「交渉の余地がない」と思わせることが大切です。
以上、
「ダメ」を置きかえるためのアイデアと、
あえてはっきり言った方が良い場合
についての話でした。
ではでは。
(過去編はこちら↓)