読書紹介 そういえば読んだことない 編Part4 『イワンの馬鹿』
イワンのバカ!いくじなし!
どうも、こぞるです。今回紹介するのはこれまた誰もが名前を知っていそうな有名作、『イワンの馬鹿』作:トルストイ です。
今までのこのシリーズも内容について知らないものだらけだったのですが、これに関しては、タイトル以外の情報が、正直全くありませんでした。イワンが人だろうなってことぐらいで、もんのすごい叙情詩的な作品だったら、ここに書けるもの思いつくかなあ・・・などと心配しながら読み始めました。
下の画像は、一番好きな表紙を持ってきましたが、私はkindle無料版で読んでいます。
-作品内容-
19世紀から20世紀初等にかけて活躍した帝政ロシアの文豪、トルストイによる「イワンの馬鹿」を、大正から昭和初期に小説家・劇作家として活躍した菊池寛が子供向けに翻訳したもの。働き者のイワンと悪魔の物語。
作品内容にあるとおり、子供向けに翻訳したものが日本版のスタートだからか、児童書的・寓話的な描かれ方をしていました。
ところでこの内容の文を見て、「あれ?イワンって、馬鹿じゃなくて働き者なの?」ってなりませんか?私が当初想像していた馬鹿なイワンさんというのは、頭も悪くぐうたら怠惰で無能なダメ人間でした。しかし、今作で言われている馬鹿というのは、どちらかというと愚直というニュアンスに近いかと思います。
効率を考えたら、そんなのやめた方がいいだろうということでも、黙々とやり通す、そんな青年イワンさんが主人公です。
ちなみに、タイトルが「馬鹿なイワン」じゃなくて「イワンの馬鹿」であることについて。なんでこんなアーデルハイドの名言みたいになってるんだろうと思っていたら、どうやらこの「の」は同格の格助詞みたいですね。同格なのでイワン=馬鹿といった用法です。古典的な文法なので、当初の訳を慣習的に残しているんじゃないかと思います。音もいいし。覚えやすいし。
この同格の「の」ですが、現在ではあまり使われませんね。使えないことはありませんが。
A:飲み物買ってきたよ。なにがいい?
B:あー、コーヒーのあまくないやつある?
みたいな。
作品内容に戻して。
やはり一番印象に残ったのは、人というもの、とくに芸術などの分野で表現したい人の多くは、時代の急速な発展というものに疑問を持つのだなあという点です。
part2で紹介した『フランケンシュタイン』や、チェコの画家ミュシャに代表されるアール・ヌーヴォーなんかもそうですが、急速な文明の発展というものへの危機感というのは、高度経済成長後に悠々と生まれてきた私のような人間には、いくら考えても、完全には想像つかないような恐怖感があったのではないかと思います。
この作品の舞台は、決して書かれた当時のような(1886年)近代化した社会ではなく、シンデレラとかそういった世界観を想像していただくと早いのですが、そこには、顔の見えない近代戦争や、膨らみすぎた資本主義社会への風刺などが入っています
また、”案ずるより生むが易し”という言葉がありますが、いつか自分で小説とか書いてみたいなあなどと漠然と思い続けて幾数年の自分にとっても、身につまされる寓話だなあと感じました。
ところで、作者のレフ・トルストイさんについて調べると、非暴力主義者として知られるとあったのですが、作中で悪魔の尻尾をちょんぎったり、串刺しにしようとしたりしているのをも思い出して、宗教観のちがいや、未遂だったり故意じゃないだからセーフのかな?とか思っちゃいました。
外国作品って、そういうところも面白いですよね。
全体としてユーモラスに、それでいて”馬鹿”なお話となっており、ページ数も短いのでササササっと読み終えてしまいます。繰り返しになりますが、kindleで0円ですし。
本が読みたいけど、あまり時間が取れないなあという人にや、通勤・通学時間に読み切れるのないかなあと探している方にもおすすめできる一冊となっておりますので、ぜひ読んでみてください。
では、このへんで。
なぜかkindle版がうまく貼れなかったので、興味がある方はこちらの画像から飛んでください。
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