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読書紹介 ミステリー 編Part1 『ロシア紅茶の謎』

どうも、こぞるです。

こちらの「ロシア紅茶の謎」は、日本を代表するミステリ作家の有栖川有栖(ありすがわありす)先生の初期作品です。1994年発行で、警察にも顔がきく犯罪心理学者の火村英生と、大学時代からの友人でそこそこの推理小説家の有栖川有栖(作者と同名)のコンビが事件に立ち向かう短編集となります。
このコンビについては、昨年?に斎藤工・窪田正孝ペアでドラマ化されて話題になっていたので、知っている方も多いと思います。
ホームズ役(名探偵)とワトソン役(助手)という構成が多い日本ミステリですが、その中でもトップクラスに知名度が高いコンビです。

実はこの作品はこの2人が登場する作品群〈作家アリスシリーズ〉の3作目にあたりますが、(もしシリーズ物は頭から!という方がいれば『46番目の密室』からどうぞ)ここから読んでもたいして問題ありません。なにせ永遠の33歳ルートに入ったので。
では、なぜこれを今回取り上げたかと言うと、一つは短編集なので、読みやすいから。もう一つはエラリークイーンよろしく、読者への挑戦が入っているからです。

-作品内容-
作詞家が中毒死。彼の紅茶から青酸カリが検出された。どうしてカップに毒が?表題作「ロシア紅茶の謎」を含む粒ぞろいの本格ミステリ6篇。エラリー・クイーンのひそみに倣った「国名シリーズ」第一作品集。奇怪な暗号、消えた殺人犯人に犯罪臨床学者・火村英生とミステリ作家・有栖川有栖の絶妙コンビが挑む。

みなさんは、エラリークイーンを知っていますか?よく女性と間違われますが(アリスという名前も、そのオマージュでしょう)20世紀中盤に活躍した男性2人組の超有名ミステリ作家です。この方々も、ペンネームと同じくエラリークイーンという主人公が難事件を解く作品を多く世に出しました。また、先ほど挙げた読者への挑戦というのも、彼らの代名詞の一つです。
これは、事件の真相に作中の探偵が辿り着く前に、「必要な情報は全て出てきた、あなたは真犯人がわかりましたか?」といったページが現れる形式をいいます。つまりは、最後の最後のどんでん返しではなく、純粋にトリックで面白みを作れた作品でしかなし得ない手法ですね。

ミステリ小説の楽しみ方は様々あって、天才の活躍がみたいだとか、殺人犯の苦悩、警察組織のヒューマニズム、名探偵コンビのBLに想いを馳せる人もいます。
そんな中、この作品は一緒に謎を考えてみよう!楽しいよ!と語りかけてくるタイプの作品の一つです。
もしこの魅力にハマったのであれば、『作家アリスシリーズ〉の中でもとりわけ〈国名シリーズ〉と呼ばれるタイトルに国名が入る作品群を読んでいくのもおすすめです。
 
ちなみに、作中あとがきでも書いていますが、国名シリーズというのも、エラリークイーンの完全にオマージュですね。エラリークイーンの国名が入るシリーズがもともとそう呼ばれていました。

はたまた余談ですが、先ほどから〈作家アリスシリーズ〉と書いていますが、有栖川先生の他シリーズに〈学生アリスシリーズ〉というものがあります。これは大学のミステリサークルにいる有栖川有栖くんが出てくるのですが、この2人のアリスは同じ人物ではありません。
〈作家アリスシリーズ)に出てくる小説家アリス先生の作品に出てくるのが学生アリスくんで、〈学生アリスシリーズ〉の学生アリスくんが趣味で書いている作品がに出てくるのが〈作家アリスシリーズ〉という鶏と卵的なパラレルワールドになっています。
ややこしいですね。しかも、そのどちらも本当に書いているのは有栖川有栖というペンネームの、現実世界の大先生です。

こちらの〈作家アリスシリーズ〉も含め、有栖川先生の作品はほとんどがKindleでも発売されているので、自粛期間中に暇ができたら、いかがでしょうか。


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