身体に気をつけてください
昨日はヒコロヒーさんの著書「黙って喋って」のお渡し会に行った。
ヒコロヒーさんのネタやエッセイ、トークで見られる、一言で心をぶっ刺すようなワードセンスが大好きで、それに加えてタバコを吸う姿、風貌がとてもかっこよくて、ヒコロヒーさんの吸っているタバコの銘柄を調べて同じのを吸っていたこともあるほどだ。
そんなヒコロヒーさんと対面できることを嬉しく思いつつも、そういったイベントに参加することは初めてで、何を言ったらいいのかまったくわからなくて不安で、前日は少し体調が悪かった。
一人で会場まで行くのは心細かったので、友だちに付き添ってもらうことにした。
時間になるまで昼食を食べたり、プラプラしたりしていたのだが、ずっと宙に浮いている感覚で、何を食べても何の景色を見ても、何にも入ってこなかった。なんの配慮もできず、付き添ってくれた友だちには申し訳ない。
集合時間になって列に並んだ。すでにかなりの人がいた。
周りに自分と同じようなヒコロヒーさんのファンがいると、落ち着くものなのかなと期待していたが、緊張はうなぎのぼりになるだけだった。
舞台でネタをするとき以来の、何も考えられないこの感じはすごい嫌だけど、刺激としてはやっぱり格別だなと思った。
列が進んでいき、ついに会場の中へ。テレビ、ラジオで散々聞いてヒコロヒーさんの声が生で響き渡っていた。
初めはヒコロヒーさんのテンションが「あざっす、おなしゃす」くらいの軽い感じかと思っていたのだが、実際は「ありがとうございます、これからもご贔屓にしてください」というとても優しくて丁寧な対応をされていて、マジのスター、芸能人という感じがした。
そしてあっという間の自分の番になった。
長机の真ん中にヒコロヒーさんが座り、周りに3人くらいスタッフの方々が異常なくらいの笑みを浮かべて待ち構えていた。
僕が正面の位置に着いた後にヒコロヒーさんがこちらを向いたのだが、その後からの記憶がほとんどない。
好きなネタのことと、R-1頑張ってくださいという2点はしっかり言えただが、自分がどういうトーンで言ったのか、ヒコロヒーさんがどういう反応をしていたのかがうまく思い出せない。
結果言いたいことだけ言って、自分から切り上げてしまうという、自分の内弁慶さが遺憾なく発揮された形となった。
けれど、去り際にしっかりこの光景を目に焼き付けようと、目を合わせながら3回お辞儀をした。その点は自分を褒めてやりたいと思う。
会場を出て階段を降り、正気に戻っていくときに、つけていたネックウォーマーが汗でビショビショになっていることに気付いた。
緊張の糸が切れ、友だちと合流して居酒屋に行き、お酒をたくさん飲んだ。自分も楽しかったし、友だちもいつも喋らないことを喋ってくれたのでとても楽しい、いい一日だった。
帰り際用を足しているときに、ふとヒコロヒーさんが「その服に合ってるね」と自分が来ていた単独ライブのグッズのパーカーを誉めてくれたことを思い出した。
なぜそのタイミングで思い出したのかはわからないが、しっかり自分の事を見ていてくれたんなと感じ、とても嬉しかったし、ときめいてしまった。
こういえばよかった、ああいえばよかったという反省はたくさんあったのだが、この一言を思い出して、まあいいやと吹っ切ることができた。
ヒコロヒーさんは本当にかっこよかったし、こういうイベントでかけてもらえる言葉ってすごく胸に残るし、それが明日への活力に繋がるなと感じた。
アイドルの握手会に2,3時間も並ぶなんてアホらしいと思っていたけど、少しだけその良さが分かった気がした。
好きな人、憧れている人がいる限り、生きていける。それくらいの大きな力を、このお渡し会で感じた。
でも、だからこそ、そういった大きなパワーを発信する側はとても繊細で気を使うし、大変なんだろうなと思った。
またお会いできる機会があったら一つだけ、身体に気をつけてください、と声をかけることができたらいいなと思う。
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