ふとん職人が作る、新たなプロダクト
名古屋市熱田区に店を構える丹羽ふとん店5代目の丹羽拓也です。
職業はふとん職人です。
ほとんどの人が布団を手作業で作っているとは思わないでしょう。
しかし僕は家業が故にふとんは手作りだとずっと思っていた。
僕がふとん職人になったのは2004年のことだった。
大学を出て、大手の電器メーカーで営業をしていたが、どことなく仕事に満足出来ず、就職難という時代だったのか「Pen」や「BRUTUS」で職人を特集する記事が多かったような気もする。そんなこともあって職人に憧れがあった。
大学生の頃に革細工をしたり、Tシャツを刷ったりとすこし変わった大学生だったかもしれないが、就職するなら一部上場している会社が良いなんていかにも普通の大学生だった。
そんな僕が家業に入り(継ぐなんて大それたことは言えたものではなく)ふとん職人をとして1歩を踏み出した。
まぁ紆余曲折あり、僕の職人の歴史なんてどうでも良いのだが、一つ変わることが出来たのは「技能グランプリ優勝」だったと思う。
グランプリの話もいつか書きたいと思うが以前書いたブログがあるので、興味ある方は是非
そんな僕が今色々と行っている活動の中で、最近作ったプロダクトがある。
「ZEN Stool」
以前ロンドンでLondon Craft Weekに参加したことがこのプロダクトを作るきっかけとなった。
ロンドンに行く前に色々な方に教えて頂き、特に大阪のキルンワーク作家の矢作さんに聞いた話が気になった。
「メディテーションする方が多いですよ」
そんな中行ってみて、たくさんの方に話を聞くと多くの人がメディテーションをするというではないですか。
現地で聞いた生きた情報は僕にとってとても有意義だった。
通訳をして頂いたコラージュ作家の上野王香さんとの出会いもロンドンでした。
そんなロンドンで実演したことは下記にまとめてあるので、こちらをご覧ください。
さて「ZEN Stool」についてだが、そんな情報を聞きながら、自分で出来る事は何だろうと考える中で、いくつものアイデアが浮かんできた。
コンセプトは
「整える」
”心を落ち着かせる為に、身の回りを整える。
整えることで心が落ち着き、楽になる。
座禅をし心を落ち着かせ、
瞑想をする事で気持ちが整えられていく。
ZEN Stoolは座るだけではなく、
様々な整える場面で使うことの出来る。
整えることで、心が豊になる。”
このコンセプトを考えた時に自分が一番欲しいって思った。
プロダクトの製作は自分で行えるが、今回ウェブサイトなどビジュアル面を図録デザイン研究室の鈴木氏にお願いし、動画まで作り上げてもらった。
作る工程は特殊な縫い方をしたり、見た目をシンプルに削ぎ落とすデザインになった。今回ふとん職人だからこそ出来るプロダクトが完成したのである。
技術に関してはまた書きたいと思う。
せっかく海外での取り組みの中で思いついた物なので、海外向けに英語版のウェブサイトも作成した。
多分すぐにnoteに出てくると思うが、holkのデザイナーの山本氏がいつも言っているが、
「誰と出会うかが重要だ」
僕はこの言葉がすごく好きで、たかが名古屋のふとん職人が色々な事に挑戦できるのは、様々な人との出会いがあったからで、僕はかなり運の良い方だと思う。
この幸運についてはまた書きたいと思う。
何はともあれ「ZEN Stool」を見てやって下さい。
2021.4.3(土)- 4.18(日)に岡山県牛窓にある御茶屋跡での展示が始まります。
ここの風景は一度見たら、何度も行きたくなる素敵なところです。
ふとん職人でも色々と考えれば出来る事を、これからも書きたいと思います。
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