不登校クロニクル 2015年(小2)
現在、通信制高校2年生の長男の不登校クロニクルです。
要約バージョンに続き、各年を記録しておきます。
100人いれば100通りの不登校(きっかけ、過ごし方)があります。我が家のケースということでお読みいただければうれしいです。
今日は2015年、小2の時の記録です。小中学校9年間のうち、付き添い無しで通えた唯一の年でした。
小2概要
特別支援学級に転籍して、明るいO先生のサポートのもと、学校生活にチャレンジする。
転籍したものの、ほとんどの授業は交流学級(いわゆる通常学級)で受ける。
毎日、教室の入り口まで送って行く。
先生と密に連絡を取り合う日々。
学校生活全般、行事、宿題などのフォローが大変だったが、振り返れば貴重な1年だった。
この後、小3から中3まではほとんど授業に参加できなくなる。
本人の中では、学校に行けていた「いい時代」として記憶に残っている(と、このnoteを書くにあたってわかった)。
庭では本格的に野菜栽培を始める(中3まで)。特にトマト作りに熱中する。
一学期
特別支援学級に転籍し、担任が、若くて明るいO先生となる。
付き添い登校の終了をO先生から提案される。
教室の扉まで送り、帰る。
座席は一番扉に近いところに固定してもらう。(合理的配慮)
教室ではO先生がいつでも横にいて、疑問を解消してくれる。
いろいろあったが、「野菜に詳しい」というキャラ設定で、なんとなく学校にいられるようになる。
いろいろの一例
◎ランドセル
背負えないので、一人だけ手提げカバンで登校していた。クラスメイト、びっくり。
◎体育
体操服を着られないので、すったもんだする。
今思えば、安心できない学校の中で服を脱いで、また着るというのはムリがありすぎた。
◎給食
給食当番、むずかしい。
二人で一つのおかずを持つというのが特にむずかしい。
相性の良い子でもギリギリ。
◎掃除
どうしてもスムーズにできない。
掃き掃除などはできるのだが、拭き掃除が特に苦手だった。
誰かと息を合わせて机を運ぶといったこともむずかしい。
毎日、ちょっとした騒ぎになりながら、なんとかやっていた。
◎身体測定
服を脱ぐ、というのがどうしてもできなかった。付き添いなしで通っていたが、身体測定は付き添って欲しいとよくせがまれた。
列の最後にしてもらい、靴下等も履いたまま、測定していた。
◎遠足
大阪の動物園への遠足。
嫌がる。学校さえ不安なのに、ましてや見知らぬ場所へ行くなんて。
(今思えば、だよねえ・・である。)
駅まで付き添う。
改札で見送ろうとしたら、逆流してきてびっくりする。
ホームまで見送り、のつもりが、つい一緒に電車に乗ってしまった。
行ってないことにして身を隠す。動物園の近くのカフェでモーニングを食べ、無印良品で帽子を買って帰った。
学校にまた迎えに行く。先生からは「よくがんばってましたよ」との言葉をもらう。長男から特に感想は出なかった。
二学期
運動会練習が大変だった。全くダンスができない!
家でYouTubeを見て、音楽に体をなじませようとする。
幼稚園の時は、なんとかできていたが、「退行」したように感じる。
(後から思えば、これも<成長>のプロセスだった。)
綱引き、全校生徒参加の予選会でパニックになる。
他の子と体が触れ合うと、ワッとなる。
O先生が工夫して、太い綱の端っこに細い綱をつなぎ、他の子たちと体が触れ合わないようにしてくれた。
宿題、とても時間がかかる。
九九、六の段以上が覚えられない。
体を使いながら、できるだけ明るい雰囲気で、クリアすることを一緒に喜び合うようにして、こなしていく。
年末に特別支援学級が全校生徒の前で劇を発表するという慣例があった。
どんな子も舞台に長男に合わせた「サツマイモほり」をモチーフにした絵本をもとにした演目になる。
が、とてつもなく難易度が高く、舞台袖まで付き添いが必要だった。
最低限、一言だけでもセリフを言わなければならない。
言えない特性があるからやめます、が許されない雰囲気だった。
どうやって乗り越えたのか記憶にない。
O先生、冬休みに結婚する。
それでいつも雰囲気が明るかったんだとわかる。
三学期
記憶に残っているのは大縄大会。
クラス全員が出場するというのがルールだった。
どうやっても縄が飛べない。
ジャンプがそもそも苦手だった。
一番手で、なんとか一回だけ縄を飛んだことにした。
(飛ぶというか、足の下を縄がくぐってくれたという方が近い。)
今となっては、「こういう時にどうするか」を考えること自体がクラスにとってすごく学びだったのではという思いがある。(ある意味、優勝するより大事だということを先生が知ってくださっていたらいいなと思う)
学校外
春から秋にかけ、奈良教育大学の特別支援教育研究センターから、京都大学の先生が中心となって実験されていた感覚統合療法への参加を提案され、全10回受ける。
「効果」をはかるため、受ける前と受けた後に、運動スキルを測る検査を受ける。
絵を描く検査もあったが、人の絵を描くことをとても嫌がった。(棒人間でも)
植物はずっと見てるけど、人に視線が合う時間が少ない。人の形をあまり認識できてないのかもしれないとわかる。トマトやナスの絵は描きやすいようだった。
書字スキルを見る検査では、□や◆や☆などを見て、写すのもかなり難しさを感じているのがわかった。
「み」などは、とても難易度が高いのだった。
学校になんとか通ってはいたが、行き渋りがあったり、パニックになったり、親としてはヒヤヒヤが多い1年だった。
本人としては「いい時代」で、クラスメイトにも恵まれたという思い出になっていると、このnoteを書くために聞いてみて知った。
「いいこと何も言わなかったじゃない。困ったことばっかり聞いてた気がする」というと、「あえて親に話す性格じゃなかった」と振り返っていた。
通信制高校2年生の今は、学校でのうれしかったことも話してくれるようになっている。
(付記)
学校とのやりとりが楽になるシート。どなたも無料でダウンロード可能です。