愛犬の住空間では観葉植物がよく育つという発見
我が家には犬がいます。
この犬、長毛のダブルコートというほかほか仕様なのですが、生まれてこのかた可愛がられて育ったために暑さ寒さに弱く、また筆者が乾燥肌であるために、夏は冷房、冬は暖房と加湿器を、我が家のリビングでは絶えず作動させています。
しかしながら、リビングのエアコンは設置場所に難があり(縦長のリビングになぜか横向きについている)効きに結構なムラがあります。
そこでサーキュレーターを天井に向けて回し、滞留しがちな風をゆるやかに循環させるという措置を講じているわけです。
すると、どうでしょう。
観葉植物の調子がすこぶる良いのです。
王道ポトスは季節を問わずツルを伸ばし続けますし、難しいと言われがちなカラテアも通年くるくるの新葉(通称ストロー)を次々と出します。
観葉というジャンルに入るかはわかりませんが、ランもまた然り。
いくつか育てている着生ランは年中ぷりっとした根冠を見せてくれ(筆者は根っこフェチ)、胡蝶蘭は3ヶ月以上ものあいだ咲き続けてくれます。
植物の成長に欠かせない3つの要素として、光、水、風があります。
それぞれを人間に置き換えると、光は食事、水は血液や汗、風は呼吸に喩えられるでしょうか。
極めて端的にいうと、植物は日光のエネルギーで水を吸収し循環させ、風で運ばれた二酸化炭素を栄養素に変換します。これが光合成です。
光、水、風は光合成に必須であり、三位一体で植物の生命活動を支えている。
そこに植物それぞれが好む環境や要素が加わることで、より良い成長が促される、というわけなのです。
たとえば夏、南向きの部屋が無風になれば、いくら高温多湿を好みがちな観葉植物とて蒸れて枯れてしまうことでしょう。
たとえば冬、加温されていない部屋の夜間の窓際は屋外同様に冷え込みますから、先述のカラテアなどは耐寒性が低いために深いダメージを負ってしまいます。
ずいぶんと昔。
立ち寄った町の小さな花屋で、母にセントポーリアを買いました。
帰り際、店のおじさんが「自分がいて快適だと思うところに置いてあげたらいいよ」と言ったのを覚えています。
その時は(ぜいたくな花だな)と思ったものですが、自分がいろいろと育てるようになると、あの何気ない言葉こそ真理だったのだと気がついたのです。
我が家のリビングは
夏場は室温25℃/湿度60%
冬場は室温22〜23℃/湿度60% を維持しています。
もちろんその植物ごとに適温適湿は異なりますが、これがちょうどいい具合にマッチしているのか、どの株も大きなトラブルなく育つのです。
(病気はまったく、害虫被害もほとんどなく——環境に合う子だけがついてきてくれているのかもしれませんが)
自分一人だけのために絶えず空調を整えておく、というのはエコロジーの観点やもったいない精神が咎めるのが正直なところですが、ペットと暮らす上での空調管理は飼い主としての責務。
結果として、愛犬のために工夫した365日快適な空間が、まさに植物にとっても優しい環境になっていた、というお話でした。
さて、朝起きたらグリーンが茂る窓辺のロッキングチェアに腰をかけ、傍らには安らかな犬の寝顔、そしてコーヒーを片手に読書に耽る、筆者はそんな老後を夢見ていたりします。
そのために、犬と植物(と人間)がのびのび長生きできる幸せな居住空間を、これからも守っていきたい所存です。
おじさん。
あの時のセントポーリアは枯れてしまったけれど、あなたの言葉は今も胸に生きつづけています。また帰省の折には寄りますね。
では!