【表現評論】メモリーズオフ それから コアレビューその22 いのり&いのりトゥルールート3【全作再プレイシリーズ】
⚫︎前回の記事
⚫︎メールのやり取りは続く
卒業後、いのりとのメールのやり取りは続く。内容が全くないメール。師匠だったら未練がましいんじゃ! さっさと止めろ! って言ってくれるはず。ストーリーの裏側知ってたら別にいいんだけど、普通に考えるとあまりにも未練がましい。連絡先は今すぐ消した方がいいです。
⚫︎男にモテる男、女にモテる男
ほたる先生の惚気話を永遠に聞かされる一蹴君。愛が重い。そおちんにゃん人形はいのりからほたるに伝来したものらしい。いのりが起源だったようです。そしてどう足掻いても結局惚気話に戻る。イナケンの魅力とは何なのか。男から見るとさっぱりわかりません。僕が好きな主人公は智也と一蹴君だけど、明らかにこいつらモテる感じではないよね。
智也はモテるような描写はほとんどない。唯笑は幼馴染ボーナスだし、かおるは気の合う友人って感じだし、みなもは彩花ボーナスだし、詩音は執念で落としたようなもんだし、小夜美は弟ボーナスだし。向こうから寄ってくる感じは全くない。
一蹴君もいのりは過去ボーナス、果凛も過去ボーナス、師匠は執念、縁は妹ボーナス、のんちゃんは何だろう。よくわからんけど、一目惚れではないでしょう。いのりに初めて好かれたみたいな様子だったので、モテ男ではないはず。
逆なのはショーゴ君と伊波師匠。こいつらは放っておいても女の方から寄ってくる。一体この二人の魅力とは何か。顔か。終了。真実はいつも浅い。
⚫︎すれ違いミステリー
教会で第二ボタンを発見した一蹴君。いのりが別れた後もしばらくこれを持っていたことを知って、動揺します。はぁはぁ。なんで何だよ。このネタ前もやった気がするので、やめよう。こんだけ文章書いてると、よくデジャブに襲われます。絶対前にも同じこと書いただろ、みたいな。
そして以前のんちゃんに壊れた携帯をあげたわけですが、実は壊れてなかったよ、ということで返ってきます。そこに入っていたのがいのりからの過去のメール。初めてトビーに絡まれた日付で、いや違うんだって、扉とは何にもないんだって。マジで。みたいなメールが入ってました。一蹴君はこれを見ていなかったので、壮大な勘違いをしてたわけです。
その誤解が解けると、逆に一蹴君にとっていのりの行動は全て意味不明なものに見えてきます。誤解を解こうとしたり、コンクールの前に第二ボタンを握りしめたりと、別れた女の行動は思えねえ。なんでなんだよ。どうしてなんだよ。一体何が真実なんだよ。という感じで。この辺、後々のメモリーズオフに繋がるミステリー要素がちょっと見え隠れしてますね。
⚫︎凡人の価値と天才の価値
ラブラブパワーでピアノを弾いてるらしいほたる先生。天才は違いますよ。あれこれ考えないと弾けない、あれこれ考えて弾けないのは凡人ですわ。そもそも先生はフラれたって余裕でコンクール優勝してるし。プロになれるかも、って言われてたレベルの静流が、身内贔屓なしに天才というくらいだし。いのりは先生に比べると凡人です。別にいいんですよ。凡人で。いのりは凡人だから価値がある。先生は天才だから価値がある。
⚫︎やっぱり俺、やり直してえよ
とカナタに対して本音を語る一蹴君。信のいう通り、やるなら徹底的にやるしかないということですね。いのりがピアノを聴かせたかったのは、君でしょ、とカナタに言われ、うおおおお! という感じでいのりの元に走ります。
⚫︎教会
でいのりと再会。卒業式以来です。それにしても、シリアスなシーンでかかるumbrellaが名曲すぎて、作品の価値が5割アップくらいになっている。でトビーが出現しますが、もう他のルートでも散々見たやり取りが再現されます。お前、真実を話したらもう何するかわからんぞ、といのりに脅されて、トビーはすごすごと帰っていきます。え? そこは話してくださいよ。お前の真実厨としての力はそんなものなのか。いのりはやっぱりもう会わない方がいいと言って帰っていきました。話したくても話せない真実。
⚫︎勝手に待ち続けて勝手に倒れる男
来ないって言ってるのに教会で待ち続け、体調不良で家に担ぎ込まれる男。担ぎ込んだのはいのりさん。メモリーズオフ、このパターン多くない。勝手に待って勝手に倒れるパターン。いや、いうほど多くなかったわ。詩音ルートくらいしか思い出せない。しかも詩音ルートは一人で寝込んでたパターンだし。
⚫︎全てのシーンを彩る神BGM
看病されているところで、いのりに対して、やっぱり俺、お前を忘れられねえよ、忘れようと思ったけど無理だよ、お前が辛そうだと俺も辛いよ、など
と発熱のドサクサで洗いざらい撒き散らします。いのりのBGMがね、神かがってるんだよね。全てのシーンに彩りを添える、神曲オブ神曲。メモリーズオフのNo. 1BGMと言ってもいい。No.2はumbrella。いや、作品を進めていけばまた別のがNo. 1とか言い出すのは間違いないんだけど。でもやっぱりいのりのBGMがNo. 1です。
⚫︎天使の童話
これメモオフのオリジナルじゃなかったんですね。アンデルセンの天使という童話らしい。あまりにも無知ですみません。
⚫︎いのりの罪
教会の神父の部屋でアンデルセンの童話を見た時、一蹴君は過去のことを思い出します。ここで真実厨のトビーが許せない、いのりの罪がようやく開示されます。
一蹴君は過去につばさちゃんを病室から連れ出して事故に遭います。そのショックで元々病弱だったつばさちゃんは死んでしまいます。一蹴は事故から目覚めたときにつばさちゃんがいなくなったことに気づき、心を閉ざしました。そこで現れたのがいのり。いのりは一蹴君が守れなかった真のつばさちゃんに成り代わって、自分がつばさちゃんだと嘘をつくことで一蹴の偽りの救いを与えます。私は一蹴君に救われたと。ただこれ自体は本当なんですよね。つばさちゃんと同じ病室にいたのがいのりなので、毎日つばさちゃんのためにやってくる一蹴に元気付けられて、(副次的に)救われたというのは真実です。
この嘘を罪というかは微妙なところですが、真実マニアの扉さんからすると、完全に許し難い行為です。おまけに本当のつばさちゃん、リナの存在が忘れられているということで、二重に真実から遠ざかっています。完全に逆鱗に触れている。
ただこの時点では一蹴君はリナの存在には気づいてません。あくまで事故後に出会ったつばさちゃんがいのりだと気付いただけ。いのりの部屋で見た汚いそおちんにゃん人形は、一蹴の手作りだったということで、いのりさんは後生大事に持ってたわけです。縁ルートで一蹴のことがずっと好きだったと言っておりましたが、言葉に偽りはないほど一途です。その頃から10年くらい経ってるからね。10年越しに想いはまさにファンタジー。三日で次の男に行く現実界とは全く異なる。
⚫︎ウキウキでいのりに会いに行く一蹴君
つばさちゃんがいのりだったんだ、ということで、ウキウキモードで会いに行く一蹴君ですが、いのりの態度はよそよそしい。だって嘘だからね。いのりはつばさちゃんではないので。ウキウキの一蹴君に対し、優しい嘘をつき続けるいのりさんは、まさにメモリーズオフのヒロインにふさわしい。ただこのシーンの追加CG、君、ちょっと顔違くない。
結局やっぱりお互い大好きという感じで、ヨリを戻します。メモリーズオフの伝統芸である、持ち上げて落とすパターンの、持ち上げ状態に入ってる。いのりさんどうなんですかこれ。扉さんは全然納得してないので、邪魔されることは間違いないですよ。
ただなぁ。これ以上一蹴君を拒否し続けるのは不自然なんですよね。そこまで思い出されると、そのうちリナのことも思い出されるかもしれないので、自分がつばさちゃんだと勘違いさせておいた方が、マシかもしれないと判断したのかもしれない。高度な政治的判断。