見出し画像

【表現評論】メモリーズオフ ゆびきりの記憶  コアレビューその48 霞ルート4【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎引っ越した後の霞の経緯

引っ越した先の話。霞は元住んでいたところがどこの都道府県かすらわからなかったようです。キッズだからそんなもんですかね。わかったとしても父親の小間使いだから、行く手段もなかったと。つばめと違ってアレな要素はなさそうですが、こき使われていたことは間違いない。

父にとって私は、自分が気楽に生活するための道具であり、自分の自由を奪った憎むべき存在だった。
父は、母が私を身ごもったせいで、責任を取って結婚せざるを得なくなったという。芹澤家の長女の夫となる野望は、足がかりのはずの四女との結婚という結果で終わったのだ。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

足がかりで四女と付き合うってどゆこと。四女と付き合ったからって長女と付き合えるという発想がよくわからないんですが。クソ親父の思考回路を理解しようとする方がおかしいのかもしれない。そもそも長女の夫と四女の夫ってそんなに立場違うんですかね。伝統的な家だったら長男と四男は天の地の違いがありそうだけど、長女と四女にそこまでの違いがあるのか。とりあえず芹沢本家は男子がいなかったっぽいことはわかります。直樹はどういう立場だったんだろう。長女が婿を迎えたとして、その息子? 大輔は? ちなつは? この辺よくわからない。全員従兄弟っぽいから、直樹は長女の息子、ちなつは次女の娘、大輔は三女の息子、霞は四女の娘とか。みんな一人っ子という。長女以外は嫁入りしてるか苗字が違うのか。

何も楽しいことのない日々。でも、それは当たり前だった。
苦しんだ大輔を見捨ててからずっと、私は何も楽しいと感じなくなっていた。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

サバイバーズギルドはメモリーズオフのテーマでもあります。智也とかね。いのりとかね。麻尋とかね。りりすと智紗とかね。ゆびきりは霞がそのテーマを背負っている。

ある時、定食屋のバイト中にぎんじろーさんのテレビを見て、昔住んでいたところに気づく霞。その時から大輔に会って謝りにいくことが心の支えになっていたようです。

思い出す。特に好きだったのは、4人でテレビを見ることだった。
レッツゴー☆ペタペタを見ること自体も楽しかったが、テレビを視てから遊んでいたから、何か楽しい事が始まる予兆のようでわくわくした。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

一生テレビを見ていた霞にはこんな事情があったようです。過去の美しい思い出を頼りに生きてきたという。あまりに悲しい。10年くらい生きながらにして死んでいたのかもしれない。

⚫︎殿堂入りクソ親父

高2の時に芹澤家の跡継ぎ騒動が勃発。ちなつが死んだ直樹に対してかなり依存していることが問題視されたとか。ちなつは誰と結婚させられる予定なんですかね。本家に男がいなさそうだから、誰か養子として呼んでくるんだろうけど。本家に入れる男がいるなら、相手誰でも良くない? 男が傍流なので、本家の血を入れとかないといけないって事ですかね。それともちなつを本家の養子にして誰かを婿にする予定だったのか。

跡継ぎ騒動が起きてからクソ親父がアップを始めたようです。成金おじさんを連れてきて、霞が芹澤の跡取りだと言って結婚させようとしたとか。しかも成金おじさんに多額の借金があったらしい。どうやって金借りたんだよ。働いてなさそうなのに。

あの父が私を夜の仕事に就かせなかった理由がわかった。数少ない親の情だとかすかに期待していた自分が情けなかった。
汚れを知らない名家の娘。物は言い様だ。あの男は、私の商品価値を下げたくなかっただけだ。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

清々しいほどのクソっぷり。何一ついいところがありません。殿堂入りのクソ親父はつばめ父ですが、霞父もそれに次ぐレベルはある。この二人の前だとちはや父が可愛く見えてくるよ。

成金おじさんとクソ親父が霞を売る談合をしているシーンが出てきます。シリーズ屈指の胸糞シーン。

「そろそろあいつが寝付くころです。準備はいいですか」
……私のことを話していると知り、飛び起きた。
「人手なし? とんでもない」
「あいつが生まれたせいでオレの人生真っ暗ですよ。そろそろ途中精算してもいい頃でしょう」
「大丈夫ですよ。最近は携帯電話の性能も上がりましてね。いくらあの娘でも、現場を撮られてはもうどこにもいけません」
「いやいや。娘の初夜を記録にとどめるのは親の義務でしょう」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

やばいでしょこれは。散々こき使って何もせずに遊び回り、金を借りまくり、最後は金持ちに売ってフィニッシュという。相当なクズでも思いつかない所業。吐き気をもよおす邪悪ですわ。親の義務じゃねえんだよ。マジで寒気しましたわ。

⚫︎究極のヒロイン

このやりとりを聞いて、ほとんど身一つで家出する霞。無我夢中で大木のある公園までやってきたところで、大輔の家がなくなっていることに気づきます。そして呆然としているところに天川父がやってくる。やっぱり天川父なんだよなぁ。有能。

霞は転落事故で大輔が直樹になってしまったことを聞き、それが真実を言えなかった自分のせいだと考えます。もう二度と会わないでおこうと思ったものの、一目だけ見たいと思い、アパートの前で待っていましたと。それが最初に出会う場面ですね。霞が呼びかけると大輔は倒れます。

そのことを天川父に連絡すると、大輔の状態もちなつと同じく悪化していたことに気づきます。ちなつのことしか見てなかったけど、こっちもやばいと。二つを離すのが早すぎたかと。でも家に戻すわけにはいかないと。本家にバレたら大輔は北の果て行きになるかもしれないし。

「それなら、私が助けます」
「いや、だが……彼は君を覚えていないんだよ?」
「でも、私は覚えています」
大輔の姿を。声を。優しさを。
だが、おじさんが告げた言葉は、残酷だった。
「さっきの状況をみただろう? 彼に大輔君の記憶を取り戻させるわけにはいかない。その名前を口にするのさえ危険なんだ」
「彼が一番安定するのは、直樹である時だ。つまり君は、彼を大輔君から遠ざけなければならない」
「君は耐えられるのかい?」
「はい。私は……覚えています」
大輔を苦しめた元凶を。それは私。
これは私があがなうべき罪なのだ。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

助けたい。でも本当のことを伝えるわけにはいかない。自分が好きな人の記憶を取り戻させずに、安定する方向で助けなければならない。自分のことを思い出してくれないとしても、助けたい。それがあがなうべき罪だから。一緒に住んでたのは、大輔の容体を見守っていたからってことですね。アレだけツンケンしてたのは、大輔としての記憶を取り戻してもらっては困るからでしょう。好かれても困るっていう。

いやぁ。こういうのがメモリーズオフなんだよな。主人公のために、贖罪として、究極に自分を犠牲にする。これがメモリーズオフの真ヒロインですわ。いのりに続く究極のヒロインです。唯笑もそれに近いけど、唯笑には贖罪の部分がないのでちょっと違う。智砂もその要素はあるけど、やっぱりちょっと違う。究極のヒロイン枠はいのりと霞だけ。やっぱりゆびきりは名作です。

これから一緒にいられると思うと、心が歓喜にわくのを抑えられなかった。
私はずっと、大輔のことが好きだったのだ。ようやくそれに気づいた。
これまで流されるまま淡々と生きてきたのに、無理矢理結婚させられることを拒絶して逃げてきた。
そして、大輔がいるこの町へとやってきた。
どちらも同じ理由だった。それは、大輔のことが好きだったから。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

ヤンキーに体触られそうになった時もブチ切れてたからね。結婚させられそうになって今までほぼ全てを過ごした家から逃げてきたレベルなんだから、覚悟が違いますよ。とにかく大輔LOVEが伝わってくるエピソードが多い。愛されてるなぁ。ちなつ? ちなつはなおくんの嫁だからね。霞は大輔の嫁。ホムラとヒカリもね、ホムラの方が愛が伝わってくるんだよね。最後の名前選択は当然ホムラですよ。なんの話だ。

だからこそーー
私は大輔に嫌われないといけない。
彼は直樹にならないといけないのだから。
もしも大輔に好意を向けられたら、私がそれを認められなくなってしまう。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

合鍵を渡そうとした時、大輔がお前だから渡すんだ的な発言をして、霞が不自然の拒絶する場面がありました。こういう内面が理解できると、あのシーンも理解できるってことですね。合鍵を受け取ってしまったら、私がそれを認められなくなると。いやぁ。やっぱりゆびきりは深いなぁ。

直樹であるために自分を捨てよう。謝ることができなくても仕方がない。大輔の幸せのために辛くても自分の全てを捧げよう。そう決意して、霞は大輔(直樹)と同居したようです。真ヒロインのオーラが溢れている。

ここでようやく回想が終わります。回想だけで2記事も使ってるよ。


いいなと思ったら応援しよう!