【表現評論】メモリーズオフ ゆびきりの記憶 コアレビューその39 ちなつ・霞共通ルート10【全作再プレイシリーズ】
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⚫︎タイムカプセルを掘りに行く
みんなが過去について口を閉ざしていると言うことは、間違いなくいいものではない。そんなことはわかってるけど、知らずにはいられないのが直樹君の結論です。知らないうちに罪を重ね続けていたのかもしれないと思うと、真実を知る義務がある。ちなつが笑ってくれなくなるかもしれないとしても、真実を知る義務がある。でも知らない方がいいことって世の中たくさんありますよね。ただ善意で何かを知らせないと言うことは実は存在しない。人間が誰かに嘘をつき続けるのは、基本的に自分の利益のためです。基本的にではないな。全てと言ってもいいかもしれない。だからこそ自己犠牲が光るわけですが。
記憶を辿って公園の大木の根元を掘っていくと、四人で埋めたタイムカプセルを発見します。ただ開けようとすると激しい痛みに襲われて動けなくなる直樹君。やっぱ開けないほうがいいんだってこれ。
⚫︎仁義なき戦い
タイムカプセルの前でうずくまっていると、こいつがやってきます。
だから言ったんだよなぁ。女は信じるなって。
ここでようやく直樹君をディスりまくっていた視点がちなつのものであることがわかります。敵は霞じゃないんだよなぁ。敵はちなつなんだよ。散々引っ張ってきたミスリードの真実がようやくわかりました。
で殺され? そうになってるところに霞がやってきて、二人でつかみ合いの殴り合いのバトルが始まります。ヒロイン同士が戦う作品はゆびきりだけ。
実はこの修羅場みたいなのも特典のうちわで微妙にネタバレされていたという。このセリフの意味はもう少ししてから考えよう。
そうやって二人がバトってる間に直樹君はタイムカプセルを開けます。そこに入ってたのはなおくんとちなつの写真。その写真のなおくんは腕にアザがありませんでした。その事実にショックを受けて主人公は気絶します。じゃあこの主人公誰なのよって話で、ここまで来ればわかるよね。霞も最初に名前呼んでたし。気絶する前にも名前呼んでたし。
⚫︎ついに明かされる真実
写真のなおくんにはアザがない。つまりこの作品のアザ付きの主人公はなおくんではない。芹澤直樹ではないってことです。じゃあ誰かってもう一人しかいないよね。今まで散々直樹と呼ばれていたゆびきりの主人公は、実は芹澤直樹ではなくて鷹見大輔でした。こーれはマジで神展開。主人公の名前が途中で変わるゲームある? 実際死んだのは大輔じゃなくて芹澤直樹君だったわけです。霞も最初に会った時は大輔と呼んでるし、亨も大輔と呼んでいたので、伏線は至る所にあった。あったけどさ〜、初見じゃそんなの気にしないんだよね。パンケーキと一緒。初プレイ時は本当に驚いた。
霞とちなつの言い争いに焦点を戻すと、主人公の回想から、霞は勇気の意志を取ってこれなかった直樹を煽っていたフシがあります。ちなつのセリフである「あなただって加害者のくせに!」というのは、それを指しています。
「いいかげん現実を見なさい!」という霞のセリフは、直樹の死を受け入れられずに大輔を直樹として見立てていることを指しているわけです。でも確かにあなたが言えたセリフではないというちなつの感情は正しい。だって霞のせいで直樹君死んだのかもしれないし。
「それでもここにいる!」というセリフは、確かに直樹の死は私に原因があるが、それを差し置いても、大輔を守るためにここにいる、ということでしょう。
⚫︎ちなつはなおくんの嫁なのです
これでちなつが物語の冒頭から口癖のように言ってたセリフの恐ろしさがよくわかります。
「ちなつはなおくんの嫁なのです」
これ復讐のセリフなんですよね。ちなつはなおくんの嫁であって、間違ってもお前(大輔)の嫁じゃねえぞと。ちなつは作中で一回たりとも貴方の嫁とは言っていない。セリフはいつも「なおくん」の「嫁」。もしくは単に「嫁」。ちなつが好きだったのはなおくんであってだいちゃんではなかったんだなぁ。ホラーだよ。このセリフ。
一方、霞は一回たりとも主人公の名前を呼びませんでした。霞にとって主人公はあくまで「大輔」なので、一回だけ最初に「大輔」と名前を呼んでから失神した後は、一回も名前を呼んでません。「貴方」としか呼んでない。他ヒロインのルートで部屋を出ていく時に一回だけ「直樹」と呼んでます。もうそこでは霞も諦めがついて主人公が「直樹」として生きていくことを受け入れたということでしょう。
そして過去の回想から大輔を好きだったのはちなつじゃなくて霞です。そう考えるとやっぱり霞が真ヒロインじゃない? え? 違う? 最後までプレイした時にどうなるか。
なんで大輔が直樹として扱われていたのか。それはこれからわかる。次回からちなつルートです。