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【表現評論】メモリーズオフ ゆびきりの記憶  コアレビューその40 ちなつルート1【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎OP2 Sincerely

ちなつルートに入る時に流れるまさかの二つ目のOP。メモオフでOPが二つあるのはゆびきりだけじゃない? こういう演出驚くよね。アライズもそうだけど。この曲はメモリーズオフNo. 1のOP曲です。某曲に似てると言われてるけど、どうでもええねんそんなこと。名曲だから。歌詞も神だから。

⚫︎ちなつに悲しき過去

なおくんと違って乱暴なだいちゃんが苦手だったちなつ。四人で遊ぶようになってからはだんだんと苦手ではなくなったと。だいちゃんとかすみちゃんは物怖じしない性格で、年上グループともつるむようになって、可愛がられるように。ある時、亨が勇気の石が洞窟にある話を教えてくれ、それをかすみちゃんとだいちゃんがタイムカプセルに埋めたという。なおくんはかすみちゃんに臆病者と言われたようで

「かすみちゃんにああ言われたら、がんばらなくちゃって思う」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

と言い残し、その日に勇気の石を取りに行って死亡しました。落ち込んでいたちなつにだいちゃんがこう言います。

「泣かないでよ。僕がずっとそばにいてあげるから」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

ちなつはなおくんの嫁だったわけですが(実際許嫁だった)、とうのなおくんはかすみちゃんのことが好きだったという。で、そのかすみちゃんはだいちゃんが好きだった。でだいちゃんはちなつが好きだったと。つまり

直樹→霞→大輔→ちなつ→直樹

という構図になっています。悲しい。

⚫︎ちなつの心境

病院で眠っている大輔君(今後主人公の表記は大輔にします)を見つめているちなつの胸の内が語られます。

「ずっとニセモノだと思っていたのに」
「ずっと嫌いだと思っていたのに」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

主人公はあくまで大輔であって直樹ではないですからね。ちなつにとってはニセモノ。元々苦手だったし、直樹が死んだ原因でもあると思っているので、憎悪の対象でもある。でもさぁ、ってところで一緒にいた霞のセリフ。

「ねえ、霞ちゃん。ちなつ、変だよ……」
「……どうしたの」
「苦しんで倒れたんだよ? 本当なら、いい気味って思わないと変なのに……」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

こういうセリフが出てくるということは、少なくともちょっと前までは、主観的にはガチで憎んでいたことがわかります。長年騙し続けてたくらいだしね。積年の恨みってレベルじゃない。

「なのに、どうして……こんなに胸が痛いのかな」
「……簡単な話よ」
霞ちゃんは、ちなつをぎゅっと抱き寄せた。
伝わってくる心臓の音が、ちなつの心に染み込んでくる。
「貴方は嘘をついていたの。大輔にも、自分自身にも。ただ、それだけ」
きっと、霞ちゃんには最初から分かってたんだ。
騙してたつもりで、私自身が一番騙されていたこと。
偽りこそが真実で、真実こそが偽りで。
どうしてーー。
好きになっていたんだろう。
ううん。それに気づかないふりが出来たんだろう。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

自分が好きなのは直樹。大輔は未来永劫許してはならない憎悪の対象。そうやって小さい頃から自分自身を騙し続けて生きてきたのがちなつです。人間は自分自身すら騙すことができる。というか自分に騙されてることって多いですよね。自分の本心を常に把握して行動できる人間の方が少ない。人間とは不思議な生き物です。霞はそんなことは初めからわかっていたと。初めからとはどの地点を指してるのか。高校生になって初めて会った時? それとも昔から?

⚫︎大輔起床

倒れていた大輔が目を覚ますと、ちなつが手を握っていました。ついにちなつから大輔に真相が語られる。

ちなつは直樹が死んだ後、小さい頃から大輔と暮らしていて、大輔に惹かれていった。しかし元々直樹の許嫁で、実際直樹が好きだったわけなので、それは許されないと自分自身を縛っていた。でも大輔が好きになっていることは間違いないので、直樹に筋を通しつつ大輔のそばにいるには、直樹の復讐と称して大輔のそばにいるしかなかったと。そういう理屈のようです。なるほどなぁ。やっぱりゆびきりって神だわ。

ちなつもある意味自己犠牲系ヒロインなのかもしれない。なかなか骨のある女ですよ。別れたらすーぐ他の男と付き合う女ばっかりなのに、10年くらいずっと直樹君に筋を通してたわけでしょ。いや、直樹君はちなつが好きだったわけじゃないからな。直樹君が好きだったのは霞です。ちなつはある意味直樹が好きだった過去の自分に筋を通していたことになるのかもしれない。それでもすげえよ。でもそれももう限界に来たと。やっぱり大輔が好きだと。

大輔の方は直樹としてずっとちなつのそばにいると選択したことによって、自分自身を思い出さないようにしていたらしい。そんなことある? と言いたいけど、ここでは突っ込まないでおこう。ちなつを恋愛対象にできなかったのは、ちなつの行為が直樹に向いていることがわかっていたからというのが、今の大輔の理解です。もうどっちが直樹でどっちが大輔なのかわからなくなってきたわ。

大輔はちなつに受け入れられないことが無意識にわかっていたので、この10年間、自分はずっと失恋し続けていたのだと言っています。でも、もうそれも終わりだと。今全てを終わらせる時なのか。情報が濃すぎて全然進まないよ。

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