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【表現評論】メモリーズオフ ゆびきりの記憶  コアレビューその43 ちなつルート4【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎なおくんなおくんなおくんなおくん

なおくんの最愛の嫁が帰ってきましたよとアパートに帰ってくるちなつ。病院から帰ってきてもなおくんなおくんなおくんなおくん&色仕掛け。ひたすらくっついてくる。こえーよ。お前はなおくんなんだよ。分かってるな? 大輔とか言うなよ? と無言のプレッシャーがかけられている。

一人のアパートに帰りたくなかった。ちなつのいない学校に戻りたくなかった。バイトに行く気にもなれなかった。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

完全に大輔も依存させられてます。どうせなおくんだし許してくれるわ。チョロいわーと言っていた(言ってない)ちなつの思惑通りじゃない? 大輔の方は触れ合いたい本当の心は遠く離れてしまったと言っています。でも俺は大輔だっつーの! と言ったらまだ倒れるんだろうから何にも言えない。やっぱりチョロいのかもしれない。

⚫︎風呂に一緒に入る

どこでもついてくると言って風呂まで入ってくるちなつ。否定してもまた倒れるししょうがねえなと。でも正気が保てないので背中だけ流してはよ出ろと伝えます。一緒に風呂に入ったヒロインはちなつだけ。イチャついてるけどちなつが見てるのはなおくんだからなぁ。何この腑に落ちない感じ。NTRゲーだろこれ。

⚫︎霞先生に相談

風流庵の2階に住み込んでいる霞に昨日会ったことを話すと、お前一線超えてたら終わってたぞと説明されます。ちなつがまだ大輔を直樹と捉えていることを受けて

「上等。そんな貴方と肉体の関係を持った場合、あの子はどう受け取るかしら」
少しの間考えて、俺は言った。
「直樹に抱かれたと受け取る気がする」
言ってから気付いた。その状況が示す意味を。
「私も同意見。あの子は、おそらくそれを許嫁関係の復活と受け取るわ。そなったら、あの子は過去の関係に依存し続けるでしょうね」
霞はあまりに恐ろしい未来を予想して見せた。
「直樹は死んでるのに、か」
「あの子に取って貴方が直樹になるだけのこと。この10年間と同じようにね」
「…………」
俺は否定することができなかった。
きっとその瞬間、ちなつは心身共に『なおくん』の嫁になるのだろう。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

先生、そういうことは先に言っといてくださいよ。危なかったじゃないですか。ギリギリセーフだよ。許嫁関係の復活とか言われても、大輔は跡取りでもないし、許嫁って何なんだよ(哲学)。本家の教育どうなってんねん。本家の跡取りに仕えるようにちゃんと教育しとかなきゃ。あまりにも直樹に対して属人的すぎるだろ。そんだけ名家なのに、万が一の事態を全く考えていなかったのか。

ちなつもあんだけ好き好き言ってるわけですが、いまだに大輔をどう思ってるかは全く不明なんですよね。なおくんしか見てないし。

大輔は霞に部屋に戻ってきてくれと頼みますが、拒否されます。直樹が好きだったのは私だから、部屋に乗り込めば事態が悪化すると。そうか。今の今まで直樹が霞が好きだったことを大輔は知らなかったのか。

⚫︎加速するスキンシップ

どんどん接触度合いが過激になっていく二人ですが、霞大先生の日々の「お前分かっとんな?」助言のおかげで一線を越えずに済んでいます。やっぱり最後に頼れるのは霞さんなんだよなぁ。どうせちなつは直樹しか見てねえしという腑に落ちない感じも一線を越えない要因になっているらしい。ちなつが見てるのは直樹ですらない。本物のなおくんはちなつが好きじゃなかったわけだし。ちなつが見てるのは僕が考えた最強のなおくんだけ。

⚫︎赦し

大人は一緒に生活していれば大輔を大輔と認識でいると考えていたわけですが、その目論見は大きく外れていました。だって一緒に生活してても一生なおくんなおくんだし。ちなつが過剰なほど大輔にくっついてくるようになったのは、赦しを求めていたというのが霞の見解です。ちなつは確かにあの人は私を許してない、と言っていた。でもあの人はなおくんでもあるし、なおくんなら許してくれる。ということで、大輔に赦しを乞うのは不可能なので、直樹に対してひたすら赦しを乞うていたと。でもここ数日それも失敗してるので、直樹にも許されないと分かったらもうどうなるかわからんぞと。一線を越えてもダメ。越えなくてもダメ。何してもダメ。

状況を打破するには完全に鷹見大輔に戻るしかないと思い至りますが、そうするとちなつに憎まれるかもしれないので、八方塞がりです。今までの10年を捨てて、ちなつを捨ててでも大輔に戻るか、今の生活が破綻するまで続けるか。選びたくない二択。

⚫︎雨のたとえ

バイト先でやらかしまくっていたので信に何事だと問われます。そこで信と亨に全てを話す大輔。

「ああ。君と天川さんは土砂降りの雨の中に立ってるんだ。自然と上がることのない、冷たい雨だ」
「彼女は雨に濡れたまま、気づかないふりをして笑っている。そして君の手には、一人用の傘がある」
稲穂さんが言葉で描く情景が、不意に頭の中に浮かび上がった。
寂しげに笑うちなつ。強く強く降り続ける雨。
「止まない雨のなかで立ちつくしても、冷え切って体を壊してしまうだけだ。俺なら傘をさすよ」
そう言って、稲穂さんは僕を見つめた。
「一人しか入れない傘なら、君はどうする?」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

いつもの雨のたとえ。伝統芸能だけど、それほどいいたとえなのか。いや、智也と唯笑ならわかるよ? 他のやつにこのたとえを当てはめるのって適切なの? そうは思えないし、毎回思い出したように雨を持ってくるし。とはいえ、今回は内容自体は比較的まともではある。やたらと信に厳しい男。ずっと同じことを繰り返してますが、このいっちょかみコンサルみたいな立場が気に食わないんだよね。これ言っていいの1stと#5だけでしょ。あとこの文章テキストミスが入ってます。大輔の一人称は僕じゃなくて俺でしょ。

このシーンは亨の方が良いこと言ってるよ。昔から知り合いだし。

「覚えてるか? ちなつちゃんを泣かせたって言って、年長組に一人で挑んできた時のこと。男惚れするぐらい格好よかったんだぜ?」
「他人のために体を張るのが大輔だ。お前、あの時と同じ顔してるよ」
「同じじゃありません。決断するまでに時間がかかりすぎています」
「でも決断した。そうだろ?」
「つまり今、本当の意味で大輔に戻ったんだな。……健闘を祈るぞ、我が弟分」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

沁みるわ〜。本当の意味で大輔に戻ったんだなってさ。泣ける。やっぱり関係が深い人間の言葉の方が刺さります。


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