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【表現評論】メモリーズオフ ゆびきりの記憶  コアレビューその52 霞ルート8【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎霞とデート

同じ場所に住んでるのに駅で待ち合わせるところからスタートするバカップルぶりを発揮します。お待たせ、待った? ってやつをやりたいらしい。一生やっててください。

海岸について過去のエピソードが語られます。二人の出会いは相撲勝負だったとか。勝負厨らしい二人のエピソード。その後に月を捕まえようとしたエピソードが出てきます。ちなつが月を欲しがったので、みんなで水面の月を取ろうとしたやつ。OP2の歌詞にもあるよね。月の話。そう考えるとSincerelyの1番はちなつの歌詞、2番は霞の歌詞っぽい。

デートらしいデートをするというコンセプトでしたが、結局思い出の地巡りになっています。直樹君は頭脳係だったらしい。でも頭脳じゃモテないんだよね。最後にものを言うのは腕力ってわけ。剣崎順も言ってたよ。金も頭も関係ねえと。最後は力だと。霞が好きになったのも大輔だし。直樹を好きになったのは洗脳されたちなつだし。悲しい。男なら頭脳なんて鍛えてないで腕力を鍛えろという啓示なのかもしれない。慈悲なき啓示。

⚫︎直樹の肉声テープ

霞が持っていた肉声テープを公園の木の前で聞くことに。直樹は霞に認めてもらうために勇気の石をとってきてタイムカプセルに埋めたけど、それを霞に見せるのを忘れてたから、証拠としてもう一つを取りにいった時に転落死したようです。

「かすみちゃん、これでどうかな。ぼくのこと、みなおしてくれるかな。ぼく、じぶんでとってきたんだ」
「だいすけくんにおいついたよね」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

惚れた女のために頑張る少年という美しい構図。やっぱり直樹君は大器晩成型だったんだよ。生きてたら立派な当主になっていたのかもしれない。霞によれば直樹もちなつ同様に芹澤の都合の良いようないい子いい子に育てられたらしいけど、いーや俺は直樹君を信じるね。直樹はここ一番でやってくれる男のはず。もう確かめる術はないけど。

「そっか。直樹のやつ、霞が好きだったんだな」
「大輔がちなつを好きだったようにね」
「ぶはっ! お、お前、何て事を言うんだよ!」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

見事な四角関係の構図。それにしても、当時の大輔君は直樹を見ていて霞が好きなんだろうと気づかなかったのか。見てれば気づきそうなもんだけど、気づかないのが大輔クオリティなのか。

⚫︎愛ですよ、愛

こんなテープ持ち歩いてるてたくらいだし、霞の直樹に対するトラウマは相当なものだと考えられる。自分のせいで死んだとも言えるほどの因果関係はありそうですからね。智也と彩花、智紗と志雄母に近いレベルの因果関係はある。メモリーズオフヒロインズの中でも相当にトラウマレベルは高い。罪のレベルを考えると、智紗や智也よりも高いものがあるかもしれない。でも霞がここに来たのは直樹の好意に対して決別する意味もあったようです。その証拠にこんなことを言い出している。

「貴方が好きです。私を……貴方の恋人にしてください」
ーーそれは、飾り気を不要とするくらい真摯で、あまりにもまっすぐな愛の告白だった。
突然すぎて、言葉が思い浮かばない。
俺は熱くなった胸を押さえながら、霞を見つめていた。
「……あ、改まって何を言い出すんだよ。俺達はもうーー」
「やっぱり気づいていなかったのね」
「何を?」
「私は一度も、恋人になって欲しいとも、付き合って欲しいとも言われてない」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

4人の思い出の場所でこれを言うってことは、直樹の想いに断りを入れることでもあるし、ちなつに対してのけじめでもあるんじゃないでしょうか。いいシーンです。でもさ〜、どう考えても、もう付き合ってるのとおんなじじゃん? わざわざ言葉にする必要あるぅ〜? なんで女は言質をとりたがるんですかね。弁護士か。検事か。裁判なのか。不安だからって言われても、もうそんなんで不安だったら一生何かに怯えて生きていくことになりますよ。恐怖を克服することが生きることだって偉い人も言ってたじゃないですか。なぜ急に女への文句が始まるのか。でも霞は許すよ。可愛いから。可愛ければ全てが許される。それがギャルゲー。

ーー霞、俺に不釣り合いな、美しいひと。
彼女は報われないことを承知しながら、俺の側にいてくれた。俺のために苦しんでいることを隠して、俺を見守っていてくれた。
彼女がいたから、今の俺がある。俺の本当に大切な人。

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

とりあえずノルマの美しいアピールは欠かさない。そして2行目と3行目の霞の本質が全て描かれている。報われないことを承知しながら、側にいる。苦しんでいることを隠して、見守る。これはメモリーズオフヒロインの魂の継承者ですよ。しかも対象は大輔だけではなくて、ちなつまで含まれているのがもうね。やっぱり霞は至高のヒロインです。ゆびきり最高。

「お前を愛してる。これからも側にいてくれないか?」

メモリーズオフ ゆびきりの記憶

大輔も究極の男気告白を返します。この場面でこれ以上のセリフある? やっぱり愛なんだよなぁ。最後に愛は勝つんだよ。で、その後家に帰って一緒に寝ました。わかるのは一緒に寝たことだけで、一線越えたのかどうかはわからない。越えてないんじゃない? 全年齢だし。いや、全年齢は何の保証にもならないけど。こういう場面が出ると絶対一線越えたよね厨が現れます。絶対一線越えてないよね厨も現れます。仲良くしろよ。

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