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筒美京平特集のNスペを見て考えた、名誉やお金よりも大切なこと。

京平さんに対して心残りって全然ないよ。
すべて教わったし、会話もしたし。

生きたしね。

そういう意味では。心残りはない。
だけど、もう一度会いたかった。

もう一度会って話がしたいとか、
あと手がにぎりたかったなとか。

そのくらい。

僕は会いたかったよ。
手を包んであげたい。 

これは、NHKスペシャル「筒美京平からの贈りもの 天才作曲家の素顔」という番組の最後で、作詞家でミュージシャンの松本隆さんが、2020年10月に80歳で亡くなった作曲家の筒美京平さんを想いながら語ったことです。

家族以外で、信頼する仕事仲間に自分のことを「生き抜いた」と言い切ってもらえるって、長い時間、心を通わせあった証だと思う。そして、「もう一度、会って話したい」「手を包みたい」と温もりのある気持ちで思い出してもらえるしあわせに共鳴し、涙が自然とあふれてきました。

仕事仲間を信頼し、お互いを思いやる。大切にし続ける。たとえ亡くなったとしても。変わらずに。

それは、どんな名誉な結果を得るよりも貴重なこと。陳腐な表現だけど、お金じゃ買えない、しあわせの本質だと思った。

筒美京平さんと松本隆さんの出会いは、今から50年ほど前。松本隆さんの言葉からは、信頼や尊敬、愛情、友情などを超越した、深いつながりを持ち続けてきたことが感じ取れました。

喜びだけじゃない、悔しさや空しさや切なさなど、オモテからは見えにくい感情も共有しながら、どんなことも受けとめながら、だけど、あきらめず、お二人とも50年以上にわたって音楽をつくり続けてきたんだろうな。

この番組は年末に再放送していて、たまたま見ました。

70年代、80年代にヒット曲を量産し続けた、作曲家・筒美京平の活躍を仕事仲間が振り返るという内容です。

洋楽と邦楽を融合させた独自の音楽性に、サブカルチャーや若者の感性を織り交ぜていく。徹底してヒットにこだわっていたことや、トップを走り続けているからこそ、常に自らをアップデートしようとする姿勢を紹介しています。

また、松本隆さんやCCBとの出会い、楽曲制作のエピソードは、テレビ越しに見ていた音楽シーンの裏側が垣間見られて面白い。

番組には、筒美京平さんとともに音楽業界の第一線を走っていた編曲家や作詞家などが登場し、当時の出来事を語ります。松本隆さんもそのひとり。

驚くのは、みなさん70代から80代なのに、どの方々も若々しいこと。ファッショナブルだったり雰囲気があったり。やっぱり人は年齢じゃない、生き方だなぁ。なんて思ったりもしました。

一方、CCBがバンドを解散し、ドラムでボーカルだった笠浩ニさんがソロで活動するもののヒット曲に恵まれずに苦しんだことや、90年以降、音楽シーンと時代の変化に伴い、天才作曲家であっても仕事が一気に減少する話など、現実の厳しさも伝えています。

2020年の最後に、仕事に対する姿勢をあらためて考える、いい機会にもなりました。いい番組。見てよかった。おすすめです。NHKプラスという番組配信サービスで見られます。受信料さえ払っていれば無料!

2021年が始まりました。

今年は、デザインライターとして、これまで以上にフットワークの軽さを生かしてオンライン・オフライン問わず現場取材に注力し、取材や日々のインプットから得る知見を編集の仕事にも生かしていきます。

年明け早々、予定も詰まっています。ありがたい。

今年もよろしくお願いします。

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