振り返り14「耳鳴り」「全身性接触性皮膚炎」「PMS(月経前症候群)」「家族性高コレステロール血症のアキレス腱測定」
「その場の1分、その日の5分」を目標に雑多に振り返っていきます。
「耳鳴り」のアプローチ
「最近耳鳴りが多い気がするんですけど、数分でなくなるんですけど何でしょうか?」って聞かれました。よくある訴えですね。
AFPのTinnitus: Diagnosis and Managementをちらっと見てみました。プライマリケアの場で良くある主訴や疾患はだいたいAFPで検索して調べるとうまくいくな~って最近は思ってます。
耳鳴りは1次性と2次性に分けられて、主に1次性。騒音性や加齢に伴う感音性難聴が原因のほとんど。
耳鳴りを精査するときには①聴力検査と②画像検査を用います。
聴力検査が必要な耳鳴りは以下の4点
・片側性
・4週間以上持続
・聴覚障害
・神経学的異常
画像検査が必要な耳鳴りは以下3点
・片側性
・拍動性
・非対称性の難聴
・神経学的異常
あとはRinging、Buzzing、hissingは一次性らしい音だってことです
・Ringing:チーンという呼び鈴の音
・Buzzing:ムシの羽音
・hissing:猫がシャーって言ってる音。
一次性の耳鳴りの治療をするかは、あとはわずらわしさ次第。
漆かぶれで全身接触性皮膚炎
木工の仕事の人で、漆かぶれで全身2度熱傷みたいになっている人にステロイド内服と外用薬がだされていましたが、接触性皮膚炎へのステロイド内服が必要な状況がわ。りませんでした。
接触性皮膚炎ガイドライン2020を見てみると
と書かれてました。それぞれの治療の推奨とアルゴリズムは下記の通り
あとこの症例の人は手袋もしていたというのに、全身に皮膚炎が出現していたのでどうしてかなと思ったんですが、接触性皮膚炎症候群や全身性接触性皮膚炎なんてものがあるんですね。初めて知りました。
PMS(月経前症候群)の精神症状
そろそろ閉経も近い年齢の女性が、「以前から月経前にイライラして精神的に不安定になって泣いてしまったりで夫につらく当たってしまうことがある。薬でどうにかならないか」と訴えてきました。
産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2020を見てみると、PMSの精神症状でよさそうです。身体症状はなく、SSRIを試してみることとしました。
SSRIって、ゆっくり効果が出てくるから効かないと思っても飲み続けてね、なんてお伝えしたりするんですけどPMSでの使い方は症状が出てきたときだけでもいいんですね。
ゆっくり効果が出てくるっていうのは、うつ病の治療時の説明ですね。これは、うつ病だとセロトニン刺激の慢性的な不足による受容体のアップレギュレーションが起こっていて、薬で受容体数を是正するには時間が2週間くらいかかるためです。
PMSでは、生理周期でのセロトニン刺激の一時的な欠乏が原因なので受容体数は特に変わってません。なのでその時期のセロトニン刺激さえ薬で保ってあげればいいんですね。
AFP:Premenstrual Syndrome and Premenstrual Dysphoric Disorderも見てみると炭酸Ca1200mg/dayも長期的にみて効果があるようなので、今後はおすすめしてみてもいいかもと思いました
家族性高コレステロール血症を疑った時
未治療LDLコレステロール>180が以前に確認されている人で、ASCVDは低リスクだけどFHかもしれないから治療強度はしっかりした方がいいのかな~って思う状況でした。
ただ筋痛がでてスタチンを色々試したうえでピタバスタチンを隔日投与に落ち着いている状況でした。
FHらしさを見積もる目的でアキレス腱肥厚がないかチェックしたいなと思い、手軽にエコーでみるにはどうすればいいのかなって。
日本動脈硬化学会のページには以下の記載がありました
成人家族性高コレステロール血症スクリーニングに用いる「超音波法によるアキレス腱厚測定」の標準的評価法(案)に実際の測定方法がありました。
膝立ちになり、足先をおろして短軸と長軸で厚いところを測定するようです。
そして明日も、社会の良き歯車として一隅を照らそう。