杉並の公立学童クラブが危機的状況!
ひとつ前の記事(下☟)では、杉並区の42児童館が全廃される危機の中にあると書きました。でも今、問題なのはそれだけではありません。杉並区は、児童館廃止とセットにして、児童館内にあった学童クラブを小学校内の空き教室に移設し、さらに公立で運営してきた学童クラブを民間委託しようとしています。玉突き事故の様に、<児童館廃止>が<学童クラブを小学校内の空き教室に移設>にさせ、さらに<学童クラブを公立から民間委託へ>と、児童福祉を根こそぎ崩壊の危機にさらしています。
そして、この玉突き事故の様な連鎖は、公教育である小学校にも大きな影響を及ぼしかねません。
小学校へ悪い影響が予想されるとしても、学校からは大きな声で反対出来ない(しにくい)と思います。先生方も公務員だからです。だからこそ、保護者や地域から声を上げる必要があります。そして、杉並全地域で連帯しもっと大きな波にしないと、杉並区の児童館潰し・学童クラブ学校移設・学童クラブ民間委託の計画は止められないと思います。
決めるのは最終的には行政・区長・区議。それを選ぶ私たち区民です。だから、児童福祉の必要性を多くの方に知っていただき、関心を持ってもらいたいと思います。おかしいと思ったら意見を出し声をあげることも大切。生活は政治次第で良くも悪くもなる事を、今改めて実感しています。そもそも、施設再編するからと言って、過去50年近く杉並が大切にして守り育ててきた児童館や児童福祉の政策を全否定する【廃止】の理由にはなりません。
学童クラブの「小学校内空き教室移設」の何が問題か
子どもの放課後を小学校に集約させようとする杉並区の計画ですが、そもそも杉並区の公立小学校で、空き教室は余っていないのではないでしょうか。むしろ足りない状態。中には、拙速な小学校統廃合をしたものの、マンションが増えファミリー層が大量流入し子どもが増えた結果、教室が足りない小学校まであります。図書室が図書室として機能せず、本が廊下に並んでいるところも。さらに、今、少人数学級を進める国の流れがあります。各小学校での障がい児受け入れなども昔とは違って各学校で対応。とにかく空き教室はほぼ無いところに、学童クラブまで押し込もうとしているのです。
保護者の中には、当然ですがいろんな意見があります。杉並区以外では、小学校内に学童クラブがある場合も多いそうです。だからなのか「学童クラブが小学校の中にある事は悪いことじゃないよね、子どもは移動が少なくて楽。親も安心。」という声。これについては、一定数は以前から要望として声があったそうです。また、この意見に全面的に反論はありません。確かに、低学年が重いランドセルを背負って、西荻北学童クラブの様に学区の端っこまで移動することは、大人の目から見れば心配です。「障がいのある子にとっても移動が大変だから小学校の中の方が助かる」というご意見もTwitterで頂きました。それでも、私は学童クラブの小学校内移設には反対です。反対する理由が沢山あります。
【児童館内の学童クラブが良いと思う理由】
①児童館内に学童クラブがあると、学童の子どもは学童育成室以外に遊べる場所がある。ランドセルを育成室に置いたら、すぐに子どもは児童館に走っていきます。そこには、遊戯室、図工室、音楽室、図書室などを自由に使い創造性ある遊びを子ども自ら主体的にみつけ、参加できます。これは得難い経験が出来る機会です。様々なプログラムもあって卓球や一輪車、けん玉にコマ回しも上達する子もいます。イベントでは学童の子達は積極的に参加し、リーダーとなって活躍します。学童クラブにいる時間=児童館内で遊べることで発達と成長のかけがえのない時間となるのです。
②学童クラブは、そもそも家の替わりです。児童福祉施設だからです。「第二の家」なので、落ち着ける必要があります。児童館で沢山遊んで疲れたら、学童クラブの育成室に戻ってゴロゴロして本を読んだり、畳の部屋でのんびり昼寝をする子もいます。宿題をしたり、おやつも食べます。空き教室で子どもが落ち着けるか?同じような質の時間を過ごせるでしょうか?無理ですよね?
③児童館の中に学童クラブがあると、学童在籍以外の子どもと学童在籍の子どもが、一緒に児童館内で遊べます。空き教室の学童クラブでは学童以外の子と遊べません。(杉並区内児童館廃止地区の情報より)
さらに、児童館内に来る異年齢の子達との交流が出来ます。児童館は0~18歳まで誰もが利用できます。中高生とドッジボールをしたりもします。昔は近所の子達が集まって近所で遊んだものですが、今は児童館がその機能を担っています。社会性を身につける格好の場所だと思います。
④学校が苦手な子や不登校の子にとっては、学童クラブが学校から離れていることは大きなメリットです。これは、児童館が必要な理由とも重なります。
学校と家だけでは、子どもだって窮屈です。大人だって、家と会社の往復だけで良いですか?仕事が終わっても会社に居続けなければならないとしたら??気持ちの問題はとてもナイーブ。学校から離れたら安心する子もいます。学童は好きだから、学校も頑張っている子も大勢いるのです。特に低学年は、「学童は楽しいから学校も行く」という子がいます。学校の人間関係を引きずりにくいのも、場所が離れるからだと思います。
⑤職員の数が多いと、大人の目が多く安心です。
児童館には、児童厚生員という人たちが職員として常勤しています。子ども達との接し方のプロです。<子育て経験がある=子守ができる>のとは全く違います。学童クラブの職員だけでなく、児童館職員の目が届くのは、とても重要な点です。子供の成長と発達を支えています。
また、親と学校の先生以外で、しかも上下関係のない・なりにくい(良い言い方思いつかず)フラットな立場の大人の存在は、とても大きいと思います。相談相手にもなり、家庭の問題が見つけられる場でもあります。
※児童館職員さんへのリスペクトは尽きません。子どもの成長を支える大切なお仕事であり、親も子育てを支えてもらう大きな柱が児童館であり児童館の職員の皆様です。児童館と児童館職員さんの素晴らしさは、ここでは書ききれないので別で書こうと思います。
⑥学校⇒学童、学童⇒家 までの道のりも、子どもは楽しい。
友達と学校帰りに歩く道のり、学童帰りに歩く道のりも、子どもにとっては楽しいようです。おしゃべりしたりしながら歩いて帰ります。1人の時もありますが、それも特に不満はなさそうです。ランドセルが重くて心配というのも、一年生の最初はありましたが、ランドセルは背負うと体に馴染みますので大人が片手で持って重いと感じるのとは違います。(できれば少しでも学校に教科書を置き勉して欲しいですが)
学校帰りはシルバーの方の見守りが要所要所にあり安心です。何より、保育園時代から自立していく一歩でもあります。
【学校内に学童クラブが移設したら起こる問題】
❶空き教室だけでは狭い、狭すぎる
児童館内併設学童クラブと違い、学校併設になると育成室しか居場所がありません。区から配布された(説明会でしか配られていない資料)☟の資料を見ると、明らかに子ども一人当たりのスペースが狭くなります。
(杉並区が児童館廃止とセットで打ち出す新設の放課後居場所事業については別途書きますが、機能移転とは程遠くてあてにならないので今は触れません)
<西荻北学童クラブの場合>
◆児童館内学童の現状:
育成室152.0㎡、子ども69人(R1年度)⇒ 1人当たり 約2.2㎡
でも、実際は児童館でも遊べるので・・・
育成室+遊戯室+集会室269㎡、学童69人+児童館来館の子
⇒児童館来館の子が20人として 1人当たり約3.0㎡
◆学校内学童になると(区の説明の予定によると)
育成室180㎡+子ども120人枠(R4より)⇒ 1人当たり1.5㎡
この狭さは、なんと国が定める基準(1.65㎡)以下でした!!!
想像してほしいです。1.5㎡。狭すぎますよね???
というか、これが許されていいのですか???ダメですよね???
ソーシャルディスタンスなんてなおさら無理ですよね???
(机や棚のスペースを考慮すればもっと狭くなると思います)
❷静かにしなくてはならない。
特に低学年は帰りが早いです。4時間授業や5時間授業です。
児童館の中なら、育成室にランドセルを置いてすぐに児童館にダッシュして、速攻遊べます。ボール遊びも体を思い切り動かすこともできます。
でも、学校内だと静かにしていなくてはなりません。高学年は6時間授業だからです。つまり、大体、3時半まで静かにしてなくてはなりません。これは、結構辛いのではないでしょうか。
❸定員枠の増員(120人)により、学童クラブとしての本来の機能が保てない。
学童クラブは、単なる子守ではありません。定義を改めて調べましたが、おおむね40人をひとつの単位としていました。また「児童の自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等を図り、もって当該児童の健全な育成を図ることを目的として…」とあります。120人がごちゃごちゃした中では誰が誰だか、職員が把握できるのか?
そもそも職員も児童も、誰が誰だか名前を覚えられるか?職員は一人一人の児童の特性を把握して適正な対応が出来るのか?
出来ないと思います。実際、既に学校内に入った学童の保護者から沢山の問題が上がっています。また我が子の様子からも60人規模でも、上級生の名前を覚えたのは年度が終わるころ(コロナの影響も大きいですが)でした。
<学校併設学童(さらに民間委託)になってからの保護者の声>
・子どもが予定の時間になっても帰ってこない。逆に、予定より早く帰ってきてしまった。⇒職員が管理できていない。
・トラブルが増えたが、職員と連携が取れず保護者も学童の様子が分からなくなってしまった。
・職員の対応がこれまでより高圧的だったり、強制的で子どもが学童に行きたがらなくなってしまった。
・・・等
【結論】
杉並区は、児童館を廃止し子どもの放課後を学校に集約し、学校内に学童も押し込み、さらに学童定員枠を大きく増員(今の倍)しようと計画していますが、既に、問題が噴出している状態です。一度、計画を見直すべきと考えます。また、施設再編計画に児童福祉施設を組み込むべきでもありません。
さらに納得がいかないのは、学童を学校内に移設する理由が「待機児童に対応するため」と説明していますが、西荻北学童クラブは現在定員割れなのです。移設の理由の待機児童の辻褄すら合わない全くのでたらめで、本当に驚きます。年度が替わった途端に、場所も、職員も全て入れ替わることが、どれだけ子どもの心にに負担がかかるか。新一年生は、尚更です。子どものことを思えば、保護者としては反対するしかありません。これまで杉並区で何十年も続けてきた、全国でも屈指の児童福祉をなぜ、安易に捨て去るのか?杉並区は余りに無謀なことをしています。再考を願います。
せめてもの一案ですが、児童館廃止は延期し、公立学童クラブも据え置きしながら、学校併設の学童クラブ(民間委託)をテスト的にスタートし、数年間は学童クラブを分散してみてはどうでしょうか???
※長くなってきたので、<学童クラブ民営化>問題について思うことは、改めて書こうと思います。
※児童館、学童クラブについて、ご意見いただけると幸いです。
※トップの写真は、地域のお絵かきのイベントで描いたものです。
※Twitter(@nishiogikitajdk)でもつぶやいています。Twitterで西荻北児童館廃止について調べ始めてから、色んな方が協力してくれるようになりました。皆様、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします!
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