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BtoCとBtoBを両立するブランド戦略

F&Pジャパンは、直営で「本格スムージー専門店」を運営しながら、BtoBビジネスへの展開もやっています。
今日は、F&PのBtoBパッケージプランが今の形になる前に直面した、「直営をやりながら卸やフランチャイズをやる際に芽生える葛藤」について、少しお話したいと思います。
特にBtoB領域で、ブランド戦略やビジネス拡大戦略を考える機会のある人には興味を持ってもらえる内容だと思います。

toC と toB を両立する上での命題

BtoB事業をやっていて行き詰まったお題がありました。
「高田馬場のカレー屋さんから、スムージーをやりたいので教えてほしいと依頼を受けました。どんなスムージーを売ってもらうべきか?」

このとき僕たちには、「FICO & POMUM (フィコ・アンド・ポムム)」という直営のお店がすでにあり、当然に「FICO & POMUM のお店で提供しているスムージーレシピが最も優れていて最も美味しいと思っている」ということが前提です。

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当初、このカレー屋さんでは「FICO & POMUM のフランチャイジーとして加盟したい」というご要望がもともとでした。
僕たちが直営店で使っている「スムージーキット」を原料として使い、レシピを完全にコピーすれば「FICO & POMUM と同じクオリティのスムージー」を作ることが可能ですが、そのキットやレシピの「使い方次第」では 当然劣るものを作ることもできます。

そのさじ加減を、お客さんに委ねるか。
それとも、ブランドを守るために「レシピを変えて」アドバイザリーをするか。

BtoB事業が拡がっていくと、究極論的には隣の店で自社直営店と全く同じ商品が売り出される可能性が出てきます。その場合を想像します。
これは、UBER EATS のようなデリバリーアプリ上では容易に起こりえることです。

このとき、同等クオリティのレシピを導入した場合には、商品の差別化要因はありません。そうなった場合、価格の消耗戦が起きるか? と思いきや、冷静に紐解くと次のような構図になります。

・隣の店で売ってるのもF&Pの食材ならば、どちらが売れてもF&Pにお金が落ちる。

・隣の店がF&Pの食材を使っている場合、値下げ合戦になったらもともとその食材を作っているF&Pの方が原価率が安いので、価格の優位性はF&Pにある。
つまり、価格競争はそもそも起きない。


・隣の店が自社の仕入れでF&Pレシピを再現する場合、仕入れ・仕込み・ロスの問題が解決できないので、原価率 + 人件費のトータルでは結局F&Pに優位性がある。

隣の居酒屋もその隣の居酒屋でもビールの銘柄がアサヒなら、結局キリンではなくアサヒの勝ちです。この勝負に、居酒屋は出てきません。
つまりF&Pの BtoBビジネスは、「ビールメーカーと居酒屋」と同じ関係性の構図なので、そもそも導入店さんと対立構図にはならないと言えそうです。

iPhone にはソニー製の3Dセンサーが搭載されています。
Audiの車も、VolksWagen社製のエンジンを積んでいます。
このように BtoB領域においては、「顔となるブランド」や「自社商品とのスペック差」を気にするよりもまず、「シェアを取る」ことが優先事項となる例が多くあります。

解となる「Powered by」という参画のあり方

今回このお客様には、スムージー部分「だけ」F&Pが参画しているような形を取ることで、導入店さんの元々のコンセプトを尊重しつつ、専門店と同じ品質の商品ができるようなプランを考えました。
このスキームを対外的に表すために、「Produced by FICO & POMUM」というバッジをデザインしてメニュー表に掲載していただくことで、「スムージーの部分に関しては、専門店がしっかり参加しているよ」というアピールができるような仕組みです。

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このプランは、いったん Win-Win の形で結ぶことができたかな、と思うのですが双方のメリットについてまとめてみます。

導入店さんのメリット:
・自店の屋号で営業ができ、自店のコンセプトを守れる
・専門店と同じクオリティのスムージーが提供できる
・専門店品質のものを取り扱っているというアピールができる
F&Pのメリット:
・シェアを拡げることができる
・自社ブランドを保護できる
・参加していることをtoCに示せる

F&Pが関与したことでカレー屋さんの価値も上がり、おいしいスムージーとともに、かっこよくイメージアップしてもらえたらありがたいな、と思います。
そして、このあたりの toC toB の全体ブランド方針についてもう少し整理するために、今週末は山に籠もって戦略合宿を行ってきます!

(この記事は、2020年9月にF&Pジャパン社内向けに発信された内容をもとに編集を加えています)


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