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「親介護したくない」を楽にできるかもしれない話

「子どもは親の介護をするのが当たり前だ!」

とまぁそんなことを言っている親がなんと多いことか……もちろん僕の親もその1人でした。

僕の場合、田舎だからか、親戚や近所の人までいってきていた状態。

でも事実、子どもが親の面倒をみることは、法律で決まっています。

ただ、きちんと調べると、思っていたのと違うことがわかりました。

結論、「介護は情報戦」です。

僕は法律の専門家ではないですが、在宅介護歴10年の間で、市役所などで調べた範囲で解説します。

「親の介護をしたくない」と思っている人、介護のために転職や介護離職を考えている人に、少しでも親介護への嫌な気持ちが減らせればと思って書こうと思いました。


法律で子どもが親の面倒をみなきゃダメらしい(涙)

一般的に親は子どもが生まれたら、きちんと自立できるように育てていきますよね。

逆に、親が年をとっていくと、死ぬまで親の面倒をみることになります。

法律では、

「直系血族及び兄弟姉妹は、お互いに扶養する義務がある」

民法877条第1項

とあるので、関わらないわけにはいけないのです。
 
つまり、「子どもは親の介護をするのが当たり前だ!」は間違ってはいません。

しかし、よく聞いてみると少しとらえ方を間違っている方がいます。
僕もその1人でした。
 
具体的に紹介します。


直接介護しなくても法律上問題ない

直系血族とは祖父母や父母、子どもや孫などを示します。

つまり、子どもの配偶者である嫁・姑などの関係性の場合、扶養義務はありません。

また、扶養義務を具体的にいうと

① 身の上の面倒を見る

② 経済的な支援をする

 
この2つですが、原則として②の経済的な支援をする扶養をすればよいということになっています。

つまり、あなた自身の手で介護しなくても問題ない

結婚相手の親は、介護しなくてもイイのです。

世話しなかったらって、世間体が気になるとは思いますが……

とにかく、大事なのは妻の親の世話を強制したばかりに離婚を迫られること。
また、妻の親の面倒をみない場合、離婚を迫られる可能性があります。

親の扶養義務を放棄したら?

扶養義務があるのに逃げるなどして、連絡を絶つなどすると罪になることがあります。
また、そのためにケガや死亡したらより重い刑罰になるのです。
 
まとめると次の通り。

  • 保護責任者遺棄罪       3か月以上5年以下の懲役

  • 保護責任者遺棄傷害罪     3か月以上15年以下の懲役

  • 保護責任者遺棄傷害致死罪   3年以上20年以下の懲役

詳しくは、弁護士などに相談してください。

知人の場合、ケンカ別れして何年も離れて暮らして連絡もとってないのに、弁護士から電話がかかってきて、脅しに聞こえる説明を優しく話されたといっていました。

親子の縁は切っても切れない

私的に意外だったのが、私の父親は離婚しています。ですので、出ていった母親に対しては扶養義務がないと思っていました。しかし、法的に親子の縁を切ることができません。
 
親同士が離婚していても、親に隠し子がいても、他の人の養子になっていても、扶養義務が存在します。
 
例えば、孤児院育ちで天涯孤独と思っていたら、突然弁護士からの電話で、

「あなたは亡くなった〇〇さんの子どもで、相続権があります」

と、実は不倫相手から認知された子どもだったことがわかって、相続問題に巻き込まれた。

というドラマみたいなことが、現実であるのです。 

どこだったか覚えてませんが、親の介護をしなくてよくなるように、「親と戸籍を分離したら大丈夫」みたいなアドバイスをしている人がいました。

僕が調べた範囲では、精神的には親子の距離ははなれるけど、法的な拘束力はないようですので、注意してください。
 

事実上の縁を切れる方法はあるけど大変

法的に縁は切れないけど、事実上の縁を切った状況や改善ができます。例えば、家庭裁判所へ調停の申し立てなどです。
 
・引っ越し後の住所を特定されないようにする
・親子関係調整調停員が関係を修復
 
詳しくは弁護士などに相談してください。

つまり、「血は水よりも濃い」という法律があるという、事実を知っておくことが大切です。
 

まずは地域包括支援センターに相談

 長々と悲しい話をしていますが、じゃあどうすんの? ってなりますよね。

結論、親の介護をしたくないなら、「地域包括支援センターに相談しましょう」です。 

親の介護を放棄したことで、場合によっては刑法上罪になることがあります。ですので、地域包括支援センターに親との縁を切りたいと考えていることを相談してください。
 
日常的に介護をしている場合、介護を放棄したことで命の危険が出てきて、罪に問われることもあります。

また、僕みたいに介護のために転職、離職をしなくてはいけないと考えて人も、ぜひ相談してください。

成功のコツは、本心をしっかりぶつけること。

相手も人間なので、地域包括支援センターの人を味方になってもらうようになれば、めちゃくちゃ心強いですからね。

今はまだ介護状態じゃないよって人に伝えたいこと

まだ親はある程度元気でいるって人は、スマホやタブレットでインターネットを教えることをおすすめします。

僕が介護初期で面倒だったのは、ちょっとした買い物に付き合わさせること。

親がネットで注文ができれば、かなり楽になります。

味噌やしょうゆ、乾燥わかめ、サラダ油など、そんなに差はないやろってものも好みがあるからです。

僕は親の好みをよく知らなかったから、結構ムダな買い物をしました。

あと、LINEで連絡することに慣れてもらうことも良かったです。

「電話代がかからない、お得だ」と言って説得して、意外と反応よく受け入れてもらえました。

ぜひ、インターネットを覚えてもらうことを試してください。

副産物として、親は新しいことを覚えると、周りの人に自慢したり、脳への刺激になったりすることでしょう。

介護したくないからこそ、介護を勉強して


介護をしていて、特に思うのは「介護は情報戦」だということです。

何の仕事でもそうですが、上司に言われた事をしていても、ちっとも仕事が楽になんかなりません。

しっかり仕事のことを調べて、考えて、実行していくことが、仕事に余裕を持つことができます。

同じように介護も、使える介護制度は使うことはもちろん大切です。

ですが、今あなたが便利と思うものを親に伝えて。与えて下さい。

「何で親のためにいろいろしなくちゃいけないんだ!」と思うことはあります。

実際、僕がそうでした。

しかし、自分が楽をするために教えるという、逆説みたいなことが効果的だったことに気づけました。

少しでも、親の介護したくないって人に届くことを祈っています。

では、また。

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