「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」を読んだ
「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」 川本直 河出書房新社 を読んだ。
図書館で予約した本が手元に届く頃には、その本がどんな内容の本だったか、忘れてしまっていることがある。
しかし、予約した時の自分を信じて、あえて内容を知らないまま読むのも、また楽しい。
「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」
この本もすっかりどんな内容か忘れていた。
どうやらジュリアン・バトラーは戦後アメリカ文学を代表する小説家だが、日本では知られていない作家らしい。
のっけから、ジュリアン・バトラーのセンセーショナルな騒動が描かれる。
ここまで読んだら、ジュリアン・バトラーって、どんな作家なんだろう…って思うよね。
Google先生に聞いてみるよね。
えぇ、私、ジュリアン・バトラーは実在すると思ってたんです。
そしたら、違うんです。
フィクションなんです。
そうか、ジュリアン・バトラーは実在しないのか。ジョージ・ジョンも。
だからと言って、この小説の面白さが変わるわけもなく。
スキャンダラスなジュリアンとひたすら表に出ないジョージ、二人が関わった人々(こちらは実在の人物)の一コマ一コマが、ジョージの視点で描かれる。
私に海外作家や古典に対する知識が深ければ、もっと面白く、もっと虚実ないまぜの世界に幻惑されたんだろうな。
そんな無知の私でも、Ⅲー14&15に出てくる特別番組『文学の今』はツボった。
アンディ・ウォーホルは、本当にシャイでちょっとおバカな感じなのだろうか。
ローリング・ストーンズのキース・リチャーズは、演奏中にあんな騒動があったら、やっぱりギターで殴りつけるんだろうか(笑)
ジュリアンの濃い人生をたどり終えると、「ジュリアン・バトラーを求めて ー あとがきに代えて」「主要参考文献」と続く。
またもや「あれっ? 本当はジュリアン・バトラーっているんじゃないの?」と思う私。
そんな私にも作者は親切だ。
最後の1ページのど真ん中。
ごく小さいフォントで
と書いてある。
いや、マジで最後に念押ししてもらわないとヤバイって。