「神様のビオトープ」を読んだ
「神様のビオトープ」 凪良ゆう 講談社タイガ を読んだ。
夫の幽霊と暮らすうる波を取り巻く、秘密を抱えた彼ら。世界が決めた「正しさ」から置き去りにされた人々へ、救済の物語。
うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。彼の存在は秘密にしていたが、大学の後輩で恋人どうしの佐々と千花に知られてしまう。うる波が事実を打ち明けて程なく佐々は不審な死を遂げる。遺された千花が秘匿するある事情とは? 機械の親友を持つ少年、小さな子どもを一途に愛する青年など、密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。
(amazonより)
凪良ゆうの世界、って感じ。
他人に踏み込まれたら、脆く崩れ去る世界。
ひっそりと、大事に、秘密を抱えて生きていく。ある意味強くなければならない。
機械の親友を持つ少年の話は、同じく凪良ゆうの「ショートケーキの苺にはさわらないで」を思い起こす。ほぼ重なるくらい。
まぁ、こちらはジャンルとしてはBLなんですが、人間とアンドロイドの愛情の物語。
泣けるので、ぜひ読んで欲しい。
幽霊の鹿野くんとの生活描写が良い。
鹿野くんと自分の二人分の食事を用意する。
鹿野くんはイメージ上のその料理を食べるんだけど、実際の料理は減らない。
だから、次の食事はうる波はその残った料理、鹿野くんには別に作る。
そして、二人で食事を楽しむ。
鹿野くんが飄々としているので、ほんわかしてる雰囲気なんだけど、時折ちらつく、この世界の脆さが、心にサクっとナイフを突き立てる。
脆いけど、誰にも壊させない。
そんな世界を見守れる人にオススメです。
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