「滅びの前のシャングリラ」を読んだ
「滅びの前のシャングリラ」 凪良ゆう 中央公論新社 を読んだ。
「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして―荒廃していく世界の中で、四人は生きる意味を、いまわのきわまでに見つけられるのか。圧巻のラストに息を呑む。滅び行く運命の中で、幸せについて問う傑作。
(Google Booksより)
「あんなやつ、死ねばいいのに」
「あー、もう死にたい」
わりと簡単に、そんな言葉が思い浮かぶ私ではあるが、本当に1ヶ月後に、みんな死ぬとなったら。どうするんだろう。
小説の中では、略奪、暴力が当たり前の世界になっている。
そんな中、友樹は好きな女の子を守ることに、静香は息子を守ることに、信士は自分の元を去った恋人と一緒にいたいと思い、歌姫は本来の自分を取り戻すことに、残りの1ヶ月を費やす。
なんで自分が死ななくてはいけないのか、納得できる理由を探す者。
宗教に殉じるもの。
いつもと変わらない日々を過ごそうとするもの。
どの人にも、平等に訪れるのは、1ヶ月後の滅亡。ヒーローが地球を救ってくれるわけではない。
そんな話でも、読後感が悪くないのが、さすが凪良ゆう。不思議だけど、そこにはシャングリラが広がっている。
まぁ、死なないと思っているから、簡単に「死」を口に出来るんだよね、私は。
地球滅亡なんてことはなくても、死は平等に人に与えられるし、死を目の前にしたら、「なんで?」って思うだろう。
その死を前に、私はシャングリラを見ることが出来るのかな?
それまで、私は、どう生きるのか。
そんなことを考える読後でした。
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