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総合病院サービス観察記録:案内、説明、質疑応答のコスト
病院に来てます。
いったい最初の検査をするまで、何回質問をしたのだろう。
サービス構築をするのが仕事の一つなので、病院の「サービス」を観察してしまいます。
今回記事にするのは表題の通り、「案内、説明、質問に答えるコスト」について。
なんというか、もっとIT屋さん頼ったり、単なるパワポの印刷物など活用しようよ、という話です。
さらに、学生には世の中こんな風に世の中を観察してほしい、ということも言ってますので、実践です。
最初の受付から「やることがわからない」
今回来た病院は、紹介状が無いと受診できない完全予約制。
サービス構築で重要なのは、「初めてここ、サービス、を訪れるユーザーに対するガイド」です。
病院の場合は、なんとしても受診しないといけないので、多少案内が不親切でもユーザーは食らいついてきます。
でも、代わりのある一般サービスの場合はシビア。入口が分かりにくければ、他の快適なサービスに逃げられ、離脱率が増えます。
この病院、かなり大きくて広くて新しいのですが、色々「初見殺し」がばら撒かれてます。
①そもそも最初がわからない
紹介状とレントゲンのデータの入ったCD-ROMを持って、総合受付に行きます。
まー間違いない動きだと信じて。
予約、会計、など細分化された窓口なので、予約かなー、とそこに並んで順番待ち。
さあ自分の番だ!
「受付票の記入を先にしてくれ」という案内。
並んでから聞きたくない言葉です。
受付票を先に書かせたいケースも分かります。でも、人間の受付がある場合、一度切り分けをしてから受付票、というところもあるので、どっちか?は初めての顧客には分かりません。
簡易提案:「まずは受付票の記入を!」と窓口下のスペースに全部貼っておく
たぶん、「初めての人への案内」を、腕章をつけた案内スタッフ、で吸収してるみたいです。
でも、初めてくる人が必ずいる業態なのだから、その案内も定型化できる部分は多い。
本格提案:入口で「初めての人はこちら」の矢印と、手順書をなんなら掲示だけでなく印刷しておく
これでかなりの迷子を減らせるはず。
②受付票、問診票、共通問診票、の記入
これはもう「あるある」でしょう。
プログラムなら、固定された情報は、何度も書きません。
例えば、3.14という数字を計算で何度も使う場合、最初に、3.14=Aとしておいて、あとはずーっと「A」を記述に使います。
これにより、4桁の文字列が1桁で済むのと、手で毎回書くことで、例えば3.13などのミスも起こらなくなります。
病院の場合、固定された情報は、個人データ累計。
・氏名
・年齢
・生年月日
・性別
などの変わりにくいもの。名前や性別は変わることはありますね。
さらに、
・住所
・連絡先
こちらは上より変わりやすい。さらに、
・身長、体重
・過去の病歴
・飲酒、喫煙などの生活習慣
など、診察に必要なパラメータながらあまり大幅に変わらないもの。
それに加えて、
・今回どんな感じ?
という変わりやすいものも。
これを、3種類の紙に書くのです。
しかも、「これさっき書いた奴」ということだらけ。手順だけ見れば無駄が多い。
ただ、そうするメリットも無くはないので、「手順だけ」に関する感想。
妄想提案:タブレットを持たせて、上記を一発で入力、受付票のQRで紐付け
妄想、としたのは、一見便利そうな案だけど、結構慎重に検討が必要な部分をすっ飛ばしてるから。
大事な部分、冗長な記入が安心安全、効率につながる場合も
何でも効率的にすると、一見よさそうですが、データがバラバラに存在する利点も。
例えば、血液型がうろ覚えで、別の紙に書いている時に、紙や書いた時期により異なってしまう人がいたとします。
そうすると、「この人はうろ覚えだ、だから念のため調べておこう」となるわけです。
また、受付から別々の部署に紙を渡し、そこから並行作業に入れるメリットも。
何度も書くストレスと、安全や便利の担保は、さまざまなケースを想定し、最適なやり方を作る必要はあります。
でも、多分そこまで考えた結果が今の状況、ってことはないはずなので、効率的にする余地はあると見立てをしてます。
③呼び出しシステムは少し進化
小さい病院で先生1人なら、待ち行列は一列。なんの工夫も不要。
でも、複数先生、複数患者、だと、
・どの先生が
・どの患者で
・場所はどこ
と一気に必要情報が増えることに。
そうなると、管理、表示などのバリエーションが増えます。
今回は、掲示の液晶モニターに、上記データがずらっと並ぶ形でした。
一覧性を上げるためにデータを増やすと文字が小さくなる。どこを出してどこは省く、というようなことを行う工夫はされてます。
こんな感じ。
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先生1 部屋番号 患者3桁番号
先生2 部屋番号 患者3桁番号
先生3 部屋番号 患者3桁番号
…
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④webサービス?アプリ?
この画面は、大きめの液晶ディスプレイ。見えないところで待つ人のために、患者IDをQRコード化して、スマホで読み取って同じ情報が得られるシステムはありました。
じゃあ解決か、といえばベストではありません。
こちら、WEBで組まれてるのでプッシュ通知ができない。つまり、自分で「そろそろかな?」とページを更新しないといけないので、場合によっては呼び出しタイミングより遅れます。
ではアプリ?
これはこれで、「インストール」というハードルが出てきます。一般に特定サービスのためにアプリをインストールするモチベーションは低い。「総合病院便利全国統一アプリ」まで行けば良いのですが、一つの病院のみ、ではアプリ化はコスパが悪すぎ。
このあたり、ITでなんでも解決!とならない部分です。
まとめ
少なくとも「初めての人対策」は、まだ簡易な方法でもできる余地はあります。
このような全体的な運用ルールは、だいたい初めに決めたらなかなか変更をしない。
しかし、自分のような「初めて来る人がスムーズに動けるか?」といったシチュエーションの課題は、一度、やってみた後にメンテをした方が、より良い流れを作れます。
メモ帳持たせて私みたいなツッコミの目を持つ人にレポートさせれば良い。
そこにはコストはかかりますが、案内業務の軽減や、無駄な隙間がなくなるなど、規模によってはコスト削減につながる場合があります。今回の病院は明らかに効果ありそう。
発想法、というのを学生に教えてますが、発想は何かの課題がないと具体的なものが出にくい。それには、やはり観察をすること。そこにツッコミを入れまくること。これが「提案側に回る秘訣」。
日頃からこんな感じで世の中を歩いてるので、疲れます。でも、そこから仕事を作ってるのでしょうがない。
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