妊活をはじめた人に鍼灸をおすすめする10の理由
妊活をはじめて、最初に鍼灸治療を受けてみよう、と思う人は少ないかもしれません。
私も2人目不妊治療中に鍼灸院通いはじめたのは、病院を何度か転院して、サプリや漢方と色々試してもダメでどうしよう、と思って最後の最後にたどり着いたのが鍼灸院でした。
鍼灸治療は受けたその日に身体の変化を感じることがあります。何度か通っているうちに初めの頃のような大きな変化は感じなくなっていきますが、私の場合は、なんだか最近身体の調子がいい、花粉症やアトピー性皮膚炎も気にならない、そんないい変化を感じ始めたときでした。人工授精のため採精してもらって夫の精子を持って病院に行った周期に自然妊娠が判明しました。
第一子を妊娠出産してから8年目のことでした。当然私も8歳歳を取っている。年齢による妊娠中のトラブルがまったくなかったわけではないけれど、1人目と同じくらい順調に妊娠期間を過ごし、無事に出産することができました。産後の肥立ちも順調で生まれた子どもも元気にすくすく育っています。
これはもしかして鍼灸のおかげでは?
東洋医学ってなんだろう?
そう思った私は出産後、鍼灸師目指して専門学校に入学しました。
卒業後は、赤ちゃんを望む女性のサポートできる鍼灸師になる!そう決めてひたすら勉強した3年間。勉強してみて、妊活と鍼灸ってやっぱり相性がいい!その思いはさらに深くなりました。
妊活をはじめた人にぜひ知って欲しい、鍼灸をおすすめする理由10コをお伝えします。
おすすめ理由その1
鍼灸はリラックス効果がある
鍼を身体に刺す、そう聞いて「痛そう」「怖い」そう思っている人も多いはず。私もそう思って鍼灸にリラックス効果があるなんて思いもしませんでした。
実際受けてみると、鍼はたまにチクッと痛い時もある。でも思っているより心地いい。マッサージを受けてリラックスした経験があるひとはおおいと思います。鍼も似たような、身体がほぐれて温まっていく感覚があります。
お灸は熱そう、というイメージも思っていたのと少し違いました。お灸にも色々な種類があります。特に身体が冷えている妊活中の女性には心地よい暖かさを感じる優しいお灸がおすすめです。気持ち良い熱さのお灸を受けていると、ぽかぽか温まり眠たくなってくることもあります。とても気持ちいいのでぜひ体験してみて欲しいです。私はお灸の香りは、どこか懐かしくおばあちゃんちにいるような癒し効果もある気がします。
鍼灸をうけた日の夜は早めに眠たくなってぐっすり眠ることができます。
それから、鍼灸院のベッドの高さ、静かな環境、シンプルな内装など鍼灸院の雰囲気もリラックスに一役買っていると思います。もちろん雰囲気は鍼灸院によって違うから自分に合う鍼灸院をぜひ探してみてください。
おすすめ理由その2
鍼灸は自律神経を調えてくれる
自律神経は男女ともに生殖器の働きに関与しているので、妊娠にはとても関係が深い神経です。生殖器の他にも私たちが意識して動かすことのできない、心臓や胃腸、腎臓、膀胱など内臓の働きを主っています。
自律神経にはリラックスした時に働く副交感神経と、興奮、緊張した時に働く交感神経があり、必要に応じて切り替えがうまくできることが大切です。
男性の性機能は副交感神経が勃起、交感神経が射精と関わっています。
鍼をすると、刺激が脊髄に伝わります。このとき同じ高さの脊髄から出る自律神経にも刺激が伝わり反応を起こし、自律神経を働かせることができると考えられています。
だから勃起や射精、子宮、卵巣と関係のある領域に鍼をすることでその機能を高めたり改善が期待できます。子宮や卵巣の働きが改善すると、妊娠率が高まります。
生理痛が軽くなる、経血に塊がなくなる、基礎体温が整うなどの嬉しい変化が自律神経がうまく働いている目安になるので、鍼灸治療を始めたらご自身でチェックすることをおすすめします。
理由その3
鍼灸を受けると胃腸の調子が調う
胃腸の調子が整っていることは、妊活においてとても大切なことです。
なぜなら赤ちゃんを身体の中で育むためには、普段より栄養がたくさん必要だからです。いくら外から栄養を取り入れても、消化吸収する力が落ちていたら、身体のなかで使いこなすことができません。サプリメントも同じです。
消化吸収をスムーズにするためには、毎日排泄することも大切です。
胃腸の働きも自律神経が主っています。
排便の時に働くのは副交感神経で、鍼の刺激とリラックス効果で便通もよくなります。
妊活中のセルフケアに、胃腸の調子を調えるお灸もとてもおすすめです。
胃腸の調子を調えるオススメのツボはおへそと鳩尾のちょうど真ん中にあるつぼ中脘(ちゅうかん)とおへその左右にある天枢、おへその下の関元というツボです。
理由その4
東洋医学の考え方で元気になれる
リラックス効果があって、内臓や胃腸の調子が調う。これだけでも十分元気になれそうだけど、東洋医学を使うともっと身体のことがわかります。
陰陽五行論の考えかたを使います。
身体が冷えているのか、熱を持っているのか。
身体の中の水が足りないのか、多すぎるのか。
身体の血、水、エネルギーを動かす、気の力が十分にあるか。
身体を木(肝)火(心)土(脾)金(肺)水(腎)に分類して弱っているところ、強すぎるところがないか、などを話を聞き、顔色、皮膚の色、声の感じ、歩き方、脈やお腹の張り舌の状態などを見て、弱いところはプラスして、強いところは働きを抑える治療をします。身体を詳しくみて、バランスをとって元気な身体をつくっていくのが東洋医学を使った鍼灸の治療です。
治療を先生にお任せすることもできるけど、自分の身体の状態を知って、普段の生活に気をつけて行くことができたら、普段からより元気な身体に近づけます。
理由その5
鍼灸治療は血流を改善する
鍼灸治療の研究のなかで、骨盤内の血流を改善することで妊娠率が上がることがわかっています。妊娠に必要な女性ホルモンは血流にのって運ばれ必要な場所で働きます。だからホルモンが正常な働きを発揮するために血流を良くしておく必要があるのです。
エストロゲンは子宮内膜を厚くして着床しやすい状態にします。プロゲステロンは妊娠後、高温期を保ち妊娠を維持します。
男性の場合はテストステロンが性欲や勃起と関係しています。
骨盤内の血流改善は、お尻の仙骨、尾てい骨周辺に鍼をします。
理由その6
鍼灸治療は先生とじっくり話せてメンタルケアできる
鍼灸の治療は病院の診察のように短時間で終わるようなことはありません。治療院にもよりますが30分くらい先生とお話しする時間があるので、病院のこと、治療のこと、夫婦関係のこと、など妊活にまつわるお話をじっくり先生と話せます。マンツーマンで治療してくれる鍼灸院なら、他では話せないようなことを打ち明けてしまうこともあるかもしれません。
私も不妊治療中、1人で悩んでしまったり、夫婦の間だけで問題を抱えてしまって苦しい時が何度もあったので、鍼灸院の先生に定期的に話を聞いてもらえることが、心の安定につながっていました。
理由その7
鍼灸院の先生は情報通かも
鍼灸院の先生は患者さんご本人から直接、病院のことや夫婦関係のこと、妊活の情報など聞くことができるので、かかりつけ以外の病院の情報などを教えてもらえることがあります。(もちろん個人情報は伏せたうえで)夫婦の悩みを伝えたときに、他にも同じ悩みの人がいたり、もっと深刻だけどがんばっている人もいると聞くと私も頑張ろうという気持ちになれます。
産婦人科やIVFクリニックの先生は人工授精や体外受精の専門知識を持っています。だから専門知識を知りたいときは病院の先生に聞いてみるのがいちばんいいと思います。どの病院がいいかとか幅広い知識を持っていて、患者さんの感想も直接聞けるのは不妊サポートをしている鍼灸院の先生だけかもしれません。
理由その8
鍼灸院は泣いてもいいし寝てもいい
鍼灸師の先生は優しいです。誰かの体を治したい、自分も体調を崩して鍼灸のお世話になった、そんな先生が多いです。私も静かに見守っていただいたことが何度もありました。
治療してリラックスしてくると寝てしまうこともあります。鍼灸治療中に寝てしまうと短時間でも十分な休息が取れてとてもスッキリします。
理由その9
鍼灸治療に通うと自分に優しくなれる
鍼灸の治療を始めたときは、不妊治療の病院にもお金がかかるし、これから生まれる子どもにもお金がかかるのに、自分にお金をかけていいのかな?と思っていました。続けていくうちに、身体の調子が調い、家事や育児や自分のやりたいことが捗って、仕事も続けながら妊活ができました。自分にお金をかけても、その分働いてお金を作れるようになればいい、もっと自分の身体に優しくしていいんだ、そんなふうに思えるようになりました。
自分に優しくなって、自分に集中していると、身体の調子がいい時は新しいことにチャレンジしたり、ちょっと元気が出ない時は休んでお灸して、自分の身体とうまく付き合えるようになります。
理由その10
元気になると夫婦仲良くなれる
体調が悪い、なんとなく元気が出ない、そんな状態の時はパートナーにも優しくなれません。元気になると、今やりたいと思っていることが行動できるようになるし、頭もスッキリするのでパートナーが喜ぶ言葉を選んで話したり、相手が喜ぶことをしてあげられるようになります。だれかに優しくできるのは、自分に十分やさしくできている時です。順番は自分が先、周りの人に優しくするのはその後です。
誰だって優しい人が好きです。優しい言葉をかけていたら優しい言葉が返ってくるし、夫婦の仲も良くなっていきます。
妊活してもしなくても夫婦仲良しの方がいいに越したことはないけれど、これから始まる子育ての準備としてもっと仲良くなっておくといいですよね!
最後に、私が鍼灸院に通って一番嬉しかったのは、やはり赤ちゃんを授かれたこと。
もちろん鍼灸だけで妊娠することはできません。精子と卵子の出会いがなければ妊娠に至れないので、夫婦仲良く妊活に取り組むことが欠かせないし、病院に頼ることも妊娠の近道になる。だから鍼灸だけでなく、病院にも必ず行ってほしいです。
そのうえで、妊娠するために多方面からサポートできるのが鍼灸だと思います。
それから最後にもういっこ付け加えると、妊活にはお金が結構かかります。国家資格をもつ鍼灸師の施術は医療費控除の対象にもなります。
(必ずとは言い切れないけど医療費控除などで納税額を抑えておくと保育料も安くなることがあります)
そんないいことがたくさんある鍼灸治療なので、私はもっと早く出会いたかったです。
日本全国には私が思っている以上にたくさんの鍼灸師の先生がいます。
あ、私もその一人なんですが、鍼灸師になるまでは鍼灸がまったく身近なものでなく、全く知らない世界でした。
鍼灸は今あまりメジャーな医療ではないかもしれないのですが、古くから日本に根付いてきた伝統ある治療でもあります。だから鍼灸は日本人の体のことを良く調べているし、日本の四季にも合った治療法と言えます。これから少しずつ鍼灸の魅力を伝えていこうと思うのでまたよんでいただけると嬉しいです。