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苦いものは、甘いものに

エフェクチュエーションの思考と行動に関する原則について、続けて取り上げていきたいと思います。


「レモネードの原則」

起業では、顧客獲得に失敗したり、事業がスケジュール通りに進まなかったりといった不都合な事態もあります。

そのような苦い失敗もありつつ

思わぬ形でパートナーが現れたり、偶然の出来事をきっかけに想定しなかった方向に事業が成長した

といった棚ぼた的な出来事もあるかもしれません。

そんな予測が難しいことを、書籍「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」」では「優れた起業家は、それらを分析や予測で対処していくことは難しいことを自覚している」と紹介しています。

むしろこのような出来事を柔軟に前向きに捉えて活用する傾向にあることとしています。このことを

When life gives you lemons, make lemonade.
「人生がレモンを与えてくるなら、レモネードを作りなさい」

書籍「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」」より

というアメリカのことわざに合わせて、「レモネードの原則」と名付けています。

レモン(苦いもの)をレモネード「甘いもの」に変えてみるように行動しなさいということですね。

エフェクチュエーションの他要素と比べて、レモネード作りを実践できてる人はかなり少ないと思います。自分の経験で考えるとですが、自分にとって不都合なことというのは、感情的な試練が待ち受けているからです。恥ずかしい、自己嫌悪に陥る、不快が多いので、レモネードに変えようと意識的に努力する人は少ないと思うのです。

だからこそ、取り入れるべきこととも言えますね。

レモネードの原則を取り入れる

書籍「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」」では具体的なレモネード事例が紹介されていますが、ここではこの原則を取り入れることを前提に、書籍で、どのようなステップがあるのか書きたいと思います。

書籍に書いてある言葉を自分的には自分なりの理解で、自分の言葉で書いた方が頭に入るので、書籍とは言葉を変更してかいてる場合あります。

〜偶然を活用するための4つのステップ〜

①ある出来事が起きた時、白か黒かですぐに反応せず、予期せぬ出来事かどうか考えてみよう。
レモネード事例として紹介されていることは成功例としてよくあげられるが、実際は「予期していなかった偶然の出来事」というのは誰にも一定の確率でおこっているのではないだろうか。事例を踏まえると、自分にとって好ましくなく、無視しているネガティブな出来事が、実は「セレンディピティ」といわれるような幸運の機会かもといえる。
「意図しない偶然の出来事」が自分にとってポジティブであれ、ネガティブであれ、その出来事を活用する行動をすることで初めて「セレンディピティ」かどうかが判断できる。だから、予期せぬ出来事がおきたときに、すぐに反応せず、予期していたことかどうかを考えてみよう。

とあります。

②意図しない出来事が起きた場合、捉え方を変えてみよう。
意図しない出来事が起きた場合、優れた起業家は、計画の修正などから入るのではなく、出来事の捉え方を変えてなんらか前向きな方向に活用できないか検討する傾向にあると書かれています。これは認知の枠組みを変えて出来事に対する反応パターンを変えていく心理療でも使われるリフレーミングといわれるものに近いそうです。

③予期しない事態は、手持ちの資源の拡張機会でもある。
エフェクチュエーションは、手持ちの手段として「私は誰か」「誰を知っているか」「何を知っているか」が主だと紹介しています。予期しない出来事、、、例えば予期しない出会いは誰を知っているか?を拡張させますし、予期しない情報を得ることは「何を知っているか」を拡張させます。

④拡張した手持ちの手段からあらためて何ができるかを考える
前に書いたステップから、手持ちの手段が拡張した場合は、新たな可能性がひらけているため新たなレモネードが作れる可能性があります。
ですが、重要なのはそこではない。以下引用。

(レモンからレモネードに変える上で)極めて重要なのは、あなた自身がその取り組みを意義あるものと考え、自分で決めて行動しているという前提です。自分で「何とか形にしたい」と考えている取り組みだからこそ、思ってもみなかった結果や失敗に直面した際にも、不都合な経験を受け入れたうえで、「何か新しくできる行動はないか?」を模索する態度が生まれると考えられます。逆に、その取り組みが気乗りがしないものだったり、誰かにやらされている感覚で取り組んでいるならば、最善を尽くしたにもかかわらず起きうる予期せぬ事態は、断念するための口実にしかならないでしょう。 それが自らにとって重要な取り組みであればこそ、たとえ想定外の失敗を含む不測の出来事が起こった場合にも、それすらを資源として活用することができるのです。

吉田 ; 中村 . エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」 . ダイヤモンド社.

起業のメソッドというより、自己啓発的な内容にも思えますが、なかなか本質的なことをついているなと感じますし、2025年の今の自分には、なかなか耳の痛い話です。

つまるところ、レモネードの原則をテクニックの認識でいては身につけるのは難しいということ。

自分が考えた目的や目標を達成することを優先するのではなく、「未来共創型」の思考をもっているエフェクチュエーションは、自身に人間的な変化を求めてくる場合もあるということを自覚しておく必要がありそうです。



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