靴ひもが上手く結べない
毎日note更新19日目。
僕は靴ひもが上手く結べない。
生まれてこの方靴ひもを結んだ後、満足した試しがない。
どうも不満が残る出来になるのだ。
そしてまたすぐに解けてしまう。
まるで人生のようだ。
うん。
何言うてんねん。
ちょっとカッコいいエッセイ風に始めようとしたが無理そうなので止めておこう。
とにかく僕は靴ひもを結ぶのが苦手なのである。
物心ついた時からいくら結んでも上手く結べない。
何か結び方が間違っているのかもしれないが、よく分からない。
道で解けて結んでを繰り返すのだ。
これがめちゃくちゃ面倒くさいのである。
ただ、何回も繰り返しているとやがて安定するポジションがやってくる。
そこにたどり着いたらずっと安定してくれる事をひたすら祈るのだ。
最近僕の靴ひもはずっと安定してくれていた。
この平和な毎日がいつまでも続く事を僕は願っていた。
しかし今日。
バイト終わりに僕がふと足元を見た瞬間。
ついにこの束の間の平和は崩れ去った。
靴ひもがユルユルなのである。
来たか、、、!
と僕は思った。
靴ひもがKO負け寸前のボクサーのようにフラフラと舞っている。
今にも解けそうである。
僕はすぐさましゃがみこみ今のままの位置でキュッと強く締め直した。
経験上これが1番の延命措置である。
1から結び直さずにベストポジションをキープしたまま締め直す。
よしよし。
何とか凌いだ。
そう思いながらしばらく歩いていると靴ひもが地面をパチンパチン叩いている。
はい、終わり。
完全に解けた。
ここから恐怖の解け祭りのお時間です。
とりあえず1回結んでみる。
何か結び目が斜め上向いてる。
こんなんもう絶対あかん。
絶対すぐ解ける。
ほら解けた。
「あ〜もう!」と1人呟きながら僕はまたしゃがんだ。
この行為普通の人でも面倒くさいとは思うが僕のようなデブだと尚更である。
いちいち重労働なのだ。
そしてこれもデブ特有なのだが
しゃがんだ瞬間
ちょっと半ケツになってしまうのだ。
太っていてズボンが余裕ない状態で無理な態勢をとって靴ひもを結ぶ。
これをするとケツが半分プリっと出てしまうのだ。
慌ててすぐズボンを直すのだがこれがもう嫌で嫌でしょうがないのである。
誰もケツなんか出したくない。
そして街ゆく人も太ったおじさんのケツなんて一瞬でも見たくないだろう。
本当に誰も得しないのである。
おケツ悪循環である。
それもこれも僕が靴ひもを上手く結べないのが悪いのだ。
よりによって今日はこれから渋谷にフリップ用の印刷をしに行かなければいけない。
こんな解け祭りの日に。
でも行かないとどうしようもないので僕は嫌々渋谷に向かった。
印刷を済ませ僕は渋谷の駅へと足早に急いだ。
次に解ける前に早く帰りたい。
そう思いながら渋谷スクランブルスクエアまで来た。
後はエスカレーターを上がれば改札である。
もう少しだ!
そう思った瞬間
パチンパチン。
靴ひもが地面を叩いていた。
くそ、、、!
あと少しだったのに!
僕はすぐしゃがみこんで靴ひもを直そうとした。
勢いよくしゃがみこんだのでケツがプリンと半分出てしまった。
あっ!と思った瞬間
後ろから小さな声がした。
「うわ、ケツ、、、」
僕は振り向いてはいけないと思いつつ恐る恐る振り向いてしまった。
後ろには
女子高生2人が立っていた。
しゃがんで半ケツ状態のデブと汚物を見る目の女子高生2人が見つめ合っている。
僕の心の中で
この3人を中心にしたままどんどん引きの絵になっていってやがて渋谷の街全体が映し出されるという映像が展開された。
映画のオープニングが始まりそうな感じである。
この時ほどドラゴンボールの悟空の瞬間移動が使えたらと思った事はない。
もし瞬間移動出来たらケツ出したままシュッと消えてそのまま界王星に行っただろう。
女子高生達と目が合った僕はすぐズボンを直しすぐさま立ち上がりエスカレーターを駆け上がった。
完全に変態の動きである。
1発レッド。
即退場である。
恐怖!ケツ出し変態デブおじさん、渋谷スクランブルスクエアに現るの巻。
なぜかキン肉マン風なタイトルが頭に浮かんだ。
僕は駅のホームで電車を待ちながら非常に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
女子高生達に醜いものを見せてしまった。
何と詫びたらいいか。
でも聞いてほしい。
本当に悪気はなかったんだ。
ただ靴ひもを結ぶのが下手で
太ってて
ズボンがちょっと小さくて
これらが重なって起こった事故だったんだ。
どうか信じてほしい。
そして願わくば。
僕の事は忘れてほしい。
僕の事は記憶から消して
前へと進んでほしい。
青春を謳歌してほしい。
これから君達に素晴らしい未来が待っている事を祈っています。
にっしゃん
というわけで靴ひもを結ぶのが下手なだけでとんでもない悲劇を招いてしまった。
もう今後は子供が履くマジックテープの靴に変えた方がいいのだろうか。
あとズボンも何か対策を考えなければ。
この悲劇を2度と繰り返さないよう精進していきたい。
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