運命のサドルカバー
毎日更新290日目。
僕は練馬に引っ越して以来、自転車をほぼ毎日利用している。
駅チカならぬ駅トオなので、自転車が必須なのである。
おそらく人生史上1番自転車に乗っている2年間かもしれない。
これだけ自転車に乗るので、サドルの部分にはクッションの入ったサドルカバーを付けている。
これが無いとお尻が痛くてしょうがないのだ。
僕の自転車は安物だからか何なのか分からないが、サドルがどう考えても人が座れるように作られていないのだ。
座ったが最後、すぐにお尻が痛くなるのである。
あれはサドルじゃなくて、お尻キラーである。
対お尻用専用兵器と呼んでいいだろう。
なので、クッションの入ったサドルカバーが必須なのである。
僕が付けているのは1000円ちょっとの安価な物なのだが、それでも付けると付けないとでは大違いである。
お尻を優しく包み込んでくれるのだ。
そんなサドルカバーを付けて1年。
とうとうサドルカバーが限界を迎えた。
目に見えてボロボロなのである。
表面が破れて、中の黄色のスポンジが出てしまっている。
そしてクッションだった部分が左右に垂れ下がり、遠目から見たら頬肉が垂れたおじいさんの様に見える。
福本伸行作品に出てくる王的なおじいさんの頬肉である。
このまま乗り続けると近所で噂になってしまうかもしれない。
「あの人、福本先生の頬肉の垂れたおじいさんをサドルに付けてる、、、」と。
悪い意味で有名になってしまうだろう。
僕はまだまだ町の変なおじさんにはなりたくないので、サドルカバーを新しくする事にした。
まず今付けてるサドルカバーを外してみる。
信じられないぐらいボロッボロである。
よくこんなもん付けてたもんだ。
今思えば雨にさらされる様になってから、劣化が激しくなってしまった。
僕の家は屋根のついた駐輪場がないので、雨の日は直で雨を受ける事になる。
元々はレインカバーが付いておりそれを装着すれば良かったのだが、台風の日に飛ばされて空の彼方に消えてしまったのだ。
今頃宇宙を漂っているのかもしれない。
そこから急激に劣化してしまったのである。
とはいえ、最後までお尻を守ってくれた。
「今までお疲れ様でした」
僕はボロボロのサドルカバーに一礼した。
旧サドルカバーとお別れした後は、新サドルカバーの購入である。
僕は前回とは違うサドルカバーを買う事にした。
前回のは安くてクッション性もあり良かったのだが、ちょっと気分を変えるために違う物を買おうと思ったのである。
最近思うのだが、こういう小さな事から毎日に刺激を与えた方がいいのだ。
ここ1年ぐらい良くも悪くも生活のリズムが一定なので、ともすれば飽きがきてしまうのだ。
現にちょっと前まで「ずっと毎日が一緒やな、、、」と非常に面白く無さを感じてしまっていた。
これでは良くない。
とはいえいきなり生活を大幅に変えるのは難しいので、今回のサドルカバーや他には食べる物などをちょっといつもと変えてみて毎日に刺激をプラスするのである。
これが意外といいのでオススメである。
もちろん劇的には変わらないが、ちょっとした気分転換にはなる。
というわけで、僕は新しいサドルカバーをYahooショッピングで買う事にした。
ネットショッピングは本当に便利である。
普通に店を回っては手に入りにくい物もすぐ買う事が出来る。
僕は前回買ったサドルカバーを確認し、それは買わない様にして他の物を吟味した。
すると良さそうなカバーを見つけたので、伝家の宝刀PayPay払いを繰り出し購入した。
そして昨日。
僕の家に商品が届いた。
新しいサドルカバーとのご対面である。
少しワクワクしながら袋を開ける。
すると、、、
前と全く一緒のサドルカバーが姿を現した。
何で???
僕は混乱した後、事態を把握した。
僕はあろうことか
前回買った物を間違えて認識し、そこから変えようとして結局同じ物を買ってしまったのである。
何でや。
何でそんな事なってまうんや。
こうして僕は結局前回と同じサドルカバーを自転車に取り付けた。
まあ前回でクッション性がいいのは分かってるんで、安心ではある。
それに回り回って巡り会ったという事は、このサドルカバーによっぽど縁があるのだろう。
にっしゃんとこのサドルカバーは一緒になる運命だったのである。
というわけで
「これからまたよろしくお願いします」
と綺麗になったサドルカバーに一礼した。