書評「管理ゼロで成果はあがる~「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう」
ある人と話をしていた時、ふと「目標管理ってどうやればいいのだろう」と考えてしまいました。僕はよく「チームの利益と、個人の利益を一致させる」という言葉を用いることがあるのだけど、具体的に個人の利益をチームの利益と一致させるにはどうしたらよいのだろうか、と。
また、普段働いている会社では「MBO(Management By Objective)」という目標管理制度を採用しているけど、MBOのメリット・デメリットをきちんと分かっているのだろうか。改めてそんな事を考え、組織開発ファシリテーターの長尾彰さんに相談したところ、おすすめされた本の1つが本書です。
本書「管理ゼロで成果はあがる~「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう」は、2011年に創業したシステム開発会社「ソニックガーデン」の代表が、オフィスがなく、社員の半数以上が地方に住んでいて、しかも管理職がいない。社員全員が自主的に働く組織が、いかに形作られたのかを説明した書籍です。
自由に働く組織に変えるための3つのステップ
本書では「自由に働く組織に変えるための3つのステップ」が説明されています。
第1段階:生産的に働く(楽に成果をあげるために見直す)
第2段落:自立的に働く(人を支配しているものをなくす)
第3段階:独創的に働く(常識や慣習に従うことをやめる)
本書で最も大切なのは、第一段落の「生産的に働く」だと思います。生産的に働くことができなければ、自由に働くことはできません。生産的に働くためにはアウトプットを作るスキルと、自分を自分で管理するためのプロジェクトマネジメントスキルが不可欠です。
生産的に働くために僕が大切にしているのは、「タスクの細分化」です。アウトプットを作り上げるために必要な作業を、細かく、漏れなく、洗い出すこと。経験やスキルが足りない人は、タスクを細かく、漏れなく、洗い出すことはできません。
例えば書評を書くというタスクだけでも、思いつくだけでもこれだけあります。
・本を読む
・印象に残ったポイントをまとめる
・書評の構成(書く順番を決める)
・Amazonのリンクを貼る
・書く
・誤字脱字がないか見直す
・タグ付けをして更新する
細かくタスクを洗い出し、時間を把握しないと、見積書も作れません。自由に働くためには、ある程度の力がないと、自由を使いこなすこともできません。自由な働き方に目がいきがちですが、大切なのは自由に働くための力を身につけ、生産性を高めることが必要ではないか。そう感じました。
「組織で独創的に働く」ためのノウハウがまとめられた本
本書を読んで思い出したのは、仲山進也さんの著書「組織にいながら、自由に働く。 仕事の不安が「夢中」に変わる「加減乗除(+-×÷)の法則」」です。
仲山さんの著書が「個人が独創的に働く」ためのノウハウがまとめられている書籍だとしたら、本書は「組織で独創的に働く」ためのノウハウがまとめられている書籍だと感じました。
なお、本書にはリモートで働く社員同士のコミュニケーションのポイントについても細かく書かれているのですが、それは別の書籍に書かれているので、読み終わったら書評にまとめたいと思います。
別の書籍も読み終わったら、さっそくある人におすすめしたいと思います。