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ビジャレアル・メソッドを変えた人との対話

2月9日から17日(帰国は18日)まで、ヨーロッパのサッカークラブを2クラブ訪問させて頂く旅に出ています。2月9日に日本を出発し、1つ目の訪問先であるスペインのビジャレアルに無事に到着。今日は移動日の5日目とビジャレアル滞在中の6日目のレポートです。

滞在15時間だったシント=トロイデン

ベルギーのシント=トロイデンの滞在はわずか15時間。本当は試合も観たかったし、ホテルに併設されているカフェやレストランやスパも体験したかったけど、今回の訪問で一番楽しみにしていたビジャレアル対レバンテUDとの試合に間に合わなくなるので、7時にホテルを出てブリュッセル空港に。

ブリュッセル空港からはLCCのRyanairに乗ってバレンシア空港に。バレンシア空港からは駐車場に駐めていたレンタカーに乗ってビジャレアルに。1日駐車して費用は30ユーロ程度(約3,600円)。タクシー使うと90ユーロかかるので、タクシーよりお得です。でも帰りはタクシーを使わなければならないので、90ユーロ支払わなくてはならないので、次回来るときはバレンシア空港でレンタカーを借りることを決意。

駐車場出口から高速への道を間違え、地獄のバレンシア市街を少しだけ走らされましたが、大きなトラブルなくビジャレアルのホテルに到着。疲れがたまっていたので、この日はホテルで一休み。食事もスーパーで買い込んで、ホテルから一歩も出ず。大分回復しました。

ビジャレアル・メソッドを変えた人に聞きたかったこと

大分眠れたので、すっきりした気分で起床。ランニングは自重したものの、朝食後に散歩を兼ねて、エスタディオ・デ・ラ・セラミカにあるオフィシャルグッズショップに。

父親が毎回ヨーロッパに行くとサッカーのユニフォームをお土産に頼むので、今回はカソルラのユニフォームを購入。僕はランニング用に欲しかったので、ニットキャップを買いました。

帰り途中に普段トップチームが練習しているCiudad Deportivaに立ち寄ってみたのですが、警備員が入口の前に立っていて、駐車場も満杯。普段と違う雰囲気だったので早々に立ち去り、ホテル横のカルフールの方がWifiのスピードが速いので、カルフールで作業。昼過ぎに同じホテルに宿泊していた(!)レバンテUDのセルジオ・ナバーロ アシスタントコーチにお会いできることになったので、聞きたい質問を考えてみることに。

今回のビジャレアル訪問時に、最も会いたい人は誰かと言われたら、セルジオ・ナバーロさんでした。セルジオ・ナバーロに会いたかった理由は、彼こそが2014年にビジャレアルのメソッド・ダイレクターだからです。

時間にすると30分にも満たない時間でしたが、セルジオ・ナバーロさんに聞きたいことを聞くチャンスだったので、2つ質問を投げかけました。

僕から聞いた質問はこの2つ。

1.ナバーロさんはシステマチックに指導を行うのではなく、個人の成長を大切にしている。それ故にマニュアルがなかったり、言語化に慎重なのだと解釈している。現在の指導法にたどり着いた理由を聞かせて欲しい。

2.レバンテUDはリーガ・エスパニョーラのどのチームとも違う。最も違う点は「ミスを恐れない」姿勢が全体で共有されていることだと思う。選手に対してどんなことを伝えているのか教えて欲しい。

ナバーロさんは、こんなことを話してくれました。(メモを取れなかったので、覚えている範囲で書いています。内容についての文責は僕にあります)

・過去にマニュアル化を徹底的に行ったけど、何も生み出さなかった事に気がついた
・(ビジャレアル時代)アウトプットを出さないから、上の人からは「あいつは仕事しているのか」と言われた。僕は「他のスタッフに聞いてみるといい」と言った
(同席していたビジャレアルの佐伯さんのコメント)めちゃくちゃ仕事させられた(笑)
・ミスをミスと許容しないように、試合の分析は選手が行う。選手に分析させることで、ミスをするのは当たり前だと理解させるようにしている
・レバンテのサッカーを見た人には、他のチームと違うのでいろいろと批判する人もいる。

ナバーロさんは「ミスをしよう」ということを何度も口にしていました。人はミスから学び、ミスから成長する。ミスをしないことがミスである。そのことをよく分かっている人だなとも思いました。

ナバーロさんとの対話を終えて、僕は佐伯さんに「これで日本に帰れる」とお礼を言いました。お金かけて自腹で来てよかった。僕の本当の感想はnoteには書かず、心の中にしまっておきます。

人を見て戦えるレバンテUD

ナバーロさんとの対話を終えた後、カルフールでお土産を購入し、佐伯さんにピックアップして頂き、エスタディオ・デ・ラ・セラミカに。スタジアム近くの関係者用の駐車場(学校の校庭でした)に車を駐めて、スタジアムに。

到着して驚いたのは「ファンゾーン」があること。リーガの試合はファンがアクティビティを楽しめる場所なんてないと思っていたので、とても意外でした。子供たちが3on3をやっていたり、地元のバンドがロックを演奏していました。

さらに驚いたのは、アウェーのレバンテUDのサポーターも、一緒に楽しんでいることです。ビジャレアルとレバンテUDはとても親しい関係にあるチーム同士だということですが、アウェーチームとホームチームの導線やエリアが完全に分かれることが多いヨーロッパのスタジアムと比較すると、ビジャレアルの光景はとても新鮮でした。

今回はカシマフットボールアカデミーのコーチ2人と選手1人と並んで観戦させて頂くことに。チケットは佐伯さんが手配してくださってました...。ただただ感謝しかないです。手配いただいた席はバックスタンドの最前列中央。あまりの近さにびっくりしました。

近かったので、ウォーミングアップも間近でみることができました。

このウォーミングアップを見て感じたし、試合を観ていて、レバンテUDの選手は「ミスを恐れない」だけでなく、「場所ではなく相手を攻略する」サッカーをやっているのだな、ということがよく分かりました。

この試合のレバンテUDの同点ゴールの場面は左サイドからのパスも素晴らしいのですが、サイドにパスが通る前に、サイドのMFの選手がビジャレアルの選手の背後を取って、中央でボールを受けて、相手を崩しているんです。

システムで照らし合わせると絶対に人がいない場所にレバンテUDの選手がいる。このことにビジャレアルの選手たちは、90分通して苦しみ続けました。ボールを持てばレバンテUDの選手しか周りにいない、ボールを奪いにいくと、周りにはレバンテUDの選手しかいない。レバンテの選手たちが相手を見ながら、基本ポジションではなく「相手を攻略する」ためのポジションを見つけ、アクションを実行し続ける。Daznでは何度も観ていた光景ですが、生で試合を観て「こうやってるのかぁ」とうならされました。

個人のクオリティで上回ったビジャレアルが2-1で勝ちましたが、レバンテUDとしてはやるべきことはやった試合だと思います。試合前は「レバンテUDのペースで試合が進んで、ビジャレアルが勝つ」試合が観たいと考えていたのですが、僕が観たかった試合展開通りの試合になりました。

今日はビジャレアルU23の試合を観て、レンタカーを返却します。帰国日は6時(!)の飛行機に乗るので、寝過ごさないようにしなくては。

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西原雄一
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