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「イノセンス」ポスターに恐怖した幼少期、トラウマに向き合う刻

昨日見た「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」に続き、続編であり今年公開20周年を記念して4Kリマスター版が映画館で放映されている「イノセンス」を見る。

以前の記事で少し触れたが、筆者はこれが子供の頃の最大のトラウマ。
幼少期、筆者は人間の姿かたちをしたロボットいわゆる「サイボーグ」が恐怖の対象だった。ターミネーターとかの、人間の皮膚の中から機械が出てくるとか、手足が破損する描写とかが怖くてしょうがなかった。

当時からロボットアニメが好きで、いろんなアニメやらSFものに触れてきていた中で、家族がきっと自分のためにもってきてくれたであろう、映画の半券に描かれた絵を見た瞬間とてつもない恐怖感に襲われたのを覚えている。

怖すぎ

これです。ポスター怖すぎでしょ。今でも見るのが辛い。
以降、本作のCMは見られなかったし、レンタルビデオ屋でもその棚を避けるように歩いていたし、なんならもらった半券を捨てたごみ箱に近づくことさえできなかった。

それから数十年の月日が経ち、攻殻機動隊を知り、本作がその続編であることを認識して、ある程度トラウマを克服したであろう今、公開から20周年を迎えようやく見るタイミングが来たのだ。

実際本作を見てみると、自分が恐怖したポスターのような描写は序盤と終盤のみで少なめ。どちらかというとバトーとトグサがサイボーグ絡みの事件を追うバディものサスペンスドラマの要素が強い。

前作のようなSF盛り盛りの描写やガンアクションは無くは無いが控えめであり、色味や淡々とした進行具合から「セブン/SE7EN」に近い印象を受ける。

エンタメ的な要素よりは、美術的というか、3DCGをふんだんに織り込んだ空間描写や、重厚な都市部のデザインなどが、世界観の構築とある種フェチズムにも通じる緻密さを表現するに至っている。

細かい画作りと、博識かつあえて無駄を入れた台詞回しのような押井守作品の特徴をこれでもかと詰め込んで、前作よりもエゴイスティックに世界観、映像美、攻殻機動隊が持つテーマ性の表現に挑んだものなのだと感じた。

簡単なストーリーではなく、映画内での説明も少なく、決して万人受けはしないだろうけど、好きな人には深く刺さる怪作。
国内外のアニメ作品の中でも圧倒的な独自性が光る本作、4Kリマスターで公開しているうちに見てみてはどうだろう。

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