湯島天神の十二の灯籠の謎Ⅱ〈解決編〉
※この記事は、こちらの「湯島天神の十二の灯籠の謎Ⅰ〈問題編〉」の続きです。
さっそく真相のお話、と行きたいところですが、まずはⅠ〈問題編〉の内容をおさらいしておきましょう。
湯島天神の梅まつりがとても良かった
↓
境内に綺麗な吊り灯籠を発見
↓
12個並ぶ灯籠には十二星座があしらわれているようだ
↓
十二星座のうちなぜか「やぎ座」が見当たらない、なんか代わりにしゃちほこがいる
…こんな感じでした。
記事の最後は、疑問を抱えてもやもやしたまま神社からをあとにしたところで終わっていました。
その後のことです。
いろいろ調べてみて、何のわけがあってヤギがいなくてしゃちほこがいるのか、なかなかに腑に落ちましたので、以下でそれについて記します。
〈解決編〉に入りましょう。
「十二星座」そして「十二宮」
そもそもなのですが、実は初めの「灯籠に十二星座があしらわれている」という仮定からして、少しだけ違っていたのです。
いきなりですが、「十二星座」にほぼ対応する概念で「十二宮(じゅうにきゅう)」というのがあります。
十二宮?
宮って何でしょうか。いや本当にいきなりすぎます。
いったん落ち着いて、まずは十二星座についてあらためて見てみましょう。
とりあえず12の星座をひとつずつ挙げてみます。
おひつじ座
おうし座
ふたご座
かに座
しし座
おとめ座
てんびん座
さそり座
いて座
やぎ座
みずがめ座
うお座
以上ですね。
では、数ある星座の中で、どうしてこれらの12個なのでしょうか。
「十二星座」(あるいは「黄道(こうどう)十二星座」)というのは、「黄道(天球上での太陽の見かけ上の通り道。円の形をしている)」の通っている13の星座のうち、へびつかい座を除いた12の星座のことです。
…文章では様子が伝わりづらいと思います。
↓こちらにパッと見て分かりやすい図がありますので、よろしければ見てみてください。
(イメージの参考になればとリンクを貼ります。いまは主に図を見ていただければと思います。)
なんとなくイメージできたでしょうか。
いったん十二星座の話はこのくらいにしましょう。
十二宮って何だ
一方の「十二宮」(あるいは「黄道十二宮」)。これは星座そのものではなく、12等分した黄道上の領域のことを言います。
…領域?
↓こちらもとりあえず図を見てみましょう。(少しスクロールしたところにある円形の図です。先ほどと同じく、イメージの参考になればとリンクを貼ります。いまは主に図を見ていただければと思います。)
この、12に分かれた領域ひとつひとつを「サイン」と言います。(古くは「宮(きゅう)」とも呼ばれていました。
12個ある領域、あらためサインを列記します。
白羊宮(はくようきゅう)
金牛宮(きんぎゅうきゅう)
双児宮(そうじきゅう)
巨蟹宮(きょかいきゅう)
獅子宮(ししきゅう)
処女宮(しょじょきゅう)
天秤宮(てんびんきゅう)
天蝎宮(てんかつきゅう)
人馬宮(じんばきゅう)
磨羯宮(まかつきゅう)
宝瓶宮(ほうべいきゅう)
双魚宮(そうぎょきゅう)
以上です。
「ヤギ」と「磨羯」
さて、さきほど十二宮は十二星座にほぼ対応する概念だと書きました。
「ほぼ対応」。どういうことでしょうか。
このあたりなのですが、面白いと同時にかなり入り組んだ話であるようで…。今回は勇気を持ってすっ飛ばしてしまいましょう。
(詳しく知りたいという方、ご心配なくです。参考になりそうな情報を記事の最後に載せますので、ぜひそちらをご参照ください。)
それでは十二星座と十二宮の対応関係を一覧にして見てみましょう。
下記の通りです。
おひつじ座 - 白羊宮(はくようきゅう)
おうし座 - 金牛宮(きんぎゅうきゅう)
ふたご座 - 双児宮(そうじきゅう)
かに座 - 巨蟹宮(きょかいきゅう)
しし座 - 獅子宮(ししきゅう)
おとめ座 - 処女宮(しょじょきゅう)
てんびん座 - 天秤宮(てんびんきゅう)
さそり座 - 天蝎宮(てんかつきゅう)
いて座 - 人馬宮(じんばきゅう)
やぎ座 - 磨羯宮(まかつきゅう)
みずがめ座 - 宝瓶宮(ほうべいきゅう)
うお座 - 双魚宮(そうぎょきゅう)
以上です。
おお…?
そうですね。十二星座の「やぎ座」と十二宮の「磨羯宮(まかつきゅう)」とが対応しているところに注目です。
磨羯(まかつ)。
磨羯というのは、インド神話に登場する怪魚マカラのことです。
その姿・造形の表現は一定していませんが、主にワニや魚がその主体となっています。
おお、なんと。
そういうことだったのですか。
↓くだんの灯籠の
このデザインはマカラだったわけです。
(ということはですよ。蛇足かもしれませんが、「しゃちほこかもしれない」という説もあながち間違いではなかったですよね。マカラとしゃちほこはいずれも、想像上の生き物であり魚のイメージです。)
今回のまとめ
・十二星座にほぼ対応する概念に、十二宮(じゅうにきゅう)がある。
・十二星座の「やぎ座」と十二宮の「磨羯宮(まかつきゅう)」が対応関係にある。
・「磨羯」は、インド神話に登場する怪魚「マカラ」のこと。
・例の灯籠のデザインは、マカラ。
あとがき
お付き合いいただきありがとうございました。
いろいろ見ていくと本当に限りがないですね。
本文中で書ききれなかったこともまだまだあります。
例えば…
・しゃちほことマカラはじっさい関係がありそうで、それについて言及しているサイトなどもあったけれども、見て見ぬふりをしました…。限りがなさすぎます。
・宗教におけるマカラ、建築にみるマカラ、…そのへんも面白そうだし深堀りできそう。
・十二星座、ナチュラルにへびつかい座を除いたよね
・春分点は基点…だけど歳差運動で…移動…
・トロピカル方式……
息も絶え絶えになってしまいました。失礼いたしました。
最後になりますが、本文で言及した十二星座と十二宮の対応については、これらの記事に非常に丁寧に書かれています。ぜひにです。
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