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方言に憧れた江戸っ子が、驚きの沖縄訛りに仕上がるまでの話 | 沖縄移住8年目のレベル上げ日記

めんそ~れ!
niraimarie(ニライマリー)です。

皆さんのお住まいの地域には、「◯◯弁」と呼ばれる方言はありますか?

私のおじぃが話していた江戸っ子言葉も、いわば方言のひとつだったのでしょう。
でも訛りのない世代の江戸っ子だった私にとって、方言は強い憧れの対象だったのです。

初めて沖縄へ旅行に来た大学4年生の夏。
那覇空港に降り立って間もなく、「うちなーぐち(沖縄弁)」と私の終わりなき闘いが幕を開けました。

果たして、「?」がいっぱいだった東京の大学生が、移住8年目になるとどうなっているのか?
そして、他の地域からの移住者は、いかに?

外国語すぎるうちなーぐちの紹介と、あくまでも私視点の観察日記をお楽しみください。


🌺「〇〇しましょうね」は全然誘われていない

那覇空港を出て、送迎バスに乗る時に、レンタカー会社のにーにーが言った言葉。
「お荷物持ちましょうね」。
私は言われた通りにスーツケースに手を掛けました。
すると、「?」と止まったにーにーを見て、私も「?」と止まり。
にーにーはまた言いました。
「お荷物持ちましょうね」。
私が「?」のまま荷物に再度手を掛けるより前に、にーにーは私のスーツケースを積み込みました。

なんと、沖縄の「◯◯しましょうね」は、「(発言者が)◯◯します」のこと。
全然誘われてなんかいません。

知らずに沖縄に初めて来た方は、私みたいにコントが繰り広げられるので注意です。

ちなみに移住8年目の今では、仕事上がりに「お先に上がりましょうね〜」と普通に言っています。
そして、周りの移住者も「これ持って行こうね〜」などと普通に使っている、取り入れやすい方言です。

🌺「だからよ~」に「だから何?」と問うてはならぬ

簡単に説明すると、沖縄の「だからよ~」は、「そうなんだよ〜」「本当にね〜」です。
つまり、これで会話終了です。

話が続くと思って待っていても何にも発言がない時に、「だから何?」とツッコんではいけません。

この言葉は、一日に何十回も使うし、聞くと思います。

「はっさ!なんで今日はこんなに寒いか!」
「だっからよ〜」
「もうこれ以上温かい上着なんてないさ〜」
「だっからよ〜」
などです。

これも結構取り入れやすさが高いため、当たり前のように使うことになります。
周りの移住者たちもよく使うし、移住外国人も使います。

アクセントは「ら」。

🌺感嘆符が簡単じゃない

沖縄県民同士の会話に耳を傾けていると、必ず数回耳にする言葉があります。

「あっぎじゃびよい」「はっしゃびよい」「あいえーなぁ」「はっさ」「はっし」「あげ」

これ、全部(呆れ気味に)驚いてます。

最近聞いたお手本のようなそれは、近所のガソリンスタンドにて。

値上がり前の駆け込みで、入り口が3つくらいある店舗は店員さんが車誘導にテンテコマイ。
多分誰かに割り込まれたのか、おじぃが車の窓を開け、店員さんに向けて叫びました。
「は〜っしゃびよい!」。

最初は「こんなこと言うかな?」と思っていた私も、移住8年目の今、「あいえーなぁなぁ」と、語尾をさらに付け加えるかたちで驚いています。
はっさ!

これはアウトプットの回数を増やすごとに段々染み付いてくる難易度ちょっと高めの方言です。

習熟度は興味の有無によってかなり左右されるかと重います。

🌺沖縄県民は「チーチーカーカー」するし、「ムチャムチャー」するし、「チーゴーゴー」する

沖縄の形容動詞は独特すぎます!

「チーチーカーカー」は口の中の水分が全部持っていかれる状態=「パサパサ」を表す時の音。
サーターアンダギーを飲み物なしで頬張ると、必ずチーチーカーカーします。注意。

「ムチャムチャー」は、「嫌な感じに濡れた」「ベタベタ」。
夏のちびっこの手はだいたいムチャムチャーしています。

「チーゴーゴー」は、「血が出ている状態」のこと。
量がゴーゴーというほどではなくても、必ず「チーゴーゴー」でワンセットです。

これらは、難易度かなり高めです。
なぜならば次から次に初めて聞く音が出てくるからです!
でも、なんとなく標準語よりも特徴を掴んでいるような…?

とはいえ、移住8年目の今は「何それ?!」と聞くことも少なくなりました。

これは、そばに方言を使うしーじゃー(先輩)や、小さな子どもを相手にしているママや先生がいたりすると自然に耳にするかと思われる、環境左右型方言のように感じます。

🌺電話の第一声が「タンカーユーエーのよ?」で始まる会話が存在する

沖縄のホテルで働いていると、毎日電話でたくさんのお問い合わせがあります。
特に面白いのが、地元宴会のお問い合わせです。
私は地元宴会の担当ではないので、たまたまその件に当たれば要件を聞いて引き継ぎをします。

「すみません、トゥシビー(生年祝い)のお問い合わせなのですが…」と丁寧に聞いてくださるお客様もいれば
「タンカーユーエーのよ?」と前置きなしで電話口に登場するおじぃもいます。

私はタンカーユーエーを知っていたので、笑いを堪えながらもおじぃの電話を担当に引き継げたのですが、知らない場合はまるで外国語ですよね。

タンカーユーエーとは、1歳になる赤ちゃんのお祝い。
赤ちゃんがハイハイする先に、お赤飯、ペン、お金、電卓、本(女の子の場合はハサミも)を置いて、どれを取るかで将来どうなるかを占うイベントのようなものです。

お赤飯は「食べ物に困らない」。
ペンは「役人になる」。
お金は「お金持ちになる」。
電卓は「商売上手になる」。
本は「学者になる」。
(女の子限定のハサミは「お裁縫上手になる」。)

おじぃはお孫さんのために、親族が集まれる宴会場を探していたのです。

これが分かった時は「私のうちなーレベルが上がった!」と感じたのでした。

🌺方言をまねしている内に、うちなーレベルは確実に上がる

まだまだ紹介しきれず、出口が見えなさすぎる、うちなーぐちワンダーランド。

私は方言を身につけることは、外国語の勉強と同じだと思っています。
とにかく聞いて、まねして話して、染み込ませる。
うちなーんちゅになりたくて沖縄移住した私は、イントネーションもひたすらにまねしていたら、もはや東京に帰ってもずっと訛りが抜けないレベルの擬態に成功しております。

そして、方言を勉強して使いこなせることこそが、うちなーレベル上げの近道だと思っています。

お買い物の最後に「シーブン(おまけ)!」と言われて、「ありがとう!」と返せる移住8年目。

それでも、まだまだ愛する沖縄の、愛するうちなーぐちの勉強は続くのです。

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