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【ここは異世界か】

 2024年10月26日、夕方5時の双葉町、白山神社より。

 5ヶ月半ぶりに静かな双葉を歩きながら、選挙に浮かれる都市とのギャップに戸惑っていた。未就学児の遊ぶ姿や外国人ツアー客、R288を走るチャリストに駅前を散歩する帰還者。少し人気の戻った双葉から復興を感じるかといえばそんなはずもなく、違和感しかなかった。

 政治は暮らし全てに関わるもの。しかし双葉町は選挙の喧騒からは完全に途絶された空間だった。「福島の復興なくして東北の復興なし」同じ言葉をここで歴代の総理大臣はいえるのだろうか。

 1枚目の写真に写る旧双葉町役場の向こうには、1Fの排気筒と思われるものがうっすら見える。その上に、おそらくクレーンだと思うが、白い逆三角形の影が見える。まるで放射性プルームが噴き出しているようだと思った。

双葉町目迫愛宕下。空虚な言葉はここには一切届かない。人のいない町を歩きいわきへ戻ると、選挙カーが候補者の名前だけをがなり立てて駅前を通り過ぎていった。政治は誰のためにあるのか。

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