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【2024年10月、双葉大熊富岡取材その7】前田から双葉高校へ

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<続き>


 前田の稲荷神社を出た後は、久しぶりに双葉高校へ行こうと思っていた。といっても、双葉高校は以前と違って敷地内には入れないようになっているので、敷地外からの撮影だ。これまで双葉高校には何度も行っているが、実は校庭周辺の桜並木の方は歩いたことがなかった。昨年3月に東京新聞の山川さんの車で訪れた時は、誰も愛でることのない桜並木がシュールに咲き誇っていたことを憶えている。桜というと富岡町夜ノ森の桜ばかりが注目されるが、人の消えたこの双葉郡では、誰もいないところでひっそりと咲く桜があちこちにある。

前田の住宅街へ

更地は雑草で覆われている。

 稲荷神社の参道を抜け、常磐線沿いの前田下川原へ。かつては住宅が並んでいたこの場所も、今はどこも更地だらけだ。そんな中でも、数軒はまだ解体されずに残っている。解体待ちなのか、あえて残すのか、連絡がつかないのか。こんなところにもひきこもごも、それぞれの家庭の事情が垣間見える。

まさに植物に呑み込まれる。
たくましい植物。

 前田の住宅街は、2月に訪れた時とさほど変わりはない。駅からやや離れているため、行政も解体を急いでいるようではない。見えやすいところは手っ取り早く解体して更地にして「なかったこと」にするが、1、2kmも離れれば、「復興」はもたついている。駅から十数キロも歩く僕にしてみれば、そんな「復興」の綻びはいくらでも見えてくる。

山田の帰還困難区域ゲート

山田地区の帰還困難区域ゲート。
この先では除染と前田川の護岸工事が行われており、トラックが通れるように帰還困難区域のバリケードは開けられている。

 前田から山田地区の帰還困難区域ゲートへ。ここは今年3月に報道特集で中継をした場所だ。しかしゲートの数十メートル手前で通行止めになっていた。橋を新しくするらしい。ということは、この先に「特定帰還居住区域」があって、通れるようにするのか…そんな部分的な解除で「復興」を演出しようなど、何とも官僚の考えることは愚かなものだ。

双葉郡を走り抜けるチャリスト

R288を帰還困難区域ゲート側から戻ってきたチャリスト。

 山田地区のゲートからR288へ戻り、双葉高校を目指して歩いていると、チャリンコが帰還困難区域ゲートの方から走ってきた。険しい顔をしている。大方、帰還困難区域は全て通行出来ると思い込んで行ってみたものの、自転車は通れないと警備員に止められて、ショックを受けて引き返してきたのだろう。

 福島民報が主催する「浜通りサイクリング」シリーズでは、放射線量がどうといったアナウンスは全くされてない。どこからどこまでが帰還困難区域あるといったアナウンスも全くない。どのメディアもそんなことは伝えない。六国が自転車でも通れるようになった時、ロードバイクで走り抜けた読売新聞記者は、放射能には一切触れなかった。おそらく線量計など持たず、行政が通行可能にしたのだから安全なのだろうと検証もせずに能天気に走ったのだろう。どこもかしこも「白痴化」している。この問題について、東京新聞以外にまともな新聞社を僕は知らない。

 そんなこんなでここ双葉郡には「無知」なチャリストが溢れている。彼らは双葉の原子力災害伝承館を訪れて、双葉ではなく福島市の空間線量を説明されて「安全・安心」を刷り込まれるというバカっぷりを晒している。

川沿いの遊歩道は雑草で覆われ歩けなくなっている。
セイタカアワダチソウ。

松本歯科医院

松本歯科医院。

 解体される気配もなく残されたままの歯科医院などを経由しつつ、双葉高校へ。改めて、双葉町内が荒れ果てている印象を強く持った。草刈りも以前の方がもっとされていた印象だが…能登で震災があって、様々なボランティアに従事していた人たちが、みんなあちらに行ってしまったのだろうか。

自然に呑み込まれる家屋

更地。

福島県立双葉高校へ

福島県立双葉高校到着。
今回のルート。

<続く>

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