2019年4月富岡浪江取材 高線量地帯とある“匂い”
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<続き>
帰還困難区域ゲート前の警備員との会話を終え、挨拶をし、引き返すことにする。
中間貯蔵施設への移動が始まったというが、この先(海寄り)に新たに仮置場が作られており、そこに新しく黒い塊が運ばれてくると警備員の人は話してくれた。建設が追いついていないのだ。
何度見てもおぞましい。しかしこの袋の中は、原発事故で放射性物質が振りそそぐまでは、大切な財産だった。
この日は金曜日。いつもは週末に取材に来ることが多いが、この日は平日。向こうに見えるクレーンがひっきりなしに動いていた。
雑木林。12月に会ったおじさんは、ここは除染してない、出来ないと話していた。
上がる。
上がる。このあと、3.92μSv/hまで上がり、避難指示解除の基準である3.8μSv/hをも超えた。
地表近くより、顔ぐらいの高さが最も線量が高い。雑木林から風で放射性物質が流れてくることを実感した。
あの奥の家に、12月に会ったおじさんはいるのだろうか。
(ゲートの向こうは帰還困難区域)
このゲートに立つ人にも、トイレを借りがてら話しかけてみたが、「個人的なことはちょっと…」と断られてしまったw 人によって対応はまちまちだ。
小良ケ浜のフレコン置き場手前の雑木林の脇は、相変わらず高線量であることを確認し、その後は王塚神社へ向かう。
ここでも毎時1μSv/hを超える。やはり雑木林周辺で空間線量が上がる。木から放射性物質が舞ってくることがわかると同時に、ここである“匂い”に気付いた。
避難している何人かの方から、震災直後、最初の一時立ち入りの時に金属臭がしたという話は直接聞いている。しかしこの時僕が感じたのは、花のような匂いだった。この匂いがする場所では、必ず高い空間線量を示す。今まで何度も浜通りを訪れているが、この匂いを感じたのは今回が初めてだ。
これはつまり、季節的なものではないか…おそらく放射性物質を吸着しやすい植物があるのではないか。そのことに気付いてからは、その匂いを感じたらすぐに線量計を見るようにしていた。
注:取材直後、このことをツイッターで呟いたところ、「放射性物質に匂いがある」と僕が述べたように意図的に誤読し、「デマ屋」呼ばわりする連中が多数絡んできた。繰り返すが、僕は「放射性物質に匂いがある」とは書いていない。「放射性物質を吸着しやすい植物があって、その匂いがするのではないか」と書いている。また、僕は科学者ではないので、その植物が何であるか証明する義理も論文を書く義理もないし、ただ自分が見て聞いて感じたことをリポートするだけだ。僕の本業は絵描きなのだから。
(ヘリコプター視察飛行会場…)
(荒野)
(桃田賢斗選手って富岡高校だったのか)
(JAEA。今朝見た真っ白なバスは、ここにも来るのだろうか)
(ふたば医療センター付属病院)
(ヘリポートがある。緊急時はここからドクターヘリが飛ぶ。避難指示解除された場所の医師不足は深刻だ)
(フレコンバッグ)
(雑木林)
(やはり空間線量は上がる。そしてここでも同じ“匂い”がした)
その後、王塚神社へ着いたものの、そこには変わり果てた姿しかなかった。
<続く>
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