【2024年10月、双葉大熊富岡取材その9】ホープツーリズム
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<続き>
双葉高校から双葉駅へ
双葉高校を出て双葉駅へ向かってメインストリートを進む。2月に訪れた際に「ここも更地になったか」と思った場所はどこも雑草が生い茂り、荒れ果てていた。家屋の解体を「復興」と呼んだバカがどこかにいたが、その人物に、この姿を見せてやりたい。これのどこが復興か。
冨沢酒造
アメリカ、シアトルで再出発した冨沢酒造さんの建物は、元々朽ちるがままになっていたのだが、入り口の門の部分に板状のものが張られ、中が見えないようになっていた。…何を隠すというのだろう。これを冨沢酒造さんが自らやったとは考えづらく、役場の判断で勝手にやったのではないかと思われるが、なんてみっともないことをするのか。こんな小手先のショボいことをする暇があれば、草ぼうぼうの荒地をまず何とかしろ。
前田川沿いの道へ
冨沢酒造の隣、スーパーワタヤさんの隣にはゼネコンの飯場があり、そこには土曜にも関わらず車が出入りし、人の出入りも結構ある。町じゅうあちこち撮影してる手前、やや気まずく、普段あまり歩かない六国沿いの前田川脇の道へ移動、そこから光善寺へ。
光善寺
光善寺は地震で道路沿いの門などは倒壊しているものの、本堂は今もしっかりと建っている。しかし、瓦礫を撤去するでもなく、当時のまま放置されている。これは、寺の住職の東電への抗議だと僕は考えているが、どうだろうか。原発事故を「なかったこと」にしたい人にとっては、家屋が解体され更地となり東日本大震災や原発事故の傷跡が消えていくことはまさに望むべきことだが、いつまでも倒壊した門などを残しているのは意図的ではないかと僕は考えている。
光善寺を出る。
外国人の団体
光善寺を出てメインストリートに戻り周囲の残り少ない廃墟を撮影していると、駅の方から大人数の外国人が歩いてくるのが目に入った。日本の若い大学生が10人程度で訪れて、元パソナの金髪豚野郎が描いた落書きを眺めているのは見たことがあるが、20人近い外国人の団体というのは初めて見た。黒いスーツ姿の役場職員と思われる人も一緒に歩いているが、ガイドしているのはインド人風の男性だ。
ホープツーリズム
…これがホープツーリズムというやつか。朝日新聞の三浦英之記者が倒壊したクリーニング屋を撮影しSNSに載せたところ、「不謹慎」「失礼」と大炎上したのが4年前。そこを撮影し絵に描いた僕も少なからず批判された。しかし今では同じくその倒壊したクリーニング店を描いた絵がステーションプラザふたばに展示されている。
震災から10年を控えた2021年2月、同じ通りで廃墟を撮影しようとしていた外国メディアに対し、パトロールの警察が声をかけ、それをやめさせていた。つい先日は、双葉南中などに外国人が侵入し、YouTubeでその様子を配信し炎上した。
しかし行政主導で行われている「ホープツーリズム」では、役場に雇われたイギリス人が廃墟に観光客を案内し、スマホで思い思いにパシャパシャ撮影させている。三浦記者や僕が批判され誹謗中傷に晒されたのは何だったのか。外国メディアに撮影をやめさせた警察は何だったのか。22年10月に警察から職質を受け、撮影した写真を全てチェックされ一部削除されたのは何だったのか。
廃墟に案内するツアーを考案したのは、ボランティアからそのまま福島に移住した双葉町議会議員だという。伝承館の前でヨガをする「キャンプ」を考案したのもその議員だ。議員がOKを出せば何でもありなのか。そういえば、22年10月に職質され写真を数枚消されて以来、僕は職質を受けてない。
もう遠慮するのはやめよう…そう思いつつ見た手元の線量計は、0.2〜0.5μSv/hの間をフラフラしていた。僕はわざとらしく胸元まで持ち上げてしかめっ面でそれを見た。
<続く>
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