見出し画像

【2025年1月双葉大熊富岡取材1日目】歪なコントラスト

「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。
〜〜〜〜〜


 2025年1月11日、今年最初の福島取材へ。何回目の取材かと数えてみたら、もう34回目。しかし考えてみれば最初に浜通りを訪れたのが2015年3月で、間も無く10年経つので、そう考えてみればそんなに多くもない。

双葉駅の北側を歩く

 1日目のこの日は、双葉駅の北側を久しぶりに歩いた。22年10月以来だろうか。双葉滞在約6.7時間で約18000歩、積算3.7μSv。最大は3.3μSv/hほど。双葉駅北側はやはり高い。特に高かったのは双葉幼稚園周辺と旧六国と常磐線が交差する長塚寺内迫周辺で、一度もしくは二度除染しているにもかかわらずほとんどの場所で1.0〜3.0μSv/hはあった。

双葉町立双葉幼稚園。解体が決まっている。目の前のモニタリングポストは0.91μSv/h。
モニタリングポストから数メートル離れただけでこの数値。

長塚越田スクリーニング場での対話

 長塚越田スクリーニング場で職員の方といろいろ話す。帰還困難区域への入域はだいぶ緩くなったが、今も防護服を受け取って行く人は多いという。今日も6組。

 数年前、双葉町の大沼勇治さんが防護服姿で海外メディアの取材を受けたところ、渡辺康平なる自民党の福島県議が「着る必要がない」と槍玉に上げ炎上させられたことがあったが、しかし実態はこの通りである。

双葉町、長塚越田スクリーニング場。トイレを借りる体で声をかけ、職員と話し込む。
ちなみにスクリーニング場内は撮影禁止。

 今は双葉駅前のステーションプラザでは個人線量計は貸し出しておらず、こちらのスクリーニング場で借りることができるという。ただ、昔同様、今も「積算線量」のみ表示されるもののようで、今その場の線量が表示されるガイガーカウンターを2つ身につけている僕とは少し話が噛み合わない場面もあった。

荒れ果てたまち

 白山神社、双葉北小、解体予定の双葉幼稚園、福田迫のゲート、JAふたば、鴻草のゲート、寺内前の共同墓地、更地になった阿弥陀堂、日立生コン、中田稲荷神社入口、長塚観音堂の漬物工場跡と歩いて18000歩ほど。途中ヘリが飛んでたが、それは東京新聞社のヘリで、親交のある山川編集委員と片山夏子記者が乗っていたという。手を振ったが全く気づかなかったそうだ。

白山神社。
白山神社より、旧双葉町役場と1F排気筒(左奥)。
双葉北小。
双葉北小校庭に放置された自動車。
5年前に訪れたとき、体育館は卒業式の準備がされたままだった。
今も写真右端には紅白の垂れ幕がそのままなのがわかる。
双葉幼稚園の先、福田迫の帰還困難区域ゲート(西側)。
JAふたば総合営農センター。
福田迫の帰還困難区域ゲート(東側)。
防空壕。
鴻草のゲート。
寺内前、JAふたばの脇道。
この日の最高値。
下長塚共同墓地。
ひどく汚染されている。

 どこまでも澄んだ蒼い空と、荒れ果てた共同墓地や更地で鳴り響く線量計。避難した人々の再会の場となり賑わう駅前のダルマ市とメディアの取材を受けてまんざらでもないキャンドルジュン。荒れ果てた共同墓地を歩きながら、駅前の双葉ダルマ市を思い出し、その歪なコントラストに思わず涙が出た。

日立生コン。避難指示解除される前から操業を再開していた。
中田稲荷神社入り口。
小さな稲荷神社の前に置かれたカエルの像。
無機質な原子力災害伝承館、産業交流センター、浅野撚糸。
かつての漬物工場跡地は更地となった。
2年前の時点で地表1mで7.7μSv/h、土壌は122万Bq/kg。それがここまで下がった。

歪なコントラスト

 6年前、夜ノ森の桜まつりを訪れた時と同じもやもや。切ない1日だった。

2025年1月11日、12日は双葉ダルマ市。
この日、美しい浜通りの星空の撮影を考えていたが、
駅前のイルミネーションが明るすぎて撮影を断念。
真っ暗な夜空に煌めく美しい星空を台無しにする最低の演出。
この日、双葉駅到着時に駅前で行われていたダルマ市。
避難した町民たちの再会の場となる一方で、キャンドル・ジュンがメディアを引き連れて
賑わう祭りの雑踏を歩く。「風評加害者にならないように」なんて嘯きながら。

 夜は常磐もの天丼とあんこうのとも酢を購入し部屋呑み。美味かった。

<続く>

ここから先は

0字

¥ 300

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

サポートしていただけると大変ありがたいです。いただいたサポートは今後の取材活動や制作活動等に使わせていただきます。よろしくお願いします!