2020年3月福島取材①/強風で上がる空間線量
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2020年2月のある日、新型コロナウイルス(COVID-19)が徐々に蔓延しつつあった頃、3/11(東京)、3/14、15(福島)の3日間、FoE Japanの主催する国際シンポジウムで絵本を展示、グッズ販売をする予定だった僕は、スタッフの人たちと打ち合わせをしていた。徐々に感染者が増えてきていたことに不安を覚えつつも、その時は中止になるなんて微塵も考えていなかった。
しかし3月に入るなり、FoE Japanの方から突然のメールが来た。予測はしていたが、実際に中止を言われると心が折れる。それ以来、いろんなことに対するやる気が失せていってしまった。
でも、やっぱり福島を見たい。2020年は東京五輪イヤー(この時は延期にはなっていなかった)ということで、強引とも言える常磐線全通と夜ノ森大野双葉、3つの不通区間だった駅周辺の立入規制が緩和される。
自動車運転免許を持たない僕が、6国の帰還困難区域区間を一人で見ることは、これからはなくなる。そうなる前にもう一度見ておきたい。そんな思いで、3/5、6の2日間、浪江に行くことにした。
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3/4、前日に青春18切符を買い、5日、朝4時に起きて鈍行列車に揺られ浪江へ向かう。念の為マスクをして電車に乗ったが、この頃はまだマスクをしている人は2/3程度だった。
浦和から一旦上野まで行き、常磐線を乗り継ぎいわき駅へ。9:20過ぎにいわきに着き、コインロッカーへ着替え等余分な荷物をしまう。
少し駅前を散策した後、10:27のいわき発の電車に乗ろうと改札に行くと、電光掲示板に「強風のため運休」と書かれていた。
は?
どういうことだと駅員に聞くと、代行バスが出るという。浪江までバスが行くことを確認し、案内されるがまま乗り込んだ。
代行バスは、電車に比べれば圧倒的に時間がかかる。僕はこの日、浪江駅から歩くルートを何となく決めていたが、場合によっては予定変更もありかなと思った。
(楢葉町)
楢葉の「ここナラ商店街」。はっきり言うと、これが原発立地自治体(福島第二原発)と、原発周辺自治体の違いだと思う。浪江にこんな施設は一切整備されてない。
(龍田神社。久しぶりに見た)
楢葉を過ぎると少しずつ線量が上がる。
この後、富岡駅に着くも、そこで降ろされてしまう。「おいおいおい、話が違うだろ」と駅員と直談判、他にも浪江まで行く予定だった人が何人かいたこともあって、改めてそこから代行バス乗車となった。
富岡駅前。回転寿司アトムは健在。
帰還困難区域に入ると、線量はどんどん上がる。
大熊でさらに上がる。
車を停めて測って車内で毎時8μSvを超える場所があることは知っていたが、走行時にここまで上がったのは初めて。驚いた。その後もどんどん上がり、最高で毎時5.92μSv。正直驚いた。
この時は、特定復興再生拠点区域の設定によって行われた除染=移染と関係があるのかと思ったが、翌日の代行バス車内と比較して、強風の影響であるとの結論に至った。未除染の場所から降り注ぐということか。
双葉町にて。何を作っているのか。
通常より1時間遅れで浪江到着。『祝!』の文字を白々しく感じる。浪江から今も避難している友人曰く、この感覚は「正常です!」
浪江に着いてからは、まずは丈六公園を目指す。18年12月に歩いたルートを途中までトレースするような形だ。電車の運休で到着が予定より1時間遅れたため、あまり余裕はない。
(解体中)
(ここも解体予定)
(高瀬川)
この川沿いも、19年10月の台風でやられてしまった。
「幸せの黄色いハンカチ」のような家。18年10月に通った時からある。避難指示解除とほぼ同時に帰ってきたのではないか。
ここは元は美術館だったようだが、何を展示していたかはわからない。18年12月時点で「解体物件」の張り紙がされていたが、跡形も無くなっていた。
丈六公園到着。
今回は、前回よりちょっと攻めた(笑)。以前は少し上がって引き返していたのが、今回は中腹まで行ってからそのまま別の出入り口まで移動した。
ここは避難指示解除されているが…
17年3月に避難指示解除されてからまもなく3年。ここで子供が遊べるとは思わない。
公園を出ると目の前に工事関係者がいたので、さぞかし驚かれると思いきや、彼らは僕を完全に無視していた。招かれざる客は無視するように言われているかのようだ。
「ため池」の向こうに見えるのが「いこいの村なみえ」。避難した人たちが墓参り等で訪れた時のいい宿泊先だ。いつか僕も泊まってみたいと思っている。
さて、ここからが“歩いて行ける帰還困難区域”酒井地区。グレーゾーンだ。
<続く>
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