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にしん/電泥
2019年4月3日 21:23
じめじめとした、梅雨の季節がやってきた。連日の雨による湿気と、夏に向かって高まる気温とが絡み合い、人間にじとりとした汗を掻かせる。俺は、教室隅の窓際の席から、分厚い雨雲から降り落ちる雨を、頬杖をついて、ぼーっと眺めていた。ぺたりと、汗と室内の湿気で湿った掌が、頬に吸い付く。その感覚で俺はもう不快感が限界に達しそうになる。おんぼろの公立高校の校舎には、クーラーなどといった上等なものはない。