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ニュースのアングルを読む

「アングル」という言葉がある。そもそも「角度」という意味であるが、物事の「入射角」という意味もある。そこから転じて、何かの現象の「入り方」を刺したりもする。

例えばプロレスでは、試合前のリングの内外で選手同士の因縁が構築される。そして選手は、その因縁に沿う形で試合に「入」る。これが「アングル」である。
ただ、やがて「入り方」だけではなく、それが延長した先の「出方」までを指すようになった。「出方」つまり「試合結果」をも事前に決めてしまう。その意味で、これは「八百長」の隠語にもなった。

ニュースにもこの「アングル」というものがある。すなわち、ニュースの「入り方」である。ニュースの「入り方」とは、ニュースの「切り取り方」のことだ。

あるできごとがあって、それをどうニュースにするか。本来は報道者の自由のはずなのだが、そこには独特の「アングル」が生まれることになった。
なぜかというと、そこには常に「取材対象」がいるからだ。ジャーナリストは、対象に取材しなければならない。そしてそれが犯罪者でない限り、気を遣わなければならない。その心情を害さないように慮らなければならない。

そうした構造から、ニュースにはやがてアングルがつくようになった。アングルのついたニュースは、嘘こそ書かないが、しかし取材対象にとって都合の悪い「本当のこと」も書かない。なぜかというと、それを書いてしまうと対象者の心象を害するので、以降の取材がしにくくなるからだ。

では、実際のニュースのアングルとはどのようなものか?
ちょうどいい例があったので、それをもとに説明したい。

これは、マグロの養殖事業が縮小しているというニュースである。では、このニュースの何がアングルか? それはもちろん、対象である事業者にとって「都合の悪い真実」を書かないということだ。では、このニュースにおける対象者にとって都合の悪い真実とは何か?

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