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高齢者施設の医療体制を強化「入所者に陽性者が出たら、24時間以内に支援チームを派遣」

*「最適な介護」を実現するための情報紙*
_/_/_/_/_/日本介護新聞ビジネス版_/_/_/_/_/
**令和4年4月5日(火)第717号***

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高齢者施設の医療体制を強化「入所者に陽性者が出たら、24時間以内に支援チームを派遣」
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 新型コロナの感染拡大で、この冬に感染の主体となったオミクロン株による「第6波」では、これまでにない高いレベルで新規感染者数が「高止まり」したが、これにより高齢者施設では、全国でクラスター(集団感染)が多発した。

 また、全国的に医療体制がひっ迫したため、陽性と判定された高齢者施設の入所者が医療機関に入院できなかったり、医療支援が受けられずに病状が悪化するケースも多数、報じられた。

 これに対し厚生労働省は「流行の再拡大に備え、緊張感を持って対応を進めることが必要」として4月4日、都道府県等に対して「オミクロン株の特性を踏まえた、保健・医療提供体制の徹底・高齢者施設等における医療支援の更なる強化等」との通達を発出した=画像・厚労省HPより。緑色と黄色のラインマーカーは、弊紙による加工

 この通達で厚労省は、高齢者施設で入所者等の新型コロナの陽性者が発生した場合は、医療機関への入院が円滑に行われるようにするとともに、医療関係者が施設に直ちに派遣され、感染拡大防止と業務継続のための必要な医療支援が行われることを目的とした。

 具体的には「入所者に陽性者が出たら、24時間以内に支援チームを派遣できるように、体制を構築する」こと等を都道府県等に要請している。また今回の通達で要請した事項は「4月22日までに、取り組み結果を国に報告すること」等も求めている。

 なお、今回の通達で対象となる「高齢者施設」とは、特養・老健・介護医療院・特定施設・グループホーム・養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅、等。

 今回、厚労省が発出した通達の要点(5点)は、次の通り。

 ■1.入所者に陽性者が発生した施設は、派遣を希望しない場合等を除き24時間以内、遅くとも一両日中には(都道府県等が組織した)感染制御・業務継続支援チームを派遣できる体制の構築を目指す。沖縄では、陽性者が発生した施設のうち、6割に派遣した。

 ■2.施設等が、陽性者が発生した場合の相談先を理解していることが重要であり、都道府県に専用の相談窓口を設置するとともに、その窓口等について施設への個別の周知等を実施する。

 ■3.全ての施設等において、必要な場合に医師や看護師による往診等の医療を確保できる体制となっていることを確認する。具体的には今回、施設に実施中の調査で、以下のいずれかに該当する旨の回答を、全ての施設等から得ることを目指す。

 医師・看護師の往診・派遣を要請できる協力医療機関が、事前に確保できていること。嘱託医・当該施設等の医師が、コロナ治療に対応できる場合も含む。

 各自治体が指定する医療機関や、医療チームの往診派遣を要請できること。

 ■4.このため、施設等の判断の参考となるよう、圏域・地域ごとに往診・派遣できる協力医療機関を指定・登録する仕組みを設け、施設等に対し提示することが考えられる。

 ■5.高齢感染者の受入れを想定した、コロナ対応病床のさらなる確保や回転率向上のため、医療機関に対して次の点について、積極的な働きかけを実施する。

 ▽臨時の医療施設をはじめとする既存の確保病床について、要介護の高齢者に対応した人員配置、環境整備を行うことによる、高齢感染者の受入れのキャパシティを拡充する。

 地域包括ケア病棟・慢性期病棟等における、高齢の感染者の療養解除前の転院を含めた積極的な受入れを要請する。

 コロナ対応医療機関以外の医療機関に対し、後方支援医療機関として療養解除後の高齢患者の受入れを要請する。

◇─[後記]───────────

 「第6波」では、高齢者施設で陽性となった入所者が、受け入れる病院が見つからずに施設内療養を余儀なくされ、これにより施設側も施設内のゾーン分けを実施する等で対応するも、結果的にはクラスターにまで拡大してしまった事例が多数、報じられました。

 今後、例え「第7波」が起きても、このような事例が発生しないよう、国や自治体は高齢者施設の医療体制の構築を、全面的にサポートしてもらいたいと思います。

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