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谷川俊太郎さんと私たち。

かっぱかっぱらった
かっぱらっぱかっぱらった
とってちってた
かっぱなっぱかった
かっぱなっぱいっぱかった
かってきってくった

谷川俊太郎『かっぱ』

谷川俊太郎さんの詩に最初にふれたのは、おそらく小学生の頃。この『かっぱ』だったと思う。「かっぱかっぱらった」という言葉のリズムが耳にここちよくて、憶える気もなかったのに47歳のいまでも諳んじることができる。

熱心な読者ではなかったけれど著書や詩集も読んだし、翻訳されたスヌーピーの作品にも親しんできた。けれど、一番お世話になったのは意外にも子どもが生まれたこの一年だったと思う。

0歳で読み聞かせてよかった絵本10選の中に『きらきら』と『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』の二冊。さらに『かにこちゃん』の著者、岸田衿子さんは最初の奥さんだとさっき知った。

このほかにも『にゅるぺろりん』『もこ もこもこ』『まり』『ぴよぴよ』『んぐまーま』など、たくさんの作品が生まれたばかりの赤ちゃんの目にふれた。

この春には『谷川俊太郎 絵本★百貨展』を見に、美術館にも足を運んだ。赤ちゃんにとってはじめての美術展だった。すてきなポストカードを見つけて買った。

いま見ると言葉にさらに奥行きが増したように感じられる。ふしぎだ。

『ぼく』『かないくん』といった大人向けの絵本も読んだ。『なおみ』はかなり怖かった。絵本というジャンルだけでもとてつもない仕事を残していて、その一端に触れただけで圧倒された。

『きらきら』は最初、図書館で借りていたけれど、すごく気に入ってくれたので後から買った。赤ちゃんの最初期にうつくしい言葉と写真を何度も見せてあげられて、とてもよかったし、いまでも一番のお気に入りだ。これからもお世話になると思う。

そしていま、家の本棚にはこの『きらきら』と図書館で借りた『オサム』がある。赤ちゃんに読み聞かせるには渋すぎる絵本だけど、なぜか時々手にとって「読んで」とせがむ。

それから『あたしとあなた』という詩集が一冊。これはずいぶん前にどこかの本屋さんでイベントに参加したときに買ったものだ。記憶はおぼろげだが、数ページめくると「俊」という直筆の筆文字とオリジナルのはんこが捺されている。

ということは、実際に会っていたのか。同じ空気を吸っていたことがあるんだ。こうなってみると、なんだか感慨深い。大事にしようと思う。

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澤 祐典
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