オドーア獲得の真意を考える
春季キャンプまで残り1週間ですね!
阿部慎之助監督率いる新しい巨人軍の船出を今から心待ちにしている次第です。去年から既にワクワクしていて、早く始まれ始まれと待ちわびておりました(笑)
去年のシーズン終了から先週まで、巨人の補強は投手に特化しておりました。支配下で補強したのはドラフトで佐々木俊輔外野手と泉口友汰内野手のみ。FAでの獲得はなく、外国人も出戻りのエスタミー・ウレーニャ内野手を育成契約で獲得したのみと、野手補強をほとんどせずにキャンプを迎えようとしていたわけです。
ただ個人的には、まあそれでもいいかなと思っておりました。むしろ外国人野手補強は必要ないとまで思っていまして、そういう内容のnoteも書かせていただいたんですが。
主な理由は↑で書いたとおりなんですが、そもそも獲得するなら外野手専門の選手だと思っていたんですね。外野手専門を選手を獲得したら、必然的にレフトとライトが埋まってしまう。そうなると、過去3年で4人もの外野手を獲得した意味がなくなってしまいますし、センターができない秋広優人内野手の出場機会も大幅に削れてしまうと。
そもそも外野手専門の選手を獲得するならアダム・ウォーカー外野手を残留させておいてドラフトで佐々木選手の代わりに投手を獲得し、レフトウォーカー選手、ライト丸佳浩外野手を使えば良かっただけの話ですし、どうもチグハグな補強になるなあと思っていまして。
以上の理由で外国人選手は獲らないだろうと思っていたのですが…先週土曜日、僕の予想は思い切り覆される事となりました(笑)
まさかまさかでしたね。
1月下旬という例年よりも遅い時期に獲得。しかも本職外野手ではなく、去年9試合ライトを守っただけの本職二塁手のルーグネッド・オドーア選手という、意外すぎる補強となりました。
しかも阿部監督は「基本外野で」使うと宣言。言葉をそのまま受け取れば…ちょっと意味がわからなさ過ぎる(笑)
不可解なのはこれだけではなく、去年年俸80万ドルだったオドーア選手に対して、2億円も出して獲得している。オドーア選手はメジャー通算8900イニングもセカンドを守っていたプレイヤーであり、日本に呼ぶなら最低でもこれくらいは出さなきゃいけなかったのかもしれませんが、正直に言ってここ数年は低迷していた選手。
そんな選手を去年より2〜3倍もの金額を叩いてまでほしかったのか?
誤解のないように言っておきますが、獲得した事への批判をしたいわけではありません。ただ外野手が欲しかったのなら1億円程度で呼べる選手は何人もいたはずで、わざわざ本職二塁手の選手を2億円も払って慣れないポジションで使いたかったのか?という、疑問があるんです。
思えば阿部監督は元旦に出た記事では全然違う事を言ってましたよね。
この記事の中で、阿部監督はこう語っています。
ライトは梶谷、松原、重信“ら”と言っていたんですよね。
でも時期的に既にオドーア選手との交渉に入っていたはずで、獲得するつもりならこのような発言は出てこない気がするんです。
もちろん、「基本外野で」と言ったからには言葉通り基本的には外野手で使うんだろうと思ってます。でも元旦に出た記事といい、獲得してきた選手といい、年俸といい、節々から匂ってくる違和感が半端なくて(笑)
そう思っていた時に、こういう記事を思い出しまして。
阿部監督が秋広選手の寝坊癖に言及した記事ですね。
阿部監督は、監督就任当初から秋広選手に対して厳しい言葉を口にしていました。面白いのは、これほど厳しい事を言ってるのは秋広選手に対してだけなんですよ(笑)
オフに2度も大事な行事に遅刻してきたらそりゃ厳しくなるかもわかりませんし、別に秋広選手を擁護したいわけではないんですが、なんでこんな厳しくしてるのかを考えた時、自分の中で1つの答えが浮かび上がりました。
・すべて秋広選手の為なのでは?
秋広選手は去年高卒3年目にして439打席に立ち、.273 10本OPS.719とブレイクを果たした有望株。しかし、この成績が天井ではいけないわけです。
加えて先程書いたように2度の遅刻。まだ21歳の若者ですし、体は大きくても子供のようなもの。寝坊も仕方ないとは思いますが、これからの事を考えればここで大人になっていかなければならない立場でもあります。
去年まで巨人に在籍していた中田翔内野手との自主トレでは過酷なトレーニングで何度も嘔吐しているという秋広選手。心の底からチャランポランな人間ではないと思います。
しかし秋広選手をもっと奮い立たせる為に、阿部監督もいろいろ苦心しているのでしょう。
元旦の記事では「レフトは丸、秋広、ウレーニャ(育成選手)らで競わせる」と語っていましたが、レフトは正直丸選手一択だと予想してます。経験豊富なベテランと若手を競争させて、若手を勝たせるとは考えにくい。そして負けたからといって出番をなくすのかと考えると、そうではないと思うんですね。
ただし秋広優人には「レフトがダメでもライトが空いてるからいいや」と思ってほしくない。
でも、ライト固定の外国人を獲得してしまえばそもそもライトに置くチャンスすらなくなってしまう。
そこで、オドーア選手なんですよ。
オドーア選手は先程書いたように本職は二塁。次に多かったのは三塁で302イニング。ライトでは49イニングしか守っていない。
巨人の二塁手には吉川尚輝内野手がいますが、通算1000打席を超えても飛び抜けた成績を出せず、少し頭打ち感が出ている(とはいえ正二塁手には変わりありませんが)。
三塁には長年ショートを守っていた坂本勇人内野手をコンバートしましたが、ここ数年は怪我も多く、定期的に休ませたい選手です。
つまり巨人は、最初から外野を守らせる選手ではなくユーティリティを探していたのではないかと。プラス秋広選手の発破かけ要員ですね。
坂本選手は今年36歳シーズンなので、週に1回は休ませたい。
丸選手も35歳シーズン。週1休みくらいは与えられるでしょう。
頭打ち感のある吉川選手は週に1〜2回スタメンの機会を削っても問題はないと思います。
となると、例えばオドーア選手を週6試合のうち3試合で右翼スタメン起用するとします。残り3試合のうち1〜2試合を二塁スタメン、残り1試合を坂本選手休養時の三塁スタメンで起用して、ユーティリティ性を発揮してもらいます。
秋広選手はブレイクしたといってもまだまだ競争する立場なので、オドーア選手がライトを守っていない試合+丸選手休養時の左翼で出場させます。
例えばこんな感じで。
無論こんなシステマチックにはやらないでしょうが、こうなるならオドーア選手を獲得したのも納得がいく。
更に獲得がこの時期までずれ込んだ挙げ句、2億というあげすぎなくらいの年俸を払ったのにも納得がいきます。
結局、起用法に文句を付けられたくなかったんでしょうね。ユーティリティ起用前提の獲得で、文句を言わせないための2億。
週半分ライトで起用すれば「基本外野で」の発言も嘘にはなりませんし、僕の中ではこれが一番辻褄が合うんですね。
もちろん秋広選手が「どうせ使ってくれるんでしょ(笑)」と舐めきって寝坊したりしたら、オドーア選手を完全にライトスタメンで固定して秋広選手を干すなんていう未来もあるかもわかりません。もしかしたら今季まったく出れずに終わってしまう事も…なので、キャンプの頑張りに懸かっていると思われます。
あまり考えたくはありませんが、オドーア選手はそうなってしまった場合の保険でもあると思いますね。一軍は舐めた選手が使われるほど甘い場所であってはいけないので、最低限のクオリティを保ちつつシーズンを戦う戦力を揃えなければいけない。
オドーア選手の獲得はそんな最悪の場合を想定した保険と理想的な運用の鍵になる選手の二面的な意味を持っていると考えられます。
そう考えると、とても上手い補強だなと思えるんですよね。
パ・リーグ3連覇中のオリックス・バファローズにマーウィン・ゴンザレスという選手がいますが、今回の補強はまさにゴンザレス選手のオリックスの使い方を真似たものではないかと。
ゴンザレス選手は今季321打席に立ち、.217 12本OPS.650と打撃成績だけ見ればお世辞にもいい成績とは言えません。
しかし二塁で48試合、一塁で25試合、三塁で13試合、遊撃で5試合と内野全部をこなすユーティリティぶりでチームを助け、ちゃんと戦力になっておりました。
オドーア選手も正直打撃成績はゴンザレス選手程度、打っても.240 10〜15本OPS.6後半〜.7前半くらいが限界なのかなと思いますが、二塁三塁右翼の3ポジションを守れるのであればそんなに打てなくても戦力にはなれると思うんです。
阿部巨人が外国人を打撃で期待する選手ではなく、必要なポジションを穴埋めしてくれる選手として期待しているなら、手前味噌ですが頭の良い補強だなと感じます。
なので、よほど大怪我とかしない限りは前半戦までは一軍で起用してほしいです。前半戦はとにかく後半戦に向けて一人でも多くの戦力を作る時期なので、個人成績はそこまで問いません。チーム成績も、5割以上を維持できればそれで良いと思います。
その為にも一人でも多くの戦力を起用して、後半戦に向けた戦力化を計る。秋広選手しかり、センターで起用されるはずの佐々木選手、浅野翔吾外野手、萩尾匡也外野手しかり、ちゃんと使っていった先に明るい後半戦が見えてくると思うので、そこは柔軟にやってもらいたいところです。
というところで本日はここまで。オドーア選手がいつ来日してくるのかわかりませんが、1日でも早くチームに溶け込める事を願っております。オドーア選手も、秋広選手も、頑張ってもらいたいですね。
それではお疲れ様でした。最後まで読んでいただきありがとうございました!