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元旦に見た映画が元旦に見てよかったと思える映画だった
30日の夜に元旦に見る映画を予約した。大晦日は何時までほっつき歩いているか分からなかったけど、13時半ならさすがに起きて映画館へ行けるだろう。
案の定大晦日は明け方に眠ることになったのだけど、すんなり起きることに成功した。ただかなりの寝不足。映画を見ながら「面白いなあ」と思っても眠ってしまうことが多いのでちょっと不安だ。
元旦はファーストデー(1日)なので少しお得に見ることができる。去年も映画を見に行った。今年選んだ映画は『PERFECT DAYS』だ。たまたま行ったお店で出会った人にたまたま勧められて、たまたま見ることを決めた。
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『パターソン』好きだったら絶対好きだと思いますよ!と言われ、何の予備知識も入れずに見に行ったのだけど、感想をつづるために軽くあらすじも書いておく。
舞台は東京渋谷区。公衆トイレの清掃員として働く平山(役所広司)の毎日を描いていく。同じ時間に起きて、植木に水をやり、コーヒーを買って、好きな音楽の入ったカセットテープを聴きながら車を走らせ現場へ向かう。仕事中にちょっとしたハプニングがあったり、休憩時間にパンを食べながら木漏れ日の写真を撮ったり、仕事後に立ち寄るお店があったり、寝る前に本を読んだり、平凡なようでそうでもない、美しいとさえ思わせる日々。そんなある日、平山の心を揺るがせるような出来事が起こる。
みたいな感じだ。10分ほど遅刻で向かい、カフェラテを買って宣伝が終わった頃ギリギリで場内に駆け込むことに成功した。
映画は、生活の音しかない状態から始まり、平山は朝のルーティンを終え、早速公衆トイレの清掃へ向かった。
ちなみに渋谷区のトイレは有名なクリエイターが手掛けていて、実際に使用されている公衆トイレが登場する。なので、トイレを見るのにも飽きない。
平山はかなりの数の現場をこなしているのか、毎回たくさんの奇抜なトイレを見ることができた。
平山は口数が少ない。それがたまにじれったくもあり、リアルと美しさを引き出している気がした。木造2階建てのアパートに住み、身の丈に合ったたしなみがあり、裕福とは言えないが、平山が見ている世界は毎日同じことの繰り返しでも少しずつ違っていて、決して物足りないものではなかった。
思わぬ登場人物によって平山の過去が少しだけ明らかになったり、バーのママ(石川さゆり!)をちょっと気に掛けたり。人と接することで平山の性格を垣間見ることができる。登場人物の数少ない情報は、見ている側の想像力を掻き立てるちょうど良さがあった。
結構寝不足で向かったのに、ひとときも睡魔がやってこなかった。起承転結があるわけでもない、中年の男性の毎日を見ているだけなのに、どうして心がふわっとあたたまるんだろう。
時折平山が目を細めて眺める木漏れ日もこの映画のテーマになっている。「木漏れ日」ってなんて素敵な日本語なんだろう。英語で直訳できないことばのひとつなんだそう。ヴィム・ヴェンダース監督の作品は見たことがなかったのだけど、美しい映像を求めて見たくなった。どんなものも美しくしてくれるのだろうか。
これ、どこに焦点を当てるかで全く違う作品になるだろうから「ザ・ノンフィクション」が制作したらどんな感じに仕上がるんだろうな。なんて想像もしつつ、素敵な映画を見て最高の2024年のスタートを切ることができた。
この後帰宅して、頂き物の毛蟹を独り占めして貪り、2日は読書をしたり、気の知れた友達と明け方まで飲んで、3日は初詣に行って雨上がりの夜に気持ちよくランニングをした。特に美しい日々でも何ともないけれど、身の丈に合った私なりの幸せがそこにあったように思う。良い一年になりそうだ。
公式サイトもめっちゃいい。
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